Volume 68,
Issue 13,
2006
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特集【胃癌の外科—最近の諸問題】
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外科 68巻13号, 1647-1652 (2006);
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胃癌治療にはガイドラインに代表される標準化と各症例に応じた縮小あるいは拡大への個別化という二つの流れがある.胃癌治療の標準化に求められる質の高いエビデンスは現時点では十分とはいいがたいが,手術治療,化学療法それぞれの分野で臨床試験がすすめられつつある.治療個別化のためにはsentinel node 生検などの工夫とともに術中診断の精度が重要で,分子生物学的手法も期待される.胃癌の諸問題につき診断と治療を中心にoverview した.
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外科 68巻13号, 1653-1659 (2006);
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疫学的研究,動物実験,臨床研究によりHelicobacter pylori( H.pylori)感染と胃癌発生との関連は強く示唆され,「除菌により胃癌発生を抑制しうるか否か」という問いに対する研究結果も近年,世界各国で報告されてきた.しかし胃発癌にはH. pylori自体,宿主,環境の3 因子の相互作用の研究が必要であり,その研究は自国のものでなければ意味がない.日本における介入研究(JITHP)もようやく終了し,最終的な成績ではないが,本稿にて紹介した. H. pyloriの除菌は胃前癌状態を低率ながら改善し,ひいては胃発癌の予防に有用と考えられる.
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外科 68巻13号, 1660-1667 (2006);
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胃癌の微小転移,微小癌細胞検出について過去の報告例をまとめ,その臨床的意義について考察した.郭清リンパ節,骨髄,血液中の微小癌細胞の検出については,まだその臨床的意義に関するコンセンサスは得られておらず,これをルーチン検査として臨床応用する段階ではないと考える.一方,腹腔洗浄液中の微小癌細胞診断は,予後,とくに腹膜播種再発と有意に相関する点ではコンセンサスが得られていると考える.さらに,2006 年4 月より固形癌の採取液遺伝子診断に保険点数がつくことになり,臨床導入の機運が高まっている.本稿では,この臨床応用例,あるいは,ルーチン化を目指した診断法の改良についても報告する.
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外科 68巻13号, 1668-1672 (2006);
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胃癌治療ガイドラインが2001年に公表され,第2 版が2004年に公開されるまでに,日本胃癌学会会員を対象にアンケート調査が行われた.その調査結果から,ガイドライン作成後どのような意識の変化がみられたのか考察した.そして,第3 版作成に向けてどのようなことが行われるべきか,またガイドラインのあり方についても言及した.
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外科 68巻13号, 1673-1681 (2006);
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当科における胃癌クリニカルパス(CP)とその導入の成果を紹介した.患者中心の医療を展開し,医療の質を高め,医療の効率化を実現するために,CP のさらなる普及が必須であると考えられる.胃癌でCP がかなり普及し,各施設のCP 内容が公開されることにより,胃癌術後管理における施設間格差が浮き彫りにされた.今後は,各施設がバリアンス分析を行いつつ,他施設のCP とも比較して自施設のCP を改善することにより,胃癌治療の術後管理における標準化も進展すると考えられる.
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外科 68巻13号, 1682-1687 (2006);
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当科におけるESD 施行例の成績から早期胃癌に対するESD の適応拡大が妥当であるか検討した.大きさを問わずUL(−)の分化型M癌,② 3 cm 以下でUL(+)の分化型M 癌,③ 3 cm 以下でUL(−)の分化型SM1 癌,④ 2 cm 以下,UL(−),未分化型M癌を適応拡大群と定義した.適応拡大群は適応内群〔大きさ2 cm 以下でUL(−)の分化型M 癌〕と比較し,一括完全切除率,偶発症発生率および遺残再発率に有意差を認めず,安全性の面からは許容できる成績であった.
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外科 68巻13号, 1688-1693 (2006);
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センチネルリンパ節とは、腫瘍からのリンパ流を直接受けるリンパ節のことである.センチネルリンパ節生検によりリンパ節転移陰性を精度高く診断可能であれば、根治性を損なうことなくリンパ節郭清を省略できると期待されている.しかしながら、胃癌においては、現在二つの多施設共同研究によりその妥当性が検証されている段階であり、日常診療として安易に用いられる状況にはない.両試験の結果が待たれるが、結果を解釈するさいに、それぞれ留意すべき点がある.
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外科 68巻13号, 1694-1699 (2006);
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胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術は年々増加しており,年間約2,000 例以上が行われるまでになった.経験数の増加とともに,適応も早期胃癌からT2N0 のいわゆる中期胃癌に拡大されている.また,胃全摘術や噴門側胃切除術,さらには完全鏡視下手術などへと,その応用拡大もなされている.胃癌に対する腹腔鏡下幽門側胃切除術が標準治療の一つとして定着するためには,安全な手技の確立と癌治療としての評価が急務である.
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外科 68巻13号, 1700-1705 (2006);
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幽門側胃切除の再建方法にはさまざまな方法があり,施設・術者によって異なっているのが現状である.術式間の優劣を決定づける大規模臨床試験が行われていないため,必ずしもコンセンサスが得られていない.当施設では,早期胃癌症例では機能温存および残胃炎・逆流性食道炎・残胃癌の発生頻度を考慮し,幽門保存胃切除を第一選択とし,幽門保存が不可能の場合,幽門側胃切除・空腸間置再建を行っている.進行胃癌では局所再発の可能性を考慮し,幽門側胃切除・Roux-en Y再建を行っている.
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外科 68巻13号, 1706-1711 (2006);
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胃食道接合部癌の治療戦略について,Siewert 分類をもとに,二つのphase III の結果から解説した.Dutch trial では開腹群に対し右開胸群の優越性が検証された.その傾向は,type I でより顕著であった.JCOG9502 は開腹群に対する左開胸開腹群の優越性を検証する試験であったが,無効中止となった.Type II,III で,ハザード比に差異を認めなかった.以上より,標準的治療は,type I:右開胸開腹2領域郭清,type II/III:開腹経裂孔アプローチD2 郭清,と位置づけられる.
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外科 68巻13号, 1712-1717 (2006);
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拡大手術とは,他臓器合併切除あるいは拡大リンパ節郭清など,定型手術を超える胃切除術式である.拡大手術が有用とされるには,標準手術より優れた良好な成績を証明する必要がある.拡大手術として腹部大動脈周囲(No. 16)リンパ節郭清,膵尾側・脾切除,脾摘,食道浸潤胃癌に対する縦隔リンパ節郭清,肝切除(同時性,異時性),膵頭十二指腸切除術,左内臓全摘術を取り上げ,適応と問題点について解説した.本邦では伝統的に拡大手術が積極的に行われてきたが,延命効果が検証されているものは少ない.今後は科学的根拠に基づき術式の妥当性を検証し,理論と実践に即した治療方針が構築されていく必要がある.
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外科 68巻13号, 1718-1724 (2006);
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新規抗癌薬(S-1,CPT-11,taxane 系薬剤)の導入により,最近では癌性腹膜炎にも優れた効果が報告されるようになった.その投与スケジュール,組み合せ,腹腔内投与などが検討されている.これに伴い,治療方針の決定のための診断も重要となり,減量手術,緩和手術などの外科治療も,集学的治療の一部として再評価されつつある.有効な抗癌薬の出現により,癌性腹膜炎に対しても新たな治療戦略が検討され始めている.
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外科 68巻13号, 1725-1730 (2006);
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わが国のガイドラインでは,胃癌根治術後は経過観察が標準であるとされているにもかかわらず,盛んに術後補助化学療法が行われてきた.一方,手術単独が標準と主張してきた欧米では昨今,周術期の補助化学療法ないしは化学放射線療法がエビデンスのもとに展開されている.欧米とわが国では胃癌外科治療をめぐる事情が大きく異なり,これが補助療法にも影響を及ぼしている.しかし,ここにきて,わが国の標準治療にもエビデンスのもとに変革が訪れそうである.
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臨床と研究
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外科 68巻13号, 1731-1734 (2006);
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臨床経験
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外科 68巻13号, 1735-1739 (2006);
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症例
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外科 68巻13号, 1740-1744 (2006);
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外科 68巻13号, 1745-1749 (2006);
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外科 68巻13号, 1750-1754 (2006);
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外科 68巻13号, 1755-1759 (2006);
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外科 68巻13号, 1760-1764 (2006);
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外科 68巻13号, 1765-1768 (2006);
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