Abstract
月経前不快気分障害(premenstrual dysphoric disorder:PMDD)は,DSM-5にお いて初めて,独立した疾患として記載されるようになった,比較的新しい疾患概念であ る。他の精神疾患と同様に,PMDDにおいてもストレスは,その発症,増悪,再燃,再 発に大きく関与している。ストレス要因は,PMDDの症状の増悪や再燃の原因になりう る。ストレス要因の回避やストレス・コーピングによって軽快することもあるが,服用す る薬剤を増量しなければならないこともある。また,ライフ・イベントは,PMDDの発 症や再発の契機となることが多い。PMDDの治療は,選択的セロトニン再取り込み阻害 薬(SSRI)の間欠療法が第一選択であるが,特定のSSRIを服用させることによって,ス トレス耐性が特に高まるということはない。心理教育(psychoeducation)を常日頃より しっかりと行うことが重要である。 臨床精神薬理 21:521-527, 2018 Key words :: life event, premenstrual dysphoric disorder (PMDD), psychoeducation, stress, stressor