Volume 71,
Issue 13,
2009
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特集【炎症性腸疾患─最近の動向】
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外科 71巻13号, 1497-1505 (2009);
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炎症性腸疾患として,47 都道府県より送付されてきた臨床調査個人票(1998 年,1999 年,2000 年)は, 潰瘍性大腸炎48,255 件,Crohn 病14,643 件であった.2000年当時の特定疾患医療受給申請は,3 年に1 度の更新制度であったため,3 年間の新規申請と更新申請を集計することにより,重複のない症例の概数を把握することが可能と考えられる.この臨床調査個人票をもとに潰瘍性大腸炎1 例あたり183 項目,Crohn 病1 例あたり200 項目の電子化入力作業を行い,この電子化データをもとに記述統計解析を行った.
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外科 71巻13号, 1506-1516 (2009);
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炎症性腸疾患のうち多くを占める潰瘍性大腸炎とCrohn病は近年増加しており, 若年者に多く,治療の目的は社会復帰を含めた生活の質(quality of life:QOL)の向上である.潰瘍性大腸炎の標準術式である回腸嚢肛門吻合術,回腸嚢肛門管吻合術の術後経過は良好であることから,内科治療でQOLの向上がない症例には社会的適応を含めて手術適応の拡大を考慮してよいと考えられる.Crohn 病には術後再発はあるが,内科治療が有効でない症例には時期の遅れがなく,適切な手術を行うことがQOL の向上に必要である.術後再発率が高いことから,再発危険因子の検索とともにエビデンスに基づいた適切な再発予防治療の開発が早急に望まれる.
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外科 71巻13号, 1517-1521 (2009);
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炎症性腸疾患(IBD)手術では易感染性のため手術部位感染(SSI)は高率であると考えられている.実際には皮切部SSIが多く,潰瘍性大腸炎手術ではステロイド総投与量≧10, 000 mgがその危険因子であると判明した.Crohn 病手術ではinfliximab,免疫調節薬などは危険因子となっておらず,汚染手術など疾患特異的なほかの因子を考慮する必要がある.Crohn 病では感染率は高率であるが,IBD 手術としては体腔/臓器SSIは決して多くなく,適切な手術,周術期管理により感染合併症の減少が可能であると考える.
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外科 71巻13号, 1523-1528 (2009);
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炎症性腸疾患手術における周術期の栄養管理は,術前の腹膜炎,腸管狭窄の有無,患者の栄養状態,薬物(ステロイドなど)治療の歴史などによって術後容易に管理できたり,難渋したりする.また,手術術式の多様性ゆえに栄養管理も一様ではない.たとえば潰瘍性大腸炎ではストーマをつくるかつくらないかによっても栄養管理が異なり,Crohn病では腸管大量切除を余儀なくされる場合があり,完全非経口栄養法(total parenteral nutrition:TPN)も駆使しなければならない.炎症性腸疾患手術に際しては経腸栄養を主として用いながらTPN などの静脈栄養もうまく用い,きめの細かい周術期の栄養管理を行うことが必要となろう.
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外科 71巻13号, 1529-1532 (2009);
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潰瘍性大腸炎に対する標準術式として大腸全摘回腸嚢肛門(管)吻合術が行われている.術後生活の質(QOL)は良好で肛門機能も温存されるが,症例によっては術後排便機能に差が認められるため,症例に応じた術式の慎重な選択が重要である.ここでは,用手補助化(HALS)に行う二期分割の大腸全摘回腸嚢肛門吻合術について述べる.
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外科 71巻13号, 1533-1538 (2009);
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潰瘍性大腸炎に対して,一部の施設ではより低侵襲で整容性に優れた腹腔鏡補助下大腸全摘術が導入されているが,その評価はいまだ定まっていない.当教室でも2001 年より腹腔鏡手術を導入し,現在まで77 例に施行している.従来の開腹手術と比較したところ,手術時間は延長するものの出血量は少なく,術後疼痛も軽減され,早期退院も期待できる.また,良好な視野で手術操作を行うことができ,整容性にも優れていることが示唆された.今後さらに検討していく必要があるが,本術式は潰瘍性大腸炎に対する低侵襲手術の一つになりうると思われる.
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外科 71巻13号, 1539-1544 (2009);
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潰瘍性大腸炎(UC)に対する血球成分除去療法(cytapheresis:CAP療法)はステロイド抵抗性,ステロイド依存性の中等度以上のUCに対して寛解導入が可能であり,その効果は60〜90 %程度と報告されている.副作用が少なく,体外循環に習熟した施設であれば比較的簡単に用いることができる.CAP 療法治療の限界を考慮しつつ手術のタイミングを逃さぬよう注意が必要である.また,術後の回腸嚢炎に対する治療や手術部位感染(surgical site infection:SSI)の予防など,CAP 療法の応用の今後の応用も期待される.
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外科 71巻13号, 1545-1550 (2009);
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潰瘍性大腸炎(UC)に合併する形成異常(dysplasia)やcolitic cancer 例は右肩上がりの増加を示している.その予後は不良であると考えられていたが,サーベイランスの概念が広く浸透したことと内視鏡技術の進歩により,colitic cancer であっても早期癌が多数を占め,予後は改善している.Colitic cancer例に対する術式は,病変が多発する症例が多いことと肛門管粘膜のdysplasia の合併率を無視できないため,手術適応の癌/dysplasia の症例では,高齢者を除いて,粘膜切除を伴う回腸嚢肛門吻合術が第一選択であると思われる.
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外科 71巻13号, 1551-1557 (2009);
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Crohn 病の腸管病変における外科治療では,合併症の発生と手術的再発の抑制という二つを満足させる術式が求められる.これらの点において腸管病変切除を施行する際に機能的端々吻合による再建法は理にかなった方法であり,良好な成績が報告されている.本稿では,機能的端々吻合の成立ちと注意点を含めた実際の手技を紹介する.
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外科 71巻13号, 1551-1557 (2009);
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Crohn 病の腸管病変における外科治療では,合併症の発生と手術的再発の抑制という二つを満足させる術式が求められる.これらの点において腸管病変切除を施行する際に機能的端々吻合による再建法は理にかなった方法であり,良好な成績が報告されている.本稿では,機能的端々吻合の成立ちと注意点を含めた実際の手技を紹介する.
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外科 71巻13号, 1559-1564 (2009);
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Crohn病肛門病変に対する治療法の選択には麻酔下の検索とともに画像所見を加えた病態の評価が肝要である.局所の外科治療の目的は感染巣の制御にあり,肛門機能にも配慮したseton 法ドレナージが第一の選択肢となり,痔瘻根治術の適応は限られる.Infliximab は感染巣を制御した後の導入が効果的であるが,安全性および長期的効果には問題が残されている.多発痔瘻に狭窄を合併した重症例あるいは長期難治例には癌合併のリスクもあり,直腸切断術も視野に入れた人工肛門を考慮する.
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外科 71巻13号, 1565-1569 (2009);
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欧米におけるいくつかの臨床研究の結果から,活動型Crohn 病に対するinfliximabの維持投与は,粘膜治癒を促進し早期の寛解導入ならびに寛解維持を可能にした.従来のstep-up therapyに比べtopdown therapyの有効性も報告されている.さらには外科治療後の維持投与が再発予防にも有効であることが明らかになりつつある.今後Crohn 病の治療体系は大きく変貌すると考えられる.しかし,長期間にわたるinfliximab投与の安全性,維持投与をどこまで継続するか,医療経済的にどこまで投与が許容されるかについて解決すべき問題点も多い.
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外科 71巻13号, 1571-1575 (2009);
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Crohn 病では大腸癌を生じることが一般よりも多く,本邦でも近年著しい増加傾向にある.欧米では右側大腸癌の頻度が高いが本邦では直腸肛門部に集中している.このためか,欧米よりも進行した状況で診断されることが多く,予後不良である.サーベイランスは欧米のように潰瘍性大腸炎に準じた内視鏡検査では不十分であると予想され,わが国独自のシステムが必要であり,早期の確立が求められている.
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連載
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外科 71巻13号, 1576-1580 (2009);
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臨床と研究
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外科 71巻13号, 1581-1589 (2009);
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症例
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外科 71巻13号, 1590-1592 (2009);
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外科 71巻13号, 1593-1595 (2009);
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外科 71巻13号, 1596-1599 (2009);
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外科 71巻13号, 1600-1603 (2009);
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外科 71巻13号, 1604-1608 (2009);
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書評
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外科 71巻13号, 1522-1522 (2009);
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外科 71巻13号, 1558-1558 (2009);
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外科 71巻13号, 1570-1570 (2009);
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