外科

Volume 72, Issue 4, 2010
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特集【必読 最新の肝切除—その1】
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1.肝切除のトレーニング
72巻4号(2010);View Description
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肝切除は背景肝,背景疾患により難易度が大きく異なり,術中出血,術後肝不全など重篤な合併症を伴う危険性のある手術である.肝臓外科医は手術手技に加えて,解剖学および肝発生の知識の充実,肝容積測定,シミュレーション手術,術中超音波に習熟する努力が必要である.手術手技は,肝実質の切離の仕方,出血量軽減方法,止血方法など本文で述べる各step を踏んで,助手,術者,そして指導者の各々立場から経験を積み重ね,修得していくことが肝要である. -
2.肝外科解剖のABCと最近の話題
72巻4号(2010);View Description
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肝切除の重要なポイントは,さまざまな間膜により固定されている肝臓の十分な授動と肝の立体構造(領域解剖)の理解である.肝の領域分類はGlisson を軸になされており,系統的肝切除の施行にはGlisson の解剖の理解が不可欠である.また残肝の機能温存の意味からは肝静脈の還流領域に対する理解が不可欠である.本稿では「系統的肝切除を安全かつ適切に施行するための外科解剖」を念頭におき,最近の知見をまじえて述べることとする. -
3.最新の肝予備能評価
72巻4号(2010);View Description
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最新の肝予備能評価法としての99mTc-GSA シンチグラフィとtransient elastrography(Fibroscan:Echosens社)の臨床成績を紹介した.肝細胞数の絶対値,および肝細胞の機能を考慮した肝切除後の残肝における機能が絶対値として表現されることが望ましいが,いまだ完成された評価法が広く認容されていないのが現状である.上記の2 種の評価法は利用方法の工夫により肝予備能評価法となりうる可能性を有しているといえる. -
4.肝シミュレーション技術の応用
72巻4号(2010);View Description
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血流動態に基づいた肝切除シミュレーションシステムは,門脈灌流領域に準じた切除肝体積および残肝体積の評価を可能にし,経門脈性の進展様式を特徴とする肝細胞癌に対し,切除シミュレーションによる系統的治癒切除術式の検討がより現実的となった.また,multidetector-row CT(MDCT)もしくはCT cholangiography(DIC-CT)から抽出した胆管像を必要に応じて組み合わせ3-D 統合画像を作成することは,胆道悪性腫瘍疾患にまでシミュレーションの対象を拡大し,肝切除術のさらなる安全性の向上に寄与するものと考えられる. -
5.最新の術中超音波
72巻4号(2010);View Description
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従来の術中超音波の役割として,肝離断前の最終画像診断,肝離断面のガイド,系統的染色の穿刺ガイド,Belghiti法のガイド,ドプラ法による安全性の確保があげられる.当科では新たな技術としてSonazoid(perflubutane)を用いた術中造影超音波を行っている.術中超音波で発見された新結節や術前診断不確定の結節の質的診断を主な目的として造影早期相とKupffer 相を観察する.また,Kupffer 相では術中超音波でも指摘できなかった新たな肝細胞癌を発見できる. -
6.最新の亜区域同定法
72巻4号(2010);View Description
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幕内らがindigocarmineによる染色法を用いた系統的亜区域切除術を開発し,また高崎らは肝区画の概念に基づいた方法を開発し,現在広く施行されている.最近報告されている新しい同定法にindocyanine green(ICG)を用いた方法,術中造影超音波を用いた系統的肝切除がある.いずれの方法でも脈管解剖を十分に理解し,超音波操作や手技に習熟しなければ正確な同定はできない.染色法は簡便であるがICGを用いることでより明瞭に描出できるためたいへん有用であり,今後さらなる応用が期待される. -
7.最新のGlisson 鞘一括処理法
72巻4号(2010);View Description
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Glisson 鞘一括処理による肝門部血行処理先行の肝切除は,門脈腫瘍栓を伴わない肝細胞癌や転移性肝癌などが適応となる,手術手技の簡便さもさることながら,術中出血量の軽減や経門脈的肝内転移の制御などに治療効果を認める有用な術式である.本稿ではその手技の概念,コツについて解説する. -
8.最新の手術機器を用いた肝離断法
72巻4号(2010);View Description
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安全な肝切除において,「出血量の低減」,「残存肝への侵襲の軽減」が不可欠である.そのためには,切離面に出現するGlisson 鞘枝や肝静脈などの構築物を確実にとらえ処理する必要がある.これに対し,近年では手術機器がめざましい進歩を遂げており,さまざまな器具を単独あるいは併用することにより,肝切除が比較的安全に施行されるようになってきている.本稿では,近年施行されている最新のデバイスを用いた肝切離法を解説する.
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