外科

Volume 63, Issue 3, 2001
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特集 外科学の進歩と再生医学
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特集 外科学の進歩と再生医学 Ⅰ.総論
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再生医学の現状と可能性
63巻3号(2001);View Description
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20 世紀における自然科学の近代化は, その成果として医学・医療技術の上に多くの福音をもたらした. その結果, 先進諸国においてはかつて未経験の高齢化社会が到来することとなった. 慢性臓器疾患に代表される比較的に症状が固定的な臓器・組織の機能障害を対象にした医療がつよく求められる所以である. 組織の再生修復にかかわる幹細胞システムの理解とその利用は, 高齢化社会のライフスタイルを決定づける新世紀医療を方向づけるものとなろう.
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特集 外科学の進歩と再生医学 Ⅱ.各論
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1.ES 細胞ES 細胞を用いた移植医療の展望
63巻3号(2001);View Description
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胚幹細胞(embryonic stem cells:ES 細胞) は, 初期胚中の未分化細胞に由来するもので,体外でその未分化状態を維持したまま培養可能となった全能性幹細胞である. マウスES 細胞は, 無viVOで受精卵とほぽ同様, 全ての'種類の細胞に分化できる全分化能を有しているが, この細胞のもつ重要な性質は,in vitro での培養下でも, その条件を変えることにより分化能を引き出すことができる点である.1998 年に, アメリカのグループが相次いでヒトES 細胞の樹立を報告したことにより, ES 細胞は, その細胞移植の材料としての有用性がクローズアップされることとなった. 本稿では,ES 細胞の移植医療の材料としての可能性について論じる. -
2.肝 ①小型肝細胞と肝再生
63巻3号(2001);View Description
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私達は, ラットの肝臓から, 直径13~ 18μm の小型の肝細胞をFACS を用いて分取する技術を確立した. この小型の肝細胞は,in 〃わθやεnvitro において高い増殖能を示す. 一方, 最近,ある種の肝障害時には, 小型肝細胞様前駆細胞が出現することが報告された. 私達が分取した小型の肝細胞と, この細胞の関係を調べている. 今後, この増殖性小型肝細胞を肝臓の再生医療に役立てたい. -
2.肝 ② HGF を用いた肝再生
63巻3号(2001);View Description
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肝硬変症はこれまで非可逆性の進行性慢性疾患と考えられてきた. 肝臓外科医に限らずとも,肝硬変の合併により治療の制限を経験したことと居、う. 肝硬変を治療する方法としては肝移植という選択肢もあるが, 肝硬変という線維化を来した肝臓を再生することは不可能なのだろうか. 著者らは内因性修復因子と考えられるHGF を用い, 遺伝子導入という手法で肝硬変の治療, 言い換えれば肝臓の再生を試みた. 本稿では著者らの研究から,nGF の肝再生に果たす役割について考察し, 臨床研究へ向けた取り組みについて紹介する. -
3.膵 膵ラ島再生と移植への応用
63巻3号(2001);View Description
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膵臓では末梢膵管からラ島が分化してくることが示唆され, 膵管上皮細胞がラ島のstem cellとして注目浴びていた. 昨年, この仮説を証明する実験結果が相次いで報告された. フロリダのPeck らはNOD マウスの膵管から誘導したラ島を用い, 血糖値のコントロールに成功した. ポストンのBonner-Weir らはヒトの膵管上皮からインスリン産生細胞の誘導に成功している. 再生ラ島を用いたラ島移植への道が開かれ始めている. -
4.心筋 骨髄細胞から心筋細胞への分化誘導
63巻3号(2001);View Description
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骨髄間葉系幹細胞は多分化能を持つことが知られ, 骨芽細胞, 軟骨芽細胞, 脂肪細胞等に分化することが知られていたが, 近年の研究により心筋細胞に分化誘導できることが明らかとなった. 骨髄由来の心筋細胞は自己拍動し, 胎児型心室筋型の表現形を示した. 活動電位は分化に伴い洞結節型から心室筋型に移行し, カテコーアミンα1, β1, 戸2受容体の発現も観察された. 骨髄由来の心筋細胞を利用した細胞移植による心不全治療への応用が期待されている. -
5.血管 ①虚血性心疾患に対するVEGF 遺伝子治療
63巻3号(2001);View Description
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当施設において, 下肢血管閉塞症患者に対する, 血管内皮増殖因子vascular endothelialgrowth factor(VEGF) の遺伝子を用いた血管新生療法が1995 年に開始され, さらに1997 年末, 下肢閉塞性動脈硬化症の成功を受けて, 虚血性心疾患患者のVEGF 遺伝子治療が承認され, 現在まで約60例が行われた. その効果は今まで治療が不可能だった例に画期的な血行の改善をもたらした. 本稿では,VEGF 遺伝子治療の概念と, 虚血性心疾患に対するVEGF 遺伝子治療の実際について述べる. -
5.血管 ②再生血管の臨床応用
63巻3号(2001);View Description
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培養自己細胞と生体吸収性ポリマーから再生血管を作成し, 小児先天性心疾患外科治療において血管再建用グラフトとして臨床応用した. 患児自身の末梢静脈壁細胞は培養可能で順調に細胞数も増加した. 生体吸収性ポリマーとヒト細胞の接着性は良好であり, 手術の際, 作成したグラフトは易縫合性であった. 自己細胞由来の再生血管移植は,21 世紀に向けた新しい医療手段として期待されている. -
6.人工臓器 ハイブリッド型人工臓器の現状
63巻3号(2001);View Description
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機能を失った臓器や組織に対して人工代替物を置換し, 欠損した機能を再建しようとする医療は前世紀から行われてきた. この医療に用いられるのが人工臓器であるが, 近年急進展したTissueEngineering や再生生物学に基づく再生医学的手法の導入で構造特性や物理的特性の修復のみでなく,組織・細胞本来の潜在能力を人工臓器で再現させる試みが盛んになされている. これらはハイプリッド型(バイオ) 人工臓器と呼ばれ,21 世紀の医学・医療においての大きな貢献が期待できる. -
7.血球系細胞 血球の分化と癌治療への応用
63巻3号(2001);View Description
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多種類の成分よりなる血球系細胞のすべてに分化しうる能力を持つ細胞を造血幹細胞と呼ぶ.この細胞群を癌治療に応用しようという試みは, まず血液系腫瘍に対する大量化学療法に併用する骨髄移植に代わるものとして開始された. 適当な薬剤の投与により末梢血中に動員される, あるいは臍帯血中に比較的多数存在する造血幹細胞には, 種々の利点があり, 現在その用途は徐々に広まりつつある.これを一歩進めた方法として, 造血幹細胞に薬剤耐性遺伝子を導入しさらに大量の化学療法を可能とする方法についても検討されている. また, これらと違ったアプローチとして, 造血幹細胞を適当な刺激により必要な種類の血球系細胞に分化させ, それを癌治療に応用しようとする方法も検討されている.本稿では, その中でも, 樹状細胞を利用した癌治療に重点をおいて解説する. -
8.皮膚と骨 骨と皮膚の再生
63巻3号(2001);View Description
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近年, 生細胞と人工材料を複合化し組織の再構築をはかるティッシュエンジニアリングの研究がさかんに行われ, 種々の組織や臓器再生が試みられている. なかでも皮膚や骨組織はすでに細胞培養技術が確立され, 種々のタイプの再生組織が作られている. これらは組織欠損や形成不全, 創傷の修復材料として臨床応用され良好な結果をもたらしており, 新たな移植医療に大きく貢献している.そこで, 組織の欠損や形成不全の修復に実際に用いられている皮膚と骨の再生について, 研究・臨床応用を述べる.
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連載/外科における医事訴訟 (紛争)―概要と解説 (15:最終回)
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連載/基本手術手技Q&A (3)
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連載/外科医のためのクリニカルパス実践講座 (3)
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臨床と研究
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乳癌におけるPyrimidine Nucleoside Phosphorylase (PyNPase)発現と予後
63巻3号(2001);View Description
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