Abstract
不眠症治療では薬物療法が中心であるが,依存性や副作用などの問題があることから,不眠症に対する認知行動療法(CBT-I)が非薬物療法として期待されている。CBT-Iは認知療法,行動療法,リラクゼーション療法,睡眠衛生指導を組み合わせた治療法で,不眠を慢性化させている問題を明らかにし,それらの変容を促すことにより症状の改善を図る。CBT-Iの有効性は薬物療法との比較から検証され,5つの無作為化比較試験から,治療介入直後の時点で薬物療法と同等の効果があること,また長期的な治療予後はCBT-Iが勝ることが示された。現在CBT-Iは原発性不眠症の標準治療に位置づけられており,CBT-Iによる睡眠薬の減薬効果,併存不眠症に対する効果も示されてきている。一方,わが国でCBT-Iは保険適応を得ていないのが現状であり,認知を高めるための啓発活動を続けて行く必要があるだろう。 Key words : insomnia, non-pharmacological treatment, cognitive behavioral therapy, CBT-I, hypnotic