Abstract
抗てんかん薬(antiepileptic drugs: AED)を服用中の女性てんかん患者が妊娠した 際,AEDによる児の奇形発現のリスクや知的発達への影響,妊娠中の発作についてなど, 念頭に置くべきリスクは多い。そのため,妊娠可能年齢の女性てんかん患者に対しては, のちの妊娠を想定し,妊娠前に十分な説明の機会を設け,妊娠後にも継続可能な投薬内容 にしておくのが望ましい。近年上市された,lamotrigineとlevetiracetamの2剤は,妊娠 中の服用による児の奇形発生率が,従来のAEDに比べて低く,挙児を希望する女性てん かん患者にとって,そのハードルを下げるメリットを生んだ。一方で,これらの薬剤は, 妊娠中に薬物血中濃度が減少しやすい上,授乳に関連したエビデンスも十分とはいえない ため,より慎重な母児のモニタリングが求められる。本稿では,これらの事項も含め,一 般精神科医が,妊娠を合併したてんかん患者を診療する際に留意すべき点についてまとめ た。 臨床精神薬理 21:775-783, 2018 Key words :: epilepsy, pregnancy, antiepileptic drugs, serum concentration, malformation