Volume 72,
Issue 13,
2010
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特集【手術 vs 非手術─最新のエビデンスから】
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外科 72巻13号, 1469-1472 (2010);
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近年,切除可能食道癌に対しても化学放射線療法が施行されている.本稿ではStageI〜III(T1b〜T3)に対する手術療法と非手術療法(化学放射線療法)について述べる.StageI食道癌において,救済治療を含んだ化学放射線療法の治療成績(JCOG9708)は当科やハイボリュームセンターでの手術成績には及ばなかった.StageI食道癌に対しては手術が標準治療と考えられる.StageII/III食道癌における化学放射線療法の成績(JCOG9906)は3 年生存率が46 %,術前化学療法+手術(JCOG9907)の3 年生存率は63 % であったため, このStage の食道癌に対してもやはり手術が標準療法である.また当科における化学放射線療法による臨床的CR例の手術標本上でのCR率は37.5%であり,化学放射線療法単独での治癒は困難であると思われる.今後の食道癌治療においては,手術を中心とした集学的治療の開発が望まれる.
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外科 72巻13号, 1473-1476 (2010);
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日本の胃癌治療は手術を中心に発展してきたが,内視鏡治療およびS-1 を軸とした化学療法の進歩に伴い手術の担う役割が変化しつつある.StageIでは内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の適応拡大が試みられ,腹腔鏡手術の普及も急速である.StageII/IIIでは治癒切除後のS-1 補助化学療法が標準となり,現在は術前化学療法の臨床試験が進行中である.StageIV,進行再発胃癌ではS-1 + cisplatin(CDDP)またはS-1 単独が標準治療として推奨されることとなったが,減量手術の生存率への寄与を検証すべく臨床試験が進行中である.
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外科 72巻13号, 1477-1484 (2010);
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本邦の悪性新生物死亡数で第4 位を占める原発性肝癌のうち,肝細胞癌は94 %を占め,その腫瘍因子,患者因子に応じて非常に多種多様な治療法が確立されている.しかしその選択に関しての統一見解は未確立である.本稿では,『科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン』(2009 年)に沿い,単発,3 個以下・3 cm 以下,3 個以下・3 cm 以上,4 個以上,脈管侵襲を有する症例,肝予備能不良例,肝外転移を有する症例に肝細胞癌を分類して「手術 vs 非手術」について論ずる.手術成績は,当科より報告された肝切除成績を中心に示し,それに対応する非手術的治療の最新のエビデンスを紹介する.
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外科 72巻13号, 1485-1489 (2010);
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大腸癌肝転移に対しては,肝切除が唯一治癒を期待できる治療である.しかし熱凝固療法も患者の状態次第では,手術療法に取って代わる治療の一つであると思われる.また,全身化学療法により,切除不能肝転移に対して,治療が奏効した場合に肝切除を行うconversion therapy も積極的に行われるようになり,肝転移治療は新たな時代に入った.これらの治療の特性を理解し,個々の患者の治療を選択していくことが肝要である.
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外科 72巻13号, 1490-1495 (2010);
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胆嚢結石症のうち,局所の炎症が軽度の症例,全身状態の良好な症例には,発症後早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術がすすめられる.一方,炎症が強い症例,全身状態不良例などではまず胆嚢ドレナージ術を行う.総胆管結石に対しては内視鏡による経乳頭的治療が第一選択であり,それが困難な症例に対しては手術的治療が適応となる.肝内結石症に対する治療としては,肝切除,経皮経肝胆道鏡下採石術があり,胆管狭窄の有無,結石の進展範囲などで適応を決定する.
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外科 72巻13号, 1496-1501 (2010);
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膵癌に対する手術適応は,遠隔転移および腹膜播種を認めず,さらに上腸間膜動脈(SMA)と腹腔動脈に浸潤を認めないことである.しかし,SMA 浸潤の判断に悩むことは少なくない.最近ではSMA 浸潤が疑われる場合,borderline resectable膵癌として取り扱うことがある.門脈浸潤を認める膵癌は血管合併切除により切除可能であるが,門脈合併切除の有効性に関しては高レベルのエビデンスはない.
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外科 72巻13号, 1502-1507 (2010);
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直腸癌治療法の種類とその選択として,早期癌では内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection:EMR),内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection:ESD),経肛門的腫瘍切除術(transanal endoscopic microsurgery:TEMやminimally invasive transanal surgery:MITAS)などの方法を用いた局所切除術が選択される.局所切除後の病理組織学的診断で 1.sm 癌浸潤度が1,000μm 以深, 2.脈管侵襲陽性, 3.組織型が低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌, 4.浸潤先進部の簇出(budding)Grade 2/3の4 項目うち一つでも該当すればリンパ節郭清の適応があるため,追加の腸切除が検討される.進行癌の治療は外科的切除が第一選択となる.
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外科 72巻13号, 1508-1514 (2010);
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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の治療は内科治療が原則であるが,絶対的手術適応の場合や,合併症などによって生活の質(QOL)が著しく低下する場合には外科治療が行われる.IBDの病態は複雑であり,治療には専門的な知識と経験を要することが多い.厚生労働省における「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究班(渡辺班)」では,潰瘍性大腸炎とCrohn 病に対する治療指針(案)が作成されており,臨床診療で大きな役割をはたしている.
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外科 72巻13号, 1515-1520 (2010);
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肛門疾患治療の手術療法と非手術療法について,痔核,痔瘻,裂肛の最近の治療状況を述べるとともに,その手術療法と非手術療法について文献的にエビデンスを検討した.痔核では結紮切除術とALTA(aluminum potassium sulfate tannic acid)療法とを比較するとALTA 療法が圧倒的な患者満足度を示した.痔瘻では肛門周囲膿瘍切開後,20 ヵ月経過すると非再燃が63.5%ときわめて減少し,手術を回避できた.裂肛ではnitroglycerin やnifedipine などによるchemical sphincterotomyが新しいが,長期の慢性裂肛では手術が確実である.
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外科 72巻13号, 1521-1527 (2010);
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癌の広がりを正確に把握し,その範囲に存在する癌細胞をなんらかの手段で完全に死滅させることができれば,非手術的治療(ラジオ波焼灼術,冷凍凝固手術,収束超音波手術)にも,乳房温存手術となんらかわりない局所コントロールが期待できるはずである.今後,標準治療として普及させるためには,まず臨床試験として各治療法の妥当性を明らかにする必要がある.
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外科 72巻13号, 1528-1531 (2010);
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甲状腺疾患(Basedow 病,甲状腺乳頭癌)の手術・非手術治療について総説した.Basedow病での手術適応は, 1.甲状腺腫が大きい, 2.悪性疾患の併存が疑われる, 3.明らかなBasedow病眼症を有する, 4.服薬コントロールが困難であるなどの症例である.甲状腺乳頭癌では,まずはすべての症例が手術適応と考える.
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外科 72巻13号, 1532-1538 (2010);
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腹部大動脈瘤の手術適応と新しい治療方法のステントグラフト法に関して筆者の論文に文献的考察を加えた.当科において行った腹部大動脈瘤手術患者338 例を検討した.平均最大動脈瘤径は60±12 mmであった.病院死亡を4 例(1.2 %)に,遠隔死亡を80 例に認めた.心臓血管関連死(突然死,不明死を含む)48 例,非心臓血管関連死32 例であった.全死亡回避率は5 年81.0 %,10 年生存率54.5%であった.また心臓血管死回避率は5 年90.0%,10 年生存率72.5%であった.全死亡回避に関しては,多変量解析では年齢(73 歳以上 vs 65 歳以下,p=0.0001),不整脈(p=0.03),残存動脈瘤(p=0.05),腎機能障害(p=0.12)が有意に予後に影響を及ぼしていた.また心臓血管関連死に関して, 多変量解析では年齢(73 歳以上 vs 65 歳以下,p=0.001),残存動脈瘤(p=0.03),虚血性心疾患(p=0.11),腎機能障害(p=0.13)が有意に予後に影響を及ぼしていた.なお手術時年齢については60 歳代に対し70 歳代,80 歳代はともに有意差を認めたものの,70 歳代に対して80 歳代は統計的な有意差は認めず,積極的手術の必要性が示唆された.ステントグラフトは,遠隔期の成績に問題があり,慎重な適応の決定が求められる.
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連載
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外科 72巻13号, 1539-1543 (2010);
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臨床と研究
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外科 72巻13号, 1544-1546 (2010);
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臨床経験
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外科 72巻13号, 1547-1551 (2010);
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外科 72巻13号, 1552-1555 (2010);
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症例
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外科 72巻13号, 1556-1558 (2010);
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外科 72巻13号, 1559-1562 (2010);
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外科 72巻13号, 1563-1567 (2010);
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外科 72巻13号, 1569-1571 (2010);
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外科 72巻13号, 1572-1575 (2010);
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外科 72巻13号, 1576-1580 (2010);
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書評
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外科 72巻13号, 1568-1568 (2010);
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