外科

Volume 64, Issue 10, 2002
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特集 知っておくべき血管外科の基礎知識 1. 血管外科の基本手技
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1. 血管外科手技に必要な道具
64巻10号(2002);View Description
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近年,各専門外科領域における進歩はめざましく,機能温存による患者のQOL が求められる時代となってきた.このような背景から,血管外科領域で行われてきた安全で確実な血管処理,さらには血行再建術などが応用され各臓器の機能温存が求められるようになってきた.本稿では,ほかの専門的な外科領域においてもいろいろな局面で利用できるように,また今後血管外科を目指す若い先生方の理解の一助になるように,血管外科領域における基本的な器材を紹介する. -
2. 血管縫合—一般外科手術時の血管損傷にどう対応するか
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術中の出血に対しては落ち着いて出血点をみさだめ結紮,あるいは縫合閉鎖を行う.出血点の縫合のさいは,血管縫合糸を用い動脈遮断下に連続吻合で行うことが原則であるが,臨機応変の対応が必要である.動脈を閉塞させてしまった場合には,一応の手術操作の終了後に血行再建を行う.標的臓器の許容阻血時間はおおむね1時間程度であるが,腎動脈の場合は約30分のあいだに血流を再開する必要がある.血行再建にさいしては感染予防の配慮が必要である.
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特集 知っておくべき血管外科の基礎知識 2. 救急対応が必要な血管疾患
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1. 腹部大動脈破裂の診断と治療——破裂性腹部大動脈瘤・腸骨動脈瘤の診断と治療
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① 急激な腹痛・腰背部痛,② ショック(血圧80mmHg 以下)・意識消失,③ エコーで動脈瘤の三徴がそろえば破裂瘤と診断(迅速診断法)し,ただちに手術を行う.とくに瘤前面の低エコー像が破裂所見として重要である.開腹での大動脈遮断がもっとも速く確実である.瘤壁を確認しつつ,瘤前面に沿った最小限の剥離で術中損傷を防ぐ.破裂例は出血との戦いで救命を第一とし,“理想的な手術(下腸間膜動脈・閉塞動脈の再建や内腸骨動脈瘤切除)”は第一選択ではない. -
2. 急性大動脈解離の診断と治療
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急性大動脈解離とは,大動脈の壁が突然中膜の深さで剥離して壁が二腔となった状態をいう.臨床的病型分類として,Stanford分類とDeBakey分類が用いられているが,近年は前者を用いることが多い.上行大動脈が解離したStanford A 型解離は,発症早期に破裂して心タンポナーデで高率に死亡する.このために,CT などの画像診断で早急に診断確定後に緊急手術が必要なことが多い. -
3. 下肢急性動脈閉塞症の診断と治療
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下肢急性動脈閉塞症には塞栓症と血栓症がある.本症の病態は複雑で,局所にとどまらず全身への影響があるため,その治療の時期と処置を誤ると下肢の切断ばかりではなく全身的代謝障害のyonephropathic metabolic syndromeを引き起し重篤な病態に進展することがあるので,病態生理を十分に理解する必要がある.そこで,本疾患に対する最近の考え方と局所治療,全身管理・治療の動向について述べる. -
4. 急性腸管虚血の診断と治療
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急性腸管虚血は,おもに動脈血流の減少が直接の原因となる閉塞性急性腸管虚血と非閉塞性急性腸管虚血に分類される.またまれではあるが,静脈閉塞による腸管虚血もこれに含まれる.症状では腹痛がもっとも多くみられるが非特異的である.検査では造影CT やduplex scan,血管撮影によって確診を得られる.治療は血行再建手術を含む血流改善が第一選択であるが,診断が遅れやすいことから腸管壊死に陥り腸切除を要することもしばしばである.したがって予後は不良である. -
5. 深部静脈血栓症・肺塞栓症の診断と治療
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深部静脈血栓症や肺塞栓症では,救急対応が必要であり診断と治療を並行して行う.診断は,深部静脈血栓症では超音波検査で,肺塞栓症では造影CT で確定する.診断が困難な重症肺塞栓症では,経皮的体外循環装置の管理下に診断や治療を選択する.治療は,両疾患とも禁忌でない限り抗凝固療法を行う.深部静脈血栓症や肺塞栓症は,発症予防に努めるとともに,早期診断と標準的治療により重症化させないことが重要である. -
6. 四肢血管外傷の診断と治療
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四肢血管外傷は裂創,壁部分損傷,完全断裂,伸展損傷,仮性動脈瘤,動静脈瘻に分類できる.臨床像は局所出血と末梢循環障害に分けられ,末梢急性虚血,拍動性出血や拡大性血腫,大量外出血などは早急に外科的処置が必要である.修復手技においてもっとも重要なことは,損傷血管を露出する前に中枢と末梢の非損傷部位をコントロールすることで,結紮,縫合閉鎖,切除・吻合,グラフト置換術・バイパス術などの手技を用いて修復する.
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特集 知っておくべき血管外科の基礎知識 3. 日常診療でみることの多い血管疾患
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1. 腹部大動脈瘤の診断と治療
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腹部大動脈瘤は,いったん破裂すれば死にいたる疾患であるため,それを予防するためには手術が必要になる,その一方で基本的に良性疾患であるため,手術のタイミング,手術の適応についてはその基本方針をより明確に患者に説明する必要がある.また,最近ではendovascular surgeryの手技を応用した低侵襲手術手技が導入され,外科的治療に対してもいくつかの選択肢を考慮しなければならなくなりつつある.ここでは,腹部大動脈瘤の診断と手術術式,また診断と治療に不可欠なevidenceとも呼ぶべき腹部大動脈瘤の基礎知識についても合せて解説する. -
2. 慢性動脈閉塞症の診断と治療
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近年,本邦においては生活様式の変化や人口の高齢化に伴い慢性動脈閉塞症,とくに閉塞性動脈硬化症の増加が著しく,日常診療において念頭におくべき疾患の一つとなった.慢性動脈閉塞症の診断はontaineの分類に沿った問診と脈拍触知,また併存疾患の有無の検索が大事である.治療は薬物による内科的治療と侵襲治療としては血管内治療および外科治療があり,Fontaineの分類に沿って治療方針を決定するのが原則である. -
3. 頸動脈狭窄症に対する診断と治療—無侵襲的診断法と術中モニターの重要性
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動脈撮影で内頸動脈に70% 以上の狭窄を有する症例が手術適応である.脳血管障害による死亡率と合併症率は,有症状例に対して5% 以内,無症状例に対して3% 以内であることが望まれる.術前診断法としては血管撮影が一般的であるが,カラードプラ超音波断層法が無侵襲的であり広まりつつある.頸動脈内膜摘除にさいしては,選択的に内シャントを使用し脳虚血を予防するとともに,経頭蓋ドプラ法にて塞栓症を予防することが重要である. -
4. 糖尿病足病変の診断と治療
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糖尿病足病変(diabetic foot)は足部潰瘍,壊死を伴い,合併する下肢虚血と感染により増悪し下肢切断となりやすく,動脈閉塞・狭窄病変の存在を早期に診断することが重要である.糖尿病合併例では,とくに下腿三分枝に多発性硬化病変が好発し,足部動脈は比較的病変を免れるのが特徴である.したがって,救肢を目的としたバイパス術では自家静脈グラフトを用いた足関節領域の動脈へのバイパスにより,まず足部への十分な血液灌流を達成したあとに局所治療を行うのが原則とされている.静脈グラフトの質は比較的良好である場合が多く,開存成績も非糖尿病合併例と同等である. -
5. 下肢静脈瘤の診断と治療
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下肢静脈瘤はもっともポピュラーな末梢血管疾患であるが,放置すれば病状が徐々に増悪する慢性進行性の疾患である.本症の病態はきわめて多彩であり,また治療法も多岐にわたっているため,個々の症例における静脈瘤の病態を正しく診断したうえで,適切な治療法を選択する必要がある.診断においては,疾患の本態である弁不全の部位および範囲をドプラ血流計やduplex scanning により正確に評価することが重要である.また,各種治療法の長所・短所を理解し患者側の希望も考慮して,十分なインフォームド・コンセントのもとに治療を行うことが肝要である. -
6. リンパ浮腫の診断と治療
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リンパ浮腫の診断は経験のある医師にとってはそれほどむずかしくはないが,形態学的・機能的に明確に評価する適当な検査法がないのが現状である.今後はMRI などの無侵襲診断の普及が期待される.現在,リンパ浮腫の治療は保存的治療が主体となっているが,治療には長い時間と多大な労力を要し,侵襲の少ない手術的治療が望まれる.われわれが行っているリンパ管-静脈吻合の手術成績について述べ,その可能性について検討した.
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連載/外科医が知っておくべき麻酔管理の基礎知識(4)
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連載/EBMに基づく外科治療(1)
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術者の心構え
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臨床と研究
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書評
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症例
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◇重症下肢慢性閉塞性動脈硬化症合併腹部大動脈瘤に対しYグラフト置換および大動脈-膝窩動脈バイパスを施した1例
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書評
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症例
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◇Povidone-iodineによる腸管洗浄後implantationによると思われる吻合部再発をきたした直腸癌の1例
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