Volume 69,
Issue 13,
2007
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特集【術中出血の防止と止血の要点】
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外科 69巻13号, 1663-1666 (2007);
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甲状腺手術のさいに,上甲状腺動静脈,下甲状腺動脈,Berry靱帯部の処理を誤まり出血させると,近傍に存在する反回神経や上喉頭神経外枝を損傷する可能性が生じる.出血したら慌てずに圧迫し,術野をきれいにして,周囲の解剖と出血点を確認後,小さな鉗子を用いて血管のみを結紮するよう心がける.術後出血による気道閉塞が致命傷になるので,創部の観察を十分行い,出血を認めれば処置が遅れないようにする.
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外科 69巻13号, 1667-1671 (2007);
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乳房の栄養動脈の60%は鎖骨下動脈から分岐する内胸動脈,最上胸動脈,胸肩峰動脈で,30%は腋窩動脈から分枝し乳房外側から胸筋を貫通する外側胸動脈である.3 〜 5 肋間動脈外側貫通枝(10%)からも血流を得ており,これらは同名の静脈に還流する.これら血管の走行の他,乳腺組織とリンパ節群を包む筋膜層の解剖を十分理解していなければ無駄な術中出血をきたし,不十分な止血は術後出血の原因となる.縮小手術においても,術前画像診断により切除乳腺やセンチネルリンパ節と血管との関係を把握しておくことが肝要である.
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外科 69巻13号, 1672-1676 (2007);
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多くの消化器疾患の手術に携わってきたが,食道癌手術における術中出血ほど怖いものはないというのが正直な感想である.食道癌手術においては,占居部位,進行度を念頭に入れ,手術操作の中で,いつどこで出血が起きるかを絶えず予測し,決して無謀な操作をしてはならない.術中出血が生じた場合を前もって予測し,心臓血管外科医に相談しておくなど,その対応ができる準備を行っておくだけの慎重さが必要である.
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外科 69巻13号, 1677-1682 (2007);
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胃全摘術はおもに胃上部に及ぶ進行癌が対象で,まれに広範囲の早期癌で噴門側胃切除や幽門側胃切除では断端距離が不十分となる症例に行われる.隣接臓器への直接浸潤が多く,リンパ節郭清のための脾摘など,常に適切な合併切除の検討を要する.リンパ節郭清はD2 が基本であり,進行癌ではNo. 10,11p,11d,場合によってはNo. 14v リンパ節の郭清が必要である.リンパ節郭清や合併切除による出血をきたしやすい術式であり,十分な解剖学的理解と外科的技術をもって行う必要がある.
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外科 69巻13号, 1683-1687 (2007);
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右結腸切除中に出血をきたしやすい部位として,本稿では 1.surgical trunk の処理,とくに回結腸動脈と回結腸静脈の処理に関して,および 2.Henle の胃結腸静脈幹に関して述べる.
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外科 69巻13号, 1688-1693 (2007);
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結腸左半切除術の手術中に止血困難な出血に遭遇する可能性の高い脾彎曲部の授動では,脾彎曲部の良好な視野展開が,脾臓の被膜出血などの無駄な出血回避には重要である.術中に出血を認めても,焦らずに大網の切離を行うことにより,十分視野を展開した後に,脾彎曲部の授動や止血を行うことが安全で確実である.また近年,止血装置の改良により安全確実な止血が可能となった.
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外科 69巻13号, 1694-1698 (2007);
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直腸癌に対する低位前方切除術は,すでに確立された標準的な手術手技である.局所の解剖を熟知し,膜の解剖に沿った手術を行えばほとんど出血をみることなく手術を終了することが可能である.しかしながら,剥離層を間違えた場合には出血をきたし,とくに仙骨前面からの出血は多量となりえる.本稿では,低位前方切除術において出血をきたさないためのアプローチを中心に概説する.
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外科 69巻13号, 1699-1705 (2007);
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骨盤内臓全摘術で処理する血管の中で,出血しやすく止血がむずかしく,大量出血に結びつくのは,内腸骨血管系とSantorini 静脈叢である.仙骨静脈叢も処理を誤ると大量出血する可能性がある.これらの出血を防止し,安全に止血するためには,解剖の理解がもっとも重要である.内腸骨血管系の処理では丁寧に全周性に血管を剥離露出した後に鉗子をかけることが肝要であり,盲目的に鉗子を通すことは避けなければならない.Santorini 静脈叢の処理ではbunching technique が有効である.仙骨静脈叢からの出血には圧迫止血と電気凝固をうまく用いるのがコツである.また,後出血を防止するために出血点は一つひとつ丁寧に確実に止血しなければならない.
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外科 69巻13号, 1706-1711 (2007);
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右肝切除術における出血防止の工夫,出血時の対処法につき概説した.肝離断までの要点は, 1.開胸開腹による良好な視野の確保, 2.肝門での尾状葉門脈枝の確実な処理, 3.右副腎,短肝静脈,下大静脈靱帯の安全な剥離操作,である.肝離断は肝阻血下に行い,離断中は中心静脈圧,肝静脈圧の低下に努めながら,中肝静脈の分枝を確実に処理する.出血をみたときは,肝静脈根部を圧迫して出血をコントロールしながら,出血点に針糸をかけ縫合止血する.丁寧な剥離,離断操作,確実な結紮など,基本手技の積み重ねが重要である.
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外科 69巻13号, 1712-1717 (2007);
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肝左葉切除術は肝臓外科においての基本手技を網羅したもっとも定型的な肝切除の一つである.手術は,大きく分けて肝門部へのアプローチ,肝左葉の授動と肝離断の三つの段階で構成されている.各段階とも,血管へのアプローチ,処理を丁寧に行えば,不測の出血は起りえない.肝切除の成績を決定する重要な因子の一つは術中出血量である.この出血量軽減のためにも,確実で正確な肝の解剖学的知識に基づいた手術操作が求められる.
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外科 69巻13号, 1718-1721 (2007);
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肝尾状葉切除は,肝細胞癌あるいは転移性肝癌などに対する尾状葉単独切除と,胆道癌に対する肝葉切除に併施する尾状葉合併切除の大きく二つに場合分けできる.尾状葉へ分布する静脈系は,中肝静脈背面より分布するものと下大静脈より直接分布するものがある.これら静脈系からの出血の制御が出血量減少にもっとも肝要である.とくに中肝静脈よりの小分枝からの出血にはタココンブ(フィブリノゲン配合剤)の小片を出血点に正確に貼布することが有効である.
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外科 69巻13号, 1722-1727 (2007);
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胆嚢床切除術・肝中央下区域切除術は胆嚢癌の一切除術として施行され,リンパ節郭清・胆管切除を伴うことが多い.リンパ節郭清・胆管切除時には,出血は細かな血管からみられるのみであるが,リンパ節と肝動脈・門脈,膵との関係をよく把握しておく必要がある.肝切離時は,P4a の走行形態と中肝静脈の走行形態に注意が必要である.出血をみた場合は慌てずに出血点をよく確認のうえ,圧迫あるいは結紮・縫合止血を行えばよい.
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外科 69巻13号, 1728-1731 (2007);
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膵頭十二指腸切除術を必要とする疾患の場合,閉塞性黄疸をきたしていることが多く,外胆汁瘻で減黄されているときにはビタミンK吸収障害があることに留意して,術前の凝固能正常化を図る.膵頭十二指腸切除術が他の上腹部手術と異なる点は, 1.上腸間膜動脈根部の露出, 2.上腸間膜静脈,門脈系の全露出, 3.膵切離,膵摘出,の操作がある点であり,とくに膵頭部癌でのこれらの操作法を説明し,このときの出血・止血に対する留意点につき解説する.
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外科 69巻13号, 1732-1738 (2007);
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膵尾側切除術における術中出血の防止と止血の要点について概説した.脾臓および膵体尾部の後腹膜からの脱転のときにはToldt の癒合筋膜を膵実質につけて脱転することが重要である.膵実質の切離のときには膵の上縁でみられる上横行膵動脈(superior TP)と膵の下縁の横行膵動脈(TP)を明確に認識しておかなくてはならない.これらの動脈をあらかじめ結紮しておく目的で,切離時には膵の上縁および下縁の膵実質を予定切線から約5 〜 10 mm 十二指腸寄りのところで結紮しておく.膵の断端における動脈分枝からの出血に対してはZ 縫合を2 針ずつかけて止血する.脾静脈に下腸間膜静脈が流入する頻度は約34%である.脾静脈から膵実質への分枝は細かな枝が頭側および尾側方向に多数存在するので,脾温存尾側膵切除術のときには膵切離部から膵尾部末端にいたるまで丁寧な結紮・切離が必要となる.
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臨床と研究
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外科 69巻13号, 1749-1753 (2007);
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臨床経験
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外科 69巻13号, 1754-1760 (2007);
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症例
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外科 69巻13号, 1761-1766 (2007);
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外科 69巻13号, 1767-1769 (2007);
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外科 69巻13号, 1770-1773 (2007);
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外科 69巻13号, 1774-1778 (2007);
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外科 69巻13号, 1779-1784 (2007);
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