Abstract
統合失調症患者を対象とした使用実態下におけるasenapineの安全性及び有効性を 検討する目的で,使用成績調査を実施している。中間報告解析対象症例 278 例のうち,副 作用発現例数は 96 例(34.5%)であった。そのうち52例(54.2%)は投与1週間以内に 発現していた。また,初発患者と再発患者との間に,副作用の種類,発現率及び発現時期 に関して,明確な違いは示されなかった。全般改善度を指標とした投与6週後の改善率は 72.2%であり,その内訳は,著明改善が8.1%,中等度改善が22.7%,軽度改善が41.4% であった。JSQLSを用いたQOL評価では,投与6週後の各スコアが減少していた。ま た,全般改善度による評価とJSQLSによるQOL評価との間に関連性が示唆された。本報 告は,情報公開の速報性を重視し,症例数は限定されるものの中間報告として結果をまと めて公表した。今後,さらに検討を重ね,asenapineの臨床的特徴及び有用性を示してい きたい。 臨床精神薬理 21:533-546, 2018 Key words :: asenapine, safety and efficacy, antipsychotics, schizophrenia, post-marketing surveillance study