外科

Volume 71, Issue 8, 2009
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特集【知っておくべき消化器手術の再建法】
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1.食道亜全摘後の再建法
71巻8号(2009);View Description
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食道再建に用いる臓器には胃,結腸,空腸がある.それぞれ利点と欠点があるが食道切除術自体が大きな侵襲を伴う手術であるから,手技上簡便で安全性の高い胃を用いることが多い.胃が用いられない場合は結腸を,また結腸も使えないときに空腸を用いるのが一般的である.しかし,胃は潰瘍,癌と副病変の頻度が高く,また胃を用いた場合は食物のリザーバーとしての機能がなくなる.そのため第一選択として結腸や空腸を用いる施設もあるが確実性,簡便性,安全性の観点からみれば胃による再建が第一選択であろう.再建臓器の選択と作成法,挙上経路について述べた. -
2.噴門側胃切除術後の再建法
71巻8号(2009);View Description
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近年,診断法の向上により早期胃癌の発見が増加している中で,噴門側胃切除術は噴門部領域の早期癌に対して行われ,縮小手術の一つとして位置づけられる術式である.再建術式には, 1.食道残胃吻合法, 2.空腸間置法, 3.空腸嚢間置法, 4.double tract 法があるが,各再建術式間の優位性を示唆するエビデンスは乏しく,逆流性食道炎やうっ滞などの愁訴を軽減するための工夫がなされ,生活の質(QOL)の向上をめざしている現状である. -
3.噴門側胃切除術後の空腸嚢間置再建術
71巻8号(2009);View Description
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U 領域の早期胃癌に対して臓器機能温存,機能再建を目的として行われる噴門側胃切除術後空腸嚢間置再建の手術術式を述べ臨床成績について検討した.術式の要点は, 1.迷走神経肝枝,腹腔枝を温存し幽門機能を維持する, 2.残胃の大きさは幽門輪から小彎側で7〜8 cm,大彎側で15 cm 前後,空腸嚢は10 cm とする, 3.手技の簡素化を図るため空腸嚢と残胃の吻合は二角吻合とする, 4.逆流防止機構としてToupet の噴門形成術を付加するなどである.本術式の治療効果の評価はいまだにエビデンスレベルの高いものは少なく,より生活の質(QOL)の維持・向上をめざした術式の改善・開発が期待される. -
4.幽門側胃切除術後の再建法
71巻8号(2009);View Description
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世界初の胃癌手術成功例(1881年)は幽門側胃切除術で,再建はBillroth Ⅰ法であり,以来Billroth Ⅰ法は幽門側胃切除術後の再建においてまぎれもなく主役であった.現在ではBillroth Ⅰ法とその後開発されたRoux-en-Y法の2 法が広く採用・認知されているが,Billroth Ⅰ法は,操作が簡便で生理的などの利点がある反面,縫合不全の発生率および十二指腸消化液の逆流に起因すると考えられている残胃癌発生率がRoux-en-Y 法に比べ高いことから,最近の腹腔鏡手術の普及とともにRoux-en-Y 法にその主役の座をとってかわられつつある. -
5.胃全摘術後の再建法── 腹腔鏡補助下胃全摘術における再建法
71巻8号(2009);View Description
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胃全摘後の再建術式にはさまざまな方法があるが,現時点ではRoux-en-Y 再建がもっとも広く行われており,標準術式といえる.近年,腹腔鏡補助下胃全摘術(LATG)も行われ始めているが,LATG では食道空腸吻合が開腹手術と比較して困難である.現在,自動吻合器あるいは自動縫合器を用いた方法のいずれかが施設ごとに選択されているが,当科では開腹手術と同様の自動吻合器を用いた再建を行っている.われわれの行っている引き上げ法,経口アンビル法について解説する. -
6.結腸切除術後の再建法
71巻8号(2009);View Description
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結腸切除後の腸管吻合法としては手縫い吻合と器械吻合がある.手縫い吻合にはAlbert-Lembert 法,Gambee法,層々2 層吻合などがあるが,消化器外科医としていずれかの手技に習熟しておくことが必須である.一方,器械吻合法として機能的端々吻合法や三角吻合法などが報告されている.手縫い吻合が困難な状況において器械吻合は有用な手技と考えられる. -
7.直腸切除術後の再建法
71巻8号(2009);View Description
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直腸癌に対する低位前方切除・端々吻合の術後に発生する排便障害を改善する三つの再建法を解説した.J 型結腸嚢は自動縫合器で長さ5〜6 cm のものを作成する.側端吻合は長さ3 cm のside limb で十分である.Coloplasty はJ 型結腸嚢再建が困難な症例ではよい適応である.これらの再建法は端々吻合と比べて排便回数,便意促迫,便失禁などの排便障害が改善する. -
8.生体肝移植術における再建法(静脈~動脈~胆管)
71巻8号(2009);View Description
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生体肝移植における静脈,動脈,胆道再建の多くは近年考案された.静脈再建は大きな吻合口を確保し縫合する必要がある.また,グラフト内のうっ血域を減少させるために,肝静脈分枝の再建は必須である.動脈再建は,吻合動脈の直径が全肝移植の動脈吻合に比べて細いため,顕微鏡下での施行が適している.胆道再建は,胆管を病変の主座とする原発性硬化性胆管炎や胆道閉鎖症を除き,胆管胆管吻合を行う. -
9.肝外胆道切除術後の胆道再建法
71巻8号(2009);View Description
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胆管空腸吻合をはじめとする胆道再建術は消化器外科の重要な基本的手技の一つであるが,細径の吻合で操作部が深いなどの特徴がありいくつかの留意点がある.吻合部狭窄を防ぐために胆管周囲の結合組織をいたずらに剥離してはならない.また結紮前に多数の吻合糸をかける必要があり,スーチャーホルダーなどを利用し糸をさばくとよい.術中手技に留意するのみならず,病態に即して再建法の選択や手術療法以外のアプローチを検討すべきである. -
10.膵頭十二指腸切除術後の膵管再建術
71巻8号(2009);View Description
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膵頭十二指腸切除術後の膵管再建術のうち,膵空腸吻合の基本は膵被膜実質と空腸漿膜筋層(外層),膵実質・膵管と空腸全層(内層)との2 層縫合である.ステントチューブの留置の有無にかかわらず,内層の縫合では膵管や膵実質を損傷しないように確実に縫合し,外層の縫合では膵被膜をしっかり拾い,膵断端の血流障害を最小限に抑え膵実質損傷に注意しながら膵と空腸が密着するように縫合する.膵液瘻の頻度はステントチューブの留置の有無による差はなく,本法は有用な膵管再建術の一つと考えられた.
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連載
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臨床と研究
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症例
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Imatinibの術前投与により安全に根治手術しえた十二指腸gastrointestinal stromal tumor の1例
71巻8号(2009);View Description
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書評
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