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JPY
Abstract
緑内障は慢性の進行性視神経症で,末期に至るまでは自覚症状に乏しいが,進行してから慌てて治療しても視神経障害・視野障害は不可逆のため,早期発見・早期治療が重要な疾患である.緑内障において現在,視野障害抑制のエビデンスのある唯一確実な治療は眼圧下降治療であり,治療は基本的には点眼による薬物治療が第一選択となる.しかし,治療してもそもそも早期では自覚症状がなく,また進行した緑内障においても,治療によって眼圧が下降できたとしても,目に見える形での改善があるわけではなく,現状維持が得られるベストの結果のため,薬物治療のアドヒアランスは極めて悪いことが多い.点眼は患者が自らの意思で,毎日実行・継続しなければならない治療法であり,点眼してくれなければ治療薬はまったく効果を発揮できない.また,正しい点眼ができなければ効果が減弱したり,逆に副作用発現につながったりしてしまうことも多い.点眼を継続しても特に症状の改善がみられるわけではないこと,どちらかというと緑内障点眼薬はさし心地が悪いものが多いことから,緑内障の薬物治療においてアドヒアランスの維持はそもそも困難だが,なかでも点眼回数や点眼に伴う副作用は点眼アドヒアランスの低下につながることが指摘されており,アドヒアランス不良は緑内障進行に著しく関与することが報告されている.アドヒアランスの維持,改善に対するさまざまな対策が研究・検討対象となっているのが現状である1,2).緑内障患者に薬物治療について説明する時には,緑内障治療の目的,目標とする眼圧値,薬物治療によって得られる効果と治療をしなかった場合の不利益,さまざまな点眼薬の特徴や作用,起こり得る副作用,注意すべき点,そして何よりも患者本人が自主的に治療に参加する必要があることを伝えなければならず,内容は非常に多岐にわたる.忙しい日常診療における短い診療時間の間に,医師側から容易に伝え切れる内容ではなく,また一度聞いたからといって患者側も簡単にすべてを理解できるものでもない.緑内障診断時,治療開始時には,これらの内容をわかりやすく伝え,理解を促し,患者本人が治療に参加する意欲を持てるように促していく必要がある.そのためには可能な限り時間をかけて説明すると同時に,わかりやすい説明ツールを用いるのも有用である.また同時に,治療開始後も眼圧下降および視野・視神経障害進行の経過を観察する中で,治療方針は個々の患者の状況や薬物への反応性などに応じて常に確認し,必要時には再検討していくものであることから,その都度,医師は患者によく説明し,理解を深めていく必要がある.緑内障薬物治療の基本目標は,なるべく少ない患者負担で, QOLを損ねることなく,必要最小限の薬剤で最大の治療効果を上げることであり,医師側は各薬剤の作用機序,副作用,禁忌などの特性をよく理解しておくこと,患者側には緑内障に治療の目標である,①目標眼圧へのコントロール(これは経過をみながら再検討していく),②視神経・網膜障害の抑制,視野の維持,そして何より,③一生見える人生のために患者側の努力が必要なこと,を理解してもらう必要がある.本稿では緑内障の薬物治療の説明とポイントについて概説する.
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