外科

Volume 68, Issue 6, 2006
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特集【外科領域におけるPET の意義と臨床応用】
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1.総論
68巻6号(2006);View Description
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PET は腫瘍に対して特異性の高い薬剤を用いて画像化する,他の画像診断にない特徴をもつ診断法である.従来は解像度の低さが欠点であったが,PET/CT の登場により改善された.PET の有用性を述べる場合には病名よりも検査目的のほうが重要であり,多くの癌に共通する事項として,転移や再発診断,治療効果判定に有用性が高く,「高コントラスト,広範囲」画像がPET の特性である.最近ではCT の3 次元画像と組み合せ,術前の解剖学的情報をもたらす画像も研究されている. -
2.食道癌
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食道癌におけるFDG(fluorodeoxyglucose)−PET 検査は,specificity が高く,全身検索が可能という点で正確な進行度診断には不可欠である.SUV 値は腫瘍の大きさと相関し,治療後集積(−)のPET-responderは組織効果grade 2 以上で,良好な予後が期待され,外科切除のよい適応である.FDG-PET は食道癌治療戦略上,key となる検査と考える.ただし,5×5 mm の腫瘍が検出限界で,他のmodality の診断と併用し,総合的に診断することが肝要である. -
3.胃癌
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FDG(2-fluoro[18F]-2-deoxy-d-glucose)を用いたPET 検査(FDG-PET)は,癌細胞が正常細胞に比較して糖代謝が亢進し,ブドウ糖の摂取が高い特性を利用した画期的な検査として高く評価されている.しかし胃癌は,悪性腫瘍の中でもFDG-PET 検査での検出が比較的困難であるとされている.その理由として,第一に胃の生理的集積のため判定不能例が存在すること,第二に癌細胞の分化度,すなわち細胞密度,粘液量,glucose transporter 1 の発現などによりFDG 集積が異なること,第三に腫瘍径の小さい病変,深達度の浅いいわゆる早期の病変の検出率がわるいことなどがあげられる.消化器癌領域全般では,検診診断,良悪性鑑別,病期診断,再発診断,さらには治療効果判定,効果予測,予後評価など幅広く臨床研究がすすんでおり,胃癌においても限界はあるものの有用性はある.最近のthin slice のCT とFDG - PET を重ね合せたPET/CT の臨床応用を含めた臨床研究がすすむことにより,今後さらに有効な診断手法として進化を遂げるであろう. -
4.大腸癌(結腸癌~直腸癌)
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FDG(18F-fluorodeoxyglucose)-PET の利点は,一度の検査で全身評価可能な点であり,大腸癌においては肝・肺転移などの遠隔転移,リンパ節転移や骨転移などを評価することができる.リンパ節転移では,いまだその感度は十分ではないものの偽陰性例が少ないことが特徴である.一方,局所再発や腹膜転移におけるFDG-PET の有用性は高い.また,再発巣の治療効果判定法としても有用である.PET の利点や欠点を熟知したうえで,従来の診断法と組み合せることが肝要である. -
5.肝細胞癌
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FDG(fluorodeoxyglucose)-PET での肝細胞癌検出率は50〜70%で,超音波検査やCT に比べ劣っている.これは,肝細胞癌,とくに高分化型の脱リン酸化酵素活性が高いため,FDG が細胞外に汲み出されることが原因である.PET 陽性例は,中・低分化型,AFP 高値,腫瘍径が大,血管浸潤例が多いなど悪性度が高いと考えられ,肝外転移の検出に有効とされている.11C-acetate は,高分化型肝細胞癌の検出に有効であり,新規トレーサーの開発が望まれる. -
6.胆嚢・胆管癌~膵癌
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膵胆道領域においてもFDG(fluorodeoxyglucose)-PET がCTやMR などの形態画像とは異なる情報を提供する検査として普及してきている.保険適用疾患として認定されているのは膵癌と腫瘤形成性膵炎との鑑別診断であるが,存在診断や進行度診断,再発診断や治療効果判定など,幅広い目的で施行されている.この領域でFDG - PET の診断的意義がもっとも高いと思われるのは術後の再発診断であり,次いで遠隔転移診断や鑑別診断で有効例を経験している. -
7.肺癌—術前診断におけるFDG-PET の有用性
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肺癌原発巣に関するFDG(fluorodeoxyglucose)-PET の診断意義は,感度96%,特異度78%と報告されている.SUV,image,その両者のいずれを用いても有意差がない.高分化腺癌および1 cm 以下の結節影は,診断は困難であることが多い.リンパ節転移は,感度83%,特異度96%と報告されている.遠隔転移は,副腎転移がCT より感度が高い.骨転移は,感度90%で骨シンチと同等であるが,特異性98%と骨シンチより優位性をもつ. -
8.乳癌
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乳癌診療においてFDG(fluorodeoxyglucose)-PET への期待は大きく,実際にFDG - PET は原発巣の良悪性の診断のみならず,検診としての早期発見,術後再発病巣の発見,術前病期の決定や重複癌の発見,化学療法の効果判定などに有用である.また,FDG-PET による術前の腋窩リンパ節転移の評価は,センチネルリンパ節生検の適応決定には重要である.さらに,化学療法の効果判定など,複数のmodality を必要とする症例では,一度で全身の検索が可能なFDG-PET は検査時間の短縮や経済的な負担の軽減に貢献するものと考えられた. -
9.甲状腺癌
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最近FDG-PET が悪性腫瘍の診断に有用とされ,癌検診や癌の経過観察などによく利用されるようになった.これに伴い多くの甲状腺疾患はFDG 集積があるために精査する機会が多くなっている.甲状腺癌では病変の脱分化に伴いFDG 集積が上昇する傾向があるといわれている.このためFDG-PET はとくに進行癌や再発癌において頸部・上縦隔・遠隔転移病変の進展範囲把握や切除範囲決定に有用な情報をもたらす低侵襲の検査である.甲状腺癌のうち大多数を占め臨床上のマネジメントにPET を用いることが有用とされる分化型甲状腺癌を中心に,FDG-PET の現状と臨床的意義および注意点について紹介する. -
10.Gastrointestinal stromal tumor
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Gastrointestinal stromal tumor(GIST)は消化管の粘膜下腫瘍(SMT)の大半を占め,外科切除が治療の基本である.FDG-PET は切除不能例や再発の場合のimatinib の効果判定にしばしば用いられており,その臨床的価値は高い.また,リスクの高いGIST ではSUV が有意に高いことから,初発時の悪性度の予測因子として用いることが可能である.術前・術後を通しての利用が可能である. -
11.悪性リンパ腫
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悪性リンパ腫は全身疾患であり,一度の検査で全身検索が可能なPET 検査は本疾患に適した検査といえる.一般に悪性リンパ腫に対してFDG(fluorodeoxyglucose)は強い集積を示す.その検査目的はおもにステージング,治療効果判定,再発診断であり,いずれにおいても有用性が多数報告されている.しかしながら同時にいくつかの限界点が存在することの認識も必要である.最近ではPET/CT が普及してきており,FDG-PET のさらなる臨床応用が期待される.
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臨床経験
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症例
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術後EAP(etoposide~adriamycin~cisplatin)療法が奏効した胃小細胞癌の1 例
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書評
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