Abstract
不安症群(AD),特に,パニック症,社交不安症,全般性不安症に対する治療予測因子について,これまでの知見を総見し,さらにADに関する最新の治療ガイドラインを紹介し,ADにおける適切な薬剤選択について論じた。治療予測因子については,脳機能画像研究と薬理遺伝学的研究によるものが主であるが,ADに関してはうつ病ほど十分に検討されていないのが現状である。また,最新の治療ガイドラインでは,ADに対する第一選択薬はSSRIおよびSNRIとなっているが,上記3疾患の間でその内訳には微妙な差異がある。さらに,最初に使用した薬物が無効または不耐性の場合の代替薬物療法も疾患ごとに示されている。とは言え,ADは慢性・再発性の疾患で,薬物療法による治癒率もさほど高くはない。もし将来的に,実臨床で用いる薬物の有効性や副反応が投与前に予測できるとすれば,患者側のメリットは計り知れない。そのような日が一日も早く訪れることを期待したい。 Key words : panic disorder, social anxiety disorder, generalized anxiety disorder, neuroimaging, genetics