外科

Volume 64, Issue 1, 2002
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特集 知っておくべき術中診断法 1.甲状腺癌の術中診断
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1.甲状腺癌の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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これまで甲状腺癌の術中診断法として確立された方法は術中迅速病理診断以外にはなかった.甲状腺癌の術前・術中診断における最大の課題は,濾胞性腫瘍における濾胞癌と濾胞腺腫の鑑別であり,術前・術中に濾胞癌と診断をつけうることはほとんどないといっても過言ではない.またfollicularvariant typeの乳頭癌においては術前穿刺吸引細胞診では診断精度が低いが,術中迅速病理診断との併用で診断率の向上をはかれる.組織診断の目的のみではなく,甲状腺の切除範囲・リンパ節郭清の範囲など手術法の選択の決定,根治性の確認,再発腫瘍の同定などにおいて術中診断は重要となる.近年の各種診断技術の進歩により,術中迅速病理診断・術中超音波診断・Radio guided surgery・Sentinellymph node同定・反回神経モニタリング・術中遺伝子診断等様々な術中診断が試みられるようになってきており,この領域における研究の進歩と臨床応用によせる期待は大きい.
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特集 知っておくべき術中診断法 2.乳癌の術中診断
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2.乳癌の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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乳癌の手術は乳房温存手術,さらにセンチネルリンパ節生検に基づく腋窩リンパ節郭清の省略の可能性など縮小化,個別化の傾向にある.乳腺切除断端・センチネルリンパ節診断共,原発乳癌の治療方針に大きな影響を与える.慎重を期すため術中の病理診断はなるべく避けたいと考える一方,2期的手術の負担を軽減するため,術中に結果を得たいと考えるのもまた当然である.これらの手法,システムの構築は集学的医療の一環として詳細に行われることが望まれる.
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特集 知っておくべき術中診断法 3.頸部リンパ節郭清の指標としての食道癌
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106rec転移の術中迅速微小転移診断
64巻1号(2002);View Description
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分子生物学的手法の導入により従来の顕微鏡学的病理診断では検出できない微小転移の検出が可能となった.この手法を臨床に導入することにより,より正確な癌進展度診断に基づく癌外科治療法の選択が可能となる.われわれは,RT-PCR 法を用いた術中迅速リンパ節転移診断を確立し,食道癌の頸部リンパ節郭清の適応決定に応用できるかを検討しており,今回この現状を報告する.
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特集 知っておくべき術中診断法 4.食道癌の他臓器浸潤診断における経大動脈的
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気管支鏡下超音波検査
64巻1号(2002);View Description
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食道癌他臓器浸潤診断における経大動脈的超音波検査法(IAUS),気管支鏡下超音波検査法(BUS)の有用性を検討した.IAUS では15MHz のプローブを使用し食道病変部を胸部大動脈壁側から観察した.大動脈壁は高・低・高エコーの3層構造として描出され,外膜は最外層の高エコー層に相当した.この層が腫瘍エコーにより断裂した場合を浸潤ありと判定したところ93% の正診率を得た.BUSは気管支鏡観察下に20MHz の細径プローブを用い観察した.気管・気管支壁は5層構造として描出された.気管と食道の境界に相当する最外層の高エコー層が腫瘍エコーで断裂された場合を浸潤ありと判定したところ,91% の正診率が得られた.IAUS,BUS はCT より高い正診が得られ,食道癌の大動脈,気管・気管支浸潤判定に有用である.
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特集 知っておくべき術中診断法 5.胃癌腹膜播種の術中診断
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5.胃癌腹膜播種の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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治癒切除不能の胃癌症例が外科的切除から得る利益には限界がある.術前診断に加え,術中ステージングで原発巣切除の適応や術式の詳細を最終決定するのは今や時代の要請である.これに際し,腹膜播種の診断はひとつの柱であり,肉眼所見に加え,腹腔内洗浄細胞診による遊離癌細胞の検出も重要な予後因子と認識された.分子生物学的手法を用いた検出法で感度を上げ,ステージングの精度を向上させる試みも報告されつつある.
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特集 知っておくべき術中診断法 6.色素法による胃癌のセンチネルリンパ節生検
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6.色素法による胃癌のセンチネルリンパ節生検
64巻1号(2002);View Description
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リンパ節に転移を認めないことが,胃癌の縮小あるいは機能温存手術を行う前提である.内視鏡下で胃癌周囲粘膜下にパテントブルーを注射すると,その胃癌のリンパ流域が青染される.青染流域の青染節の中にセンチネルリンパ節が含まれており,生検により高い正診率で転移の有無を診断できる.手技の要諦は,遺漏ない青染リンパ節のサンプリングで,術野からの摘出ではなく,リンパ流域を郭清ののち,体外で青染リンパ節を峻別する方法を推奨する.このリンパ流域郭清は,迅速病理組織検査で検出し得ない微小転移の予防的郭清ともなる.
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特集 知っておくべき術中診断法 7.肝癌の術中診断
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1.病理
64巻1号(2002);View Description
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術中エコーで見出された結節性病変の質的診断の鑑別には,術中迅速診断が重要であるが,正確な診断を行うのは必ずしも容易ではない.ここでは,術中迅速診断の実際,診断のポイントとくに境界病変・早期肝細胞癌の鑑別,診断の精度と限界について概説する. -
2.画像
64巻1号(2002);View Description
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実質臓器である肝内に存在する肝癌の術中診断は術中超音波を用いて行う.術中超音波では死角がなく高解像度の画像が得られるため,術前に検出できない腫瘍栓や肝内転移,1cm 以下の小結節まで描出することが可能である.術中においては,腫瘍の肝臓内の脈管との解剖学的な位置関係を立体的に把握して術式を決定することが重要である.
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特集 知っておくべき術中診断法 8.胆道癌の術中診断
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8.胆道癌の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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胆道癌は消化管の癌と異なり術前に生検組織を得ることが困難であり,また解剖学的な制約から,腫瘍と十分な距離をとったen-bloc切除は困難である.このため術前のUS,EUS,CT,胆管造影等による質的診断,進展度診断が大切である.しかし進展方向が多様である上に,浸潤性に発育する腫瘍が多いことから,その境界の判定は困難である.そこで術中に肉眼診断,超音波診断,胆管造影などを行って,切離断端を癌陰性とするよう努力し,さらに積極的に標本の迅速病理診断を行って,診断を確定し,術式を決定していく必要がある.
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特集 知っておくべき術中診断法 9.膵癌局所浸潤の術中診断
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9.膵癌局所浸潤の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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膵癌局所浸潤の術中診断で重要な因子は血管浸潤と膵外神経叢浸潤である.動脈浸潤は術中USが有用で腫瘍接触面に対する縦断走査が必須である.門脈浸潤の有無は腫瘍と門脈が離れているか強い狭窄,閉塞をきたしている場合は容易である.しかし腫瘍の一部が接する例や軽度の狭窄例では両者の鑑別は困難で門脈内US(IPEUS)を施行する.IPEUS で門脈壁は一層のechogenic bandに描出され,その途絶の有無で微妙な門脈浸潤の診断が可能である.最近は3D IPEUS も可能となり長軸方向での視覚的理解が容易となった.またIPEUS で膵頭神経叢第2部に対する膵外神経叢浸潤の診断が可能となり神経叢郭清の指標となる.
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特集 知っておくべき術中診断法 10.膵内分泌腫瘍に対する術中診断
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10.膵内分泌腫瘍に対する術中診断
64巻1号(2002);View Description
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膵内分泌腫瘍は一般に予後がよいと考えられているが,インスリノーマを除く膵内分泌腫瘍は基本的に悪性腫瘍と考えて治療する必要がある.したがって正確な病巣の局在診断により腫瘍遺残のない切除手術を行うことが重要である.根治術が可能な病巣に対しては術前局在診断を行い,さらに術中診断を駆使して遺残のない手術を行う.術中のホルモンレベルや刺激反応性,生化学的マーカーをモニターすることで根治術が行えたかどうかを確認することが可能であり,膵内分泌腫瘍の治療指針として広く応用されるべきである.
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特集 知っておくべき術中診断法 11.大腸癌(肝転移を含む)の術中診断
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11.大腸癌(肝転移を含む)の術中診断
64巻1号(2002);View Description
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大腸癌における術中診断では,リンパ節転移,腹膜播種,腸管切離断端あるいは剥離面の癌浸潤,同時性肝転移などの検索が行われる.リンパ節転移,腸管切離断端などの術中診断は,症例によっては術式を左右する重要な検査となり得る.肝転移の術中診断は,視・触診と術中超音波(IOUS)により行われるが,IOUS が最も感度のよい検査である.
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特集 知っておくべき術中診断法 12.消化器癌のImmunoguided Surgery
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12.消化器癌のImmunoguided Surgery
64巻1号(2002);View Description
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わが国では,リンパ節郭清の縮小化を目的として,センチネルリンパ節を検出する試みが活発に行われているが,欧米では放射性同位元素で標識した癌特異的抗体を投与し,手術中に小型ガンマ線検出器で癌の局在や拡がりを検索するradioimmunoguidedsurgery(RIGS)の試みも散見される.RIGS の利点としては,腫瘍特異的な抗体を用いることによって腫瘍の質的診断が可能なことや治療にも応用可能なことが挙げられるが,その概略についてわれわれの実験結果を含めて紹介する.
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術者の心構え
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座談会/膵癌を語る
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連載/外科医のためのクリニカルパス実践講座(13)
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臨床と研究
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治療方針
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書評
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症例
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