外科

Volume 63, Issue 9, 2001
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特集 消化管Stromal Tumor(GIST)
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1. GISTの病理学的概念
63巻9号(2001);View Description
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GIST は消化管で最も高頻度に発生する間葉系の腫瘍で,従来,平滑筋細胞由来とされてきた.しかし,GIST におけるKIT,CD34,SMembの発現,c-kit 遺伝子の機能獲得性変異は,この腫瘍がCajalの介在細胞由来であることを示唆している.しかし,消化管壁外での発生や,KIT 陰性を示すGIST 様腫瘍も存在し,その分化・起源についてはいまだ不明な点が多い.正常組織を含むさらなる検討が必要である. -
2. 外科的疾患単位としてのGIST
63巻9号(2001);View Description
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当科における過去7年間のGIST 症例9 例につき臨床病理学的検討を行った.1例を除き有症状例で,画像診断上腫瘍は豊富な血管性,膨張性発育等の共通の特徴を認めた.術前に腹膜播種を認めた1例を含め全例切除可能であった.免疫組織学的検査において明らかに平滑筋あるいは神経系の表現型を有した腫瘍はなかった.GIST の概念は包括的であるが,臨床的に一定の特徴があり,外科的疾患単位としても妥当なものと考えられた. -
3. 消化管Stromal Tumorの悪性度診断
63巻9号(2001);View Description
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Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の悪性度診断には,従来から腫瘍径やmitosisが用いられていたが,これらだけでは,予後が判断できない症例も多かった.現在,予後と高い相関を示し,有力な独立予後因子と考えられるのはテロメラーゼ活性とc-kit mutation である.ただ,術前に測定することが困難なので,臨床的には,腫瘍の発生部位,大きさに,腫瘍の増大速度,腫瘍内血流を加えて判断することになる. -
4. 消化管Stromal Tumorにおける遺伝子異常
63巻9号(2001);View Description
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消化管stromal tumor は消化管全般に幅広く分布する間葉系腫瘍で,大別すると筋原性腫瘍,神経原性腫瘍,GIST に分類される.これら腫瘍の表現型と遺伝子背景は異なり,筋原性腫瘍はdesminを,神経原性腫瘍はS-100を,GIST はKIT を発現し,GIST の約50% にc-kit 遺伝子変異を認める.c-kit 遺伝子変異のあるGIST は,筋原性腫瘍・神経原性腫瘍・c-kit 遺伝子変異のないGIST に比較し臨床病理学的悪性度が高く予後も不良である.一方,チロシンキナーゼ阻害剤—STI571の成績は,将来KIT がGIST の治療ターゲットの一つとなりうる可能性を示唆している. -
5. 消化管間葉系腫瘍の悪性度診断
63巻9号(2001);View Description
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消化管間葉系腫瘍の悪性度診断は,従来Rosaiの分類により,悪性群,境界群,良性群に分類されてきた.今回,教室で経験した症例について詳細な検討を行ったところ,ki-67 labeling index,bcl-2, apoptotic indexが,その悪性度診断に有用であることがわかった.今後,これらの因子の検討を術後摘出標本のみならず,術前に診断できれば,治療方針決定に際して極めて有用であることが示唆される. -
6. 胃GISTの診断と治療—悪性GISTを中心に—
63巻9号(2001);View Description
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胃粘膜下腫瘍(SMT)101例のうち悪性GIST 50例を対象に臨床病理学的事項を解析し,合理的な治療方針について検討した.再発高危険群は核分裂指数10/10HPF 以上,瘍最大径10 cm 以上であった.再発形式は肝再発および腹膜播種であったが,リンパ節転移やリンパ節再発がなかったことより系統的リンパ節郭清は省略することが可能と思われた.縮小手術が可能であるが,術中腫瘍被膜を傷つけないようにすること,および断端を陰性にすることが重要である.腫瘍長径が5 cm 以下では腹腔鏡下胃部分切除や小開腹による胃部分切除がよい適応であり,今後は外科的治療の第一選択として施行していく方針である.再発巣は診断がつき次第切除しているが,再々発をきたすことが殆どである.したがって,腫瘍径が小さくとも増大傾向がある場合や,Delleを有している場合は可及的早期に外科的切除する方針である.今後も内科,外科,病理の連携を密にして厳重な経過観察をしながら,治療の時期を失わないように心がけていきたい. -
7. 十二指腸GISTの診断と治療
63巻9号(2001);View Description
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十二指腸GIST ではその解剖学的特徴からしばしば術式の選択が大きな問題となる.統一された概念はいまだ確立されておらず,膵頭十二指腸切除術などの侵襲の極めて大きい術式が選択される症例も多い.当院ではGIST に対しては部分切除術を基本術式としており,リンパ節郭清のための膵頭十二指腸切除術は施行すべきでないと考えている. -
8. 小腸GISTの診断と治療
63巻9号(2001);View Description
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Gastrointestinal stromal tumor の原発部位として小腸は胃に次いで多い.一般に,小腸腫瘍の確定診断を下すことは困難であるが小腸GIST は手術の絶対適応であり,切除が唯一の治療法と考えられる.病理学的悪性度および臨床的悪性度は他の部位のGIST と比較すると高い.予後と相関する因子は腫瘍径と核分裂数である.再発形式は肝転移に次いで腹腔内再発が多く悪性症例については術後も厳重な経過観察が必要である. -
9. 直腸GISTの診断と治療
63巻9号(2001);View Description
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Gastrointestinal stromal tumor (GIST)は消化管間葉系腫瘍について近年導入された概念である.直腸原発のGIST は比較的少なく,多数例を集積した報告はみられない.直腸GIST は経肛門的に腫瘍に到達することが可能なため,診断は比較的容易である.治療は外科的切除のみが有効とされ,腫瘍が圧排性増殖を呈しリンパ節転移は稀なことから郭清は行わず,可及的に機能温存手術を目指すべきである. -
10. GIST肝転移の治療
63巻9号(2001);View Description
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消化管GIST の再発は肝転移が多くその治療は予後を左右する.治療の第一選択は肝切除術による完全切除であり予後延長効果を認め,長期生存を得る可能性もある.ただし残肝再発は高率であり再切除が必要となることも多い.肝転移に至るまでの期間と肝臓以外の転移の有無が予後因子として重要である.また腹膜再発は肝に次いで多くみられ,腹膜播種に対しても積極的に切除することで予後延長が期待できる. -
GISTにおける術後のフォロー
63巻9号(2001);View Description
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GIST(広義)は良性から悪性まで幅広いスペクトラムを有する疾患概念であるが,病理形態学的に悪性と診断された場合には,術後数年以上にわたりCT 等の方法で定期的な再発スクリーニングを行う必要がある.特に高悪性度群においては,おおむね2年以内は密な観察を行い,肝・腹膜等に再発が確認されれば,他の治療法の効果が期待できないことから,まずは外科的切除の可能性を追及することが,現時点では妥当と思われる.
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