Abstract
著者らは,olanzapineの安全性調査を目的に実施した製造販売後調査で収集したデータを追加解析して,体重増加のパターンとその背景因子を検討した。投与開始後4週間で7%以上の急速な体重増加が認められた(Rapid weight gain:RWG)群と,体重増加が7%未満であった(Non―rapid weight gain:NRWG)群に分けると,評価対象1,250例のうち4.7%(59例)がRWG群,95.3%(1,191例)がNRWG群に分類された。NRWG群の体重変化は,4週時点で0.3±1.5kg,52週時点で1.6±5.6kgであるのに対し,RWG群の体重変化は,4週時点で5.5±1.9kg,52週時点で7.2±6.4kgと,いずれの時点においても有意に体重増加幅が大きく,投薬初期の急速な体重増加が約1年後の臨床的に重要な体重増加の予測因子であることが判明した。背景因子を比較すると,NRWG群と比較して,RWG群において有意に年齢が低く,女性が多く,罹病期間が短く,外来患者が多く,開始時BMIが低かった。また調査期間を通じて,RWG群は1日平均投与量が低く,体重増加による中止率が高く,最終全般改善度で「改善あり」が有意に多かった。これらの追加解析結果を先行研究の報告と比較し,治療効果との関連,RWGへの対応策,臨床的意義について考察した。 Key words :olanzapine, postmarketing study, early and rapid weight gain, predictive factors