Volume 72,
Issue 11,
2010
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特集【膵頭十二指腸切除のすべて】
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外科 72巻11号, 1141-1145 (2010);
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高度な技量が要求される肝胆膵領域の悪性腫瘍手術は,一定の年間手術件数を有する施設(高度技能医修練施設) で,高度な技能を有する外科医(高度技能医)が行うことが真に患者の立場に立った医療といえる.膵頭十二指腸切除術は消化器外科手術の中でもっとも高難度な手術であり,本手術を安全に科学的に行うためには,膵臓の生理・解剖の理解のうえにダイナミックで繊細な手術手技が要求される.さらに,術後合併症に対する術後管理を理解して,はじめて本手術の術者となることができる.
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外科 72巻11号, 1146-1148 (2010);
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膵頭十二指腸切除(PD)は消化器手術の中でもっとも難度の高い手術の一つであり,PD を安全に遂行できる次世代の外科医を育成するための卒後外科研修制度の整備が必要である.米国では,標準化された一般外科レジデンシーとその後の専門研修(フェロシップ)という比較的短期間(6〜7 年)で完結する研修システムで膵臓外科医を育成している.本稿では,米国外科研修システムと,その到達度について概説する.
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外科 72巻11号, 1149-1157 (2010);
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1.膵頭部後面のアーケイドを形成する動脈や静脈などの重要な血管,膵頭神経叢第I部・第II部,膵後方組織,上腸間膜動脈周囲神経叢はTreitz の癒合筋膜でおおわれた同じ空間に存在する構造物である.2.膵頭十二指腸部の動脈,すなわち胃十二指腸動脈と上腸間膜動脈とのアーケイドを形成する膵十二指腸動脈〔前上膵十二指腸動脈(ASPDA),前下膵十二指腸動脈(AIPDA), 後上膵十二指腸動脈(PSPDA),後下膵十二指腸動脈(PIPDA)〕とその分枝は,まさにその名のごとくすべて膵頭部とともに十二指腸に血流を送る.3.ASPDAは胃十二指腸動脈から分岐後,Vater 乳頭部下方に向かって走行,ここで膵後面に回りAIPDA に移行する.PIPDA から胆管右縁を走行し,乳頭部に向かう“乳頭動脈”を出す.4.膵頭部から膵体部に向かう動脈のアーケイドは胃十二指腸動脈と後膵動脈によって形成され,このアーケイドの動脈は上横行膵動脈(superior transverse pancreatic artery:superior TP)と呼称される.5.膵頭神経叢の解剖は癌の進展様式を知るうえで重要である.
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外科 72巻11号, 1158-1163 (2010);
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膵頭部癌では,膵頭十二指腸切除術D2が標準手術である.教室では動脈処理先行,no-touch isolation のため小腸間膜根部郭清を先行させ,さらに腎前筋膜を含めたD2 郭清を行っている.小腸間膜郭清は一次リンパ流域を含めて,十二指腸第3 部下縁レベルから開始し(mesenteric approach),上腸間膜動脈(SMA)起始部に向けて行うが,膵頭部を手で把持することなく自然な位置で郭清することで,流入動脈の先行処理,no-touch isolation が達成される.術野の展開とその意義を解説する.
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外科 72巻11号, 1164-1169 (2010);
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膵頭十二指腸切除術は適応とする疾患ごとに異なるリンパ節・神経叢郭清が求められる.膵頭部癌においては日本を含めた複数のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)によって,かつて本邦で主流であった拡大郭清の意義はうすれ,症例に応じて癌の遺残のない標準的な切除を行い,術後の生活の質(QOL)を維持することに主眼がおかれ始めた.一方,下部胆管癌,十二指腸乳頭部癌の高度リンパ節転移例に対する積極的なリンパ節郭清は,いまだ治療的意義を有すると考えられるが,神経叢郭清はほとんどの場合,膵頭周囲の限局的郭清のみで十分である.
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外科 72巻11号, 1170-1173 (2010);
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膵消化管吻合を除いた膵頭十二指腸切除後の再建法について述べた.再建臓器配列,胆管空腸吻合,十二指腸空腸吻合について概略的に触れたが,挙上空腸口側から膵─胆管─胃(十二指腸)の順に再建するII型の幽門輪温存膵頭十二指腸切除(PPPD)を採用している施設が多かった.胆管空腸吻合,十二指腸空腸吻合については合併症予防のための工夫の一端を紹介した.本稿で述べた以外にもさまざまな方法があり,それぞれの特徴を理解したうえで施設や術者の習熟度に応じた方法を選択すべきである.
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外科 72巻11号, 1174-1179 (2010);
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膵頭十二指腸切除後の膵再建法として膵管空腸粘膜吻合+膵実質空腸密着縫合+膵管チューブ留置(不完全外瘻)を行っている.膵切離はメスで鋭的に行っている.膵管空腸粘膜吻合は組織癒合に優れ,縫合不全(膵瘻)が少ないとされているが,膵管非拡張例での吻合操作は技術的にやや困難である.膵管ホルダー(円錐形の膵管拡張器),mucosa squeeze-out法(小孔の周囲の空腸を丸く握り,粘膜を外翻させる)や,縫合糸の整理(W 字形クリッピングなど)により吻合操作が容易かつ確実となる.
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外科 72巻11号, 1180-1185 (2010);
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筆者らは,1987 年より膵頭十二指腸切除後の膵再建法として,胃切開をせずに膵管と胃粘膜とを吻合する膵胃吻合法を採用し,現在までに314 例に行ってきた.致命的な合併症となりうる膵消化管縫合不全に起因する膵液瘻の発生を極力抑えるために,さまざまな工夫・改良に取り組んできた.その結果,超音波凝固切開装置(ハーモニック:エチコンエンドサージャリー社)を用いた膵切離と膵貫通外列吻合法により,膵液瘻grade B 2.0 %,grade C 0 %ときわめて良好な成績を得ている.膵液瘻を起こさないための最大のコツは,切離や縫合,結紮に伴う膵組織の虚血を最小限に抑えることである.
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外科 72巻11号, 1186-1190 (2010);
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膵頭十二指腸切除後に起こる重篤な合併症のほとんどは膵液漏に由来する.しかしながら,膵液漏を完全に防ぐことは不可能であり,重篤化させないことが肝要である.筆者らの施設ではclamp crushing法による膵離断,ならびに高リスク例に対して膵消化管吻合を行わずに膵液を完全外瘻化し約3 ヵ月後に吻合する二期的膵空腸吻合術を適用することにより,術死ゼロという良好な成績を得ている.本術式のポイントと短期成績を概説する.
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外科 72巻11号, 1191-1195 (2010);
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膵頭部癌は門脈系血管への浸潤を伴うことが多く,安全な合併切除と再建が必要とされる.われわれは門脈カテーテルバイパス法を用いて積極的に門脈系血管合併膵頭十二指腸切除術を施行してきた.本法により門脈遮断に伴う腸管うっ血の予防が可能となり,同手術は安全に施行可能となった.
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外科 72巻11号, 1196-1202 (2010);
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膵頭十二指腸切除術は多くの手技を有し,高度技術の習得が必要である.膵切離を安全に行うには手術手技にとどまらず,それ以上に胆膵機能や合併症を含めた病態を理解した適切な術後管理が必要である.術後管理のポイントとして,術後早期は膵液瘻,胆汁瘻,消化管出血,腹腔内膿瘍,胃排出遅延などの予防,早期発見,適切な治療が重要である.術後晩期には,糖尿病,下痢,栄養障害などの管理が重要になってくる.消化管再建後の生理的・解剖学的要因が関与する病態を理解し,エビデンスに基づいた術後管理とドレーン管理を行う必要がある.
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連載
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外科 72巻11号, 1203-1207 (2010);
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臨床経験
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外科 72巻11号, 1208-1211 (2010);
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外科 72巻11号, 1212-1215 (2010);
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外科 72巻11号, 1216-1220 (2010);
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症例
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外科 72巻11号, 1221-1224 (2010);
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外科 72巻11号, 1225-1228 (2010);
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外科 72巻11号, 1229-1233 (2010);
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外科 72巻11号, 1234-1237 (2010);
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外科 72巻11号, 1238-1241 (2010);
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外科 72巻11号, 1242-1245 (2010);
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外科 72巻11号, 1246-1248 (2010);
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外科 72巻11号, 1249-1252 (2010);
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