外科
Volume 67, Issue 1, 2005
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特集【Office-based surgery】
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I.総論
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1.Office-based anesthesia—— 麻酔法の選択と安全性の確保
67巻1号(2005);View Description Hide DescriptionOffice-based anesthesia(OBA)は病院での日帰り麻酔の延長形である.OBA では施設の能力に応じた適切な患者と麻酔方法を選択することが重要である.OBA 重大合併症のほとんどは医療資源(要員,監視装置,蘇生器具,救急薬品,運営方針など)の不足が原因であり,病院での日帰り麻酔と同等の安全基準の適用により予防可能である.ケアの質の確保と向上のためOBA には麻酔科医が関与するべきである. -
2.ペインマネジメント—— 術後鎮痛
67巻1号(2005);View Description Hide Description外来での小外科手術や日帰り手術において大切なことは患者のQOL の向上を目指し,患者のニーズに合せ,患者にとっていかに安全に苦痛なく確実に施行されるかであると考えられる.そのためには術後鎮痛も大きな因子となる.小外科手術での術後疼痛と術後鎮痛に用いる薬剤を中心にその概略を述べた. -
3.外科的生検法
67巻1号(2005);View Description Hide Description外科医が手術するか否か,治療方針を左右するもっとも重要な根拠は病理学的診断である.それゆえ,一般診療における医師の守備範囲として,各種生検法に習熟する必要がある.とくに,適切な方法を選択し正しい手技を身に付けなければ病理診断に耐えうる十分な標本を得ることができず,「診断の確定」という最終目的にいたらないこともある.乳腺領域では,より確実な組織の採取法として,画像ガイド下の組織吸引術(マンモトーム生検)のようなものも出現した.今回はさまざまな外科的生検法の適応,手法,成績についてまとめて概説する. -
4.外来の内視鏡治療
67巻1号(2005);View Description Hide Description食道,胃,大腸早期癌の内視鏡的診断の向上と並行して早期癌に対する内視鏡的切除術は高いレベルで確立されつつある.各臓器の治療ガイドラインが提示されるにいたって内視鏡治療の適応も明確にされてきた.現在のところ食道では絶対的適応に深達度m1,m2 癌,相対的適応にm3,sm1 癌,胃では大きさ2 cm 以下の肉眼的粘膜癌で分化型癌,大腸では深達度がsm1b にとどまる脈管侵襲陰性の癌が内視鏡治療の適応であり,一括切除が安全に行われる病変を外来治療の適応とすべきと思われる.外来での内視鏡治療の適応拡大は患者の社会生活の確保に大きく寄与するものと思われるが,出血,穿孔に代表される偶発症に対して予防法と対処法を検討して備えることも大切である. -
5.体腔穿刺とドレナージ
67巻1号(2005);View Description Hide Description外来診療において体腔穿刺,およびドレナージを要する症例に遭遇するのはめずらしくない.体腔液を認めたとき,その原因を解明するには貯留液そのものを分析することが重要であり,体腔穿刺は欠くことのできない検査手技である.したがって,体腔液貯留に対する穿刺の適応,禁忌,合併症,頻度,および難易度を十分に理解したうえで,総合的に判断して決めることが要求される.本稿では体腔穿刺の適応および手技について項目別に記す.
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II.各論—— 外来における診断・治療
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1.頸部腫瘤のアセスメント
67巻1号(2005);View Description Hide Description頸部腫瘤に対して,迅速,かつ患者に負担の少ない治療計画の策定が必要である.診療・診断にさいしての重要なポイントとして, 1.とくに触診に十分な時間をかける, 2.超音波検査の有効利用を図る, 3.頭頸部癌の存在を常に念頭に置く, 4.非Hodgkin リンパ腫の好発部位でもある, 5.安易な生検は禁忌であるといったことがあげられる. -
2.顔面外傷の初期治療
67巻1号(2005);View Description Hide Description顔面は患者から術後の傷跡について質問の出やすい部位である.確かに傷跡はみえてしまうが,反面適切な初期治療がなされれば瘢痕自体はよりよい治癒が期待できる部位でもある.また,血行がよいため初期治療までの待機時間も長く設定できるので,あせって処置せず環境を整えてからポイントを押さえた処置を行うのがよい. -
3.乳腺外科
67巻1号(2005);View Description Hide Description乳腺外科領域におけるEBM の発達は目覚ましく,診断および治療選択肢を患者に提供するうえで外来診療におけるインフォームド・コンセントの重要性が増してきている.診断学の発達によって乳癌においても一部外来手術が可能となった今日,他疾患においても必要な手術は外来で行い,不必要な手術は回避すべきである.乳腺外科外来ではoffice-based surgery の考え方がきわめて重要である. -
4.直腸・肛門外科
67巻1号(2005);View Description Hide Description直腸・肛門外科の外来診療の対象疾患は,痔核,裂肛,痔瘻などの肛門疾患の他に,炎症性腸疾患や肛門周囲の悪性腫瘍,感染性疾患と多岐にわたる.出血をきたす疾患の中では内痔核がもっとも頻度が高いが,悪性疾患を見逃さないように注意が必要である.また,出血の程度や部位を推定し,入院が必要か否かを判断する必要がある.疼痛をきたす疾患は肛門周囲膿瘍,血栓性外痔核,裂肛などがあり,なかでも肛門周囲膿瘍では切開・排膿などの速やかな外科的治療が必要となる.治療面では疾患の種類とその程度により薬物療法や手術療法を選択するが,疾患にかかわらず排便習慣と肛門衛生の指導が重要である. -
5.静脈とリンパ管の外科
67巻1号(2005);View Description Hide Description静脈疾患は動脈疾患ほどポピュラーではなかったが,肺塞栓・深部静脈血栓症がエコノミークラス症候群としてマスコミにとりあげられようになり,医師だけではなく患者の関心も高まっている.また,下肢静脈瘤もストリッピング手術だけではなく硬化療法をからませた多数の治療が存在するようになってきた.本稿では,静脈およびリンパ管疾患の代表的疾患である下肢静脈瘤,深部静脈血栓症,リンパ浮腫の診断・治療について述べる. -
6.軽・中等度熱傷の治療
67巻1号(2005);View Description Hide Description外来治療が適応となる熱傷はほぼII 度15%未満,III 度2%未満で,かつ全身管理を要さないものである.顔面,手背,外陰部など複雑な治療を要する部位もこれに該当しない.治療はatraumatic,asepticを原則に早期で感染を合併しない時期は吸水性の大きな創傷被覆材を使い,感染が生じれば抗菌性材料で抗菌薬含有軟膏を厚く使用する.壊死組織が存在すれば化学的あるいは外科的デブリドマンを積極的に行う.創処置は早期で滲出液が少ない場合は3 〜 4 日に1 回,多ければ1 〜 2日ごとに行う.感染が合併した場合も1 〜 2 日ごとに創処置を行う.DDB 以上で上皮形成後瘢痕を残すものはそれに対する圧迫療法なども怠ることができない. -
7.ひょう疽~陥入爪の治療
67巻1号(2005);View Description Hide Descriptionひょう疽は疼痛の著しい指腹部の感染疾患であるが,適切な切開排膿処置により治癒が得られる.指腹部の解剖学的形態から特徴的な臨床所見を示し,遷延すると指骨骨髄炎,遠位指節間(DIP)関節破壊へと進行することがあるので早期治療を行う.陥入爪の多くは爪甲側縁の2 次的変形に感染を合併する第1 趾に好発する疾患である.変形した爪甲が生えないよう爪母の部分的切除が一般的である. -
8.軟部組織感染症
67巻1号(2005);View Description Hide Description軟部組織感染症は日常の外来でよく遭遇するが,その診断と治療は一般に考えられているよりむずかしく,処置が不適切であると,生活の質を落とすだけでなく重篤な合併症をも引き起す.代表的なものとして,膿瘍・蜂窩織炎・壊死性感染症をとりあげ,外科医が知っておくべき知識とコツを概説し,膿瘍の切開排膿と壊死性感染症については詳しく述べる.また特殊なものとして,咬傷の取扱いと破傷風の予防についてもとりあげる.
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連載/外科医のための輸血医学講座 (9)
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