外科

Volume 72, Issue 2, 2010
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特集【大腸癌肝転移に対する治療】
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1.大腸癌肝転移治療の新たな展開
72巻2号(2010);View Description
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肝転移に対して治癒を期待できる治療法は肝切除である.近年,化学療法の進歩によって,高度肝転移例に対して転移巣の大きさ,数を改善(ダウンステージング)させて肝切除を行うことが可能になった.門脈塞栓術や局所焼灼治療も肝切除の適応拡大に貢献している.肝転移治療は,手術を中心に化学療法,局所焼灼治療を駆使した集学的治療戦略が展開される新しい時代に突入している.課題も多いが,その様はドラマティックとさえいえる. -
2.外科的治療:a)肝切除術式
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大腸癌の肝転移に関しては,肝切除が唯一長期生存を望める治療法であり,多発例や再発例に対しても良好な成績が報告されている.肝切除の適応は拡大されてきており,そのために門脈塞栓術,肝静脈再建・門脈再建,二期的肝切除など,さまざまな工夫が行われている.今後は化学療法なども加えた集学的治療が中心となると考えられるが,安全性にも十分な注意が必要である. -
2.外科的治療:b)肝切除のタイミングと適応
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大腸癌肝転移に対する治療は,近年の全身化学療法の進歩とともに,治療成績が著しく向上した.特に切除不能肝転移に対する全身化学療法を併用した肝切除は,切除可能肝転移と同等の治療成績を収めるにいたった.化学療法に伴う肝障害を考慮した肝切除のタイミングは重要で,FOLFOX やFOLFIRIを基本とした化学療法を行った場合は6 サイクルで肝切除の適応を決めている.今後は肝切除後の再発も考慮した周術期化学療法や補助化学療法についても検討する必要がある. -
3.Ablationの成績と位置づけ
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転移性肝癌は年々増加傾向にあり,新規化学療法の導入により奏効率は向上してきたが,再燃例などに対する二次的な標準化学療法は決まっていない.現状では,大腸癌肝転移治療の第一選択は肝切除である.今日,小肝細胞癌に対してラジオ波焼灼術(RFA)が低侵襲で有効な肝局所療法として確立している.大腸癌肝転移でRFA 治療の報告が散見される.本稿では,大腸癌肝転移に対するRFA の治療成績とその位置づけについて検討する. -
4.集学的治療:a)肝切除後の補助化学療法
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大腸癌において肝転移はもっとも重要な予後規定因子であり,外科的切除・化学療法を含めた集学的治療戦略が必要である.肝転移の切除後の補助化学療法としては,全身化学療法と肝動注療法があるが,その臨床的意義,最適なレジメンに関するエビデンスはきわめて乏しい.肝動注療法は局所制御には優れるが,予後改善における有用性は示されておらず,全身化学療法が行われることが一般的である.しかしながら,いまだガイドラインに明記されるような標準治療は確立されておらず,今後の臨床試験によるエビデンスの構築が急務であると考えられる. -
4.集学的治療:b)術前化学療法併用肝切除
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全身化学療法の進歩に伴い,切除不能大腸癌肝転移であっても切除可能となる機会が増え,肝切除を施行しえた症例では予後は良好であることが報告されている.肝転移に対するレジメンはFOLFOX(fluorouracil+calcium folinate+oxaliplation)と分子標的治療薬の併用が推奨され,切除可能と判断されたらすみやかに肝切除を行うべきと考えられる.切除可能肝転移に対する術前術後補助化学療法はEuropean Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)の臨床試験の結果,欧米で標準治療として確立したが,本邦ではさらなる検討が必要と考えられる. -
4.集学的治療:c)集学的治療における肝動注化学療法の位置づけ
72巻2号(2010);View Description
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肝転移には肝動注を行う.この治療を当然のように考え行っていたが,全身化学療法の発達に伴い,その位置づけは大きく変化してきた.今回,われわれの施設で行われている肝動注化学療法の現状から「集学的治療における肝動注化学療法の位置づけ」について説明するとともに,肝動注化学療法を行うにあたって,最低限必要な留置法・管理法についても説明する. -
4.集学的治療:d)分子標的治療薬を用いた治療
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大腸癌治療の成績を向上させるには,FOLFOX〔oxaliplatin/infusional fluorouracil(5-FU)/folinate(LV)〕やFOLFIRI(irinotecan/infusional 5-FU/LV)といった多剤併用化学療法と分子標的治療薬を組み合わせた術前化学療法を行い,切除不能肝転移例の腫瘍を縮小させたうえで肝転移の手術を行う必要がある.また今後は,KRAS遺伝子型を含めた治療効果予測因子などにより切除不能再発大腸癌に対する個別化治療を行い,生存率の向上をめざす必要がある. -
5.腫瘍免疫療法
72巻2号(2010);View Description
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大腸癌肝転移に対する新しい治療方法が模索されている中で,免疫療法は有望な治療方法である.ワクチンなどの特異的免疫療法や免疫反応修飾薬を用いた能動的免疫療法,体外で誘導した免疫エフェクタ細胞を生体に移入する受動的免疫療法などがあり,明らかな臨床効果が得られている.外科的切除や化学療法後の残存病変に対しては,さらなる効果が期待され,より効率的に免疫反応を誘導できるレジメンが探索されている.
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連載
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臨床と研究
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臨床経験
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Indocyanine green赤外観察カメラシステムを用いた肝切除後胆汁瘻防止対策についてのパイロットスタディ
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症例
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Helicobacter pylori感染を伴う胃癌と胃mucosa-associated lymphoid tissueリンパ腫が合併した1例
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