外科
Volume 73, Issue 2, 2011
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特集【肝胆膵領域における最新の画像診断】
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1.肝細胞癌の最新画像診断
73巻2号(2011);View Description Hide Description最新の造影剤を用いたMRI(EOB-MRI)による肝細胞造影相は,肝細胞癌の肉眼分類の診断を客観的にした.肝細胞癌の門脈侵襲(vp1)は,肝切除後,肝移植後の予後因子としてもっとも重要であるが,EOB-MRI による肝細胞造影相における腫瘍辺縁の突出像は,肝細胞癌の顕微鏡的門脈侵襲(vp1)の予測と小さな肝内転移の予測に有用であった.また最新の3D 画像のワークステーションは,任意の門脈や肝静脈の支配領域の描出とその肝切除量の算出を短時間に可能とした.肝内門脈三次分枝の支配領域の描出も可能としたことでさまざまな系統的肝切除のシミュレーションが可能となった.より安全で根治的な系統的肝切除のため,どちらの画像診断も肝臓外科には必須アイテムの一つである. -
2.肝癌に対する最新の術中超音波
73巻2号(2011);View Description Hide Description肝切除術における術中超音波は,腫瘍・脈管の位置確認や切除のガイド・ナビゲーションとして基本的かつ重要な手技である.従来の術中超音波に加えて,perflubutaneを用いた造影超音波を行うことで,小病変の検出や腫瘍の辺縁・境界の明瞭化,腫瘍栓の存在確認などが期待できる.また腫瘍内の微小な血管構造も描出可能であるため,腫瘍の質的診断にも有用と考えられ,今後,術中造影超音波は肝切除術に必須の検査になると考えられる.本稿では,実際に手術支援に有用であった症例を供覧し,その有用性を報告する. -
3.転移性肝癌の外科切除を前提とした画像診断
73巻2号(2011);View Description Hide Description近年の肝転移に対する画像診断は,肝特異性造影剤の使用や三次元再構築画像などにより飛躍的に向上した.一方で肝転移の外科治療も,高度肝転移例に対する切除適応拡大や,進行転移に対するダウンステージングを目的とした化学療法の高率な導入により劇的に変化しており,肝転移の画像診断はより複雑になってきている.各種検査モダリティの特徴を理解して肝転移診断に的確に応用していくことが臨床上重要である. -
4.肝・胆道外科におけるindocyanine green(ICG)蛍光ナビゲーションサージャリー
73巻2号(2011);View Description Hide DescriptionIndocyanine green(ICG)の蛍光特性と胆汁排泄性を利用することにより,ICG 蛍光法を用いて術中胆道造影や肝癌の手術時診断を行うことができる.さらに,本法は肝区域染色や胆汁うっ滞領域の描出に応用することも可能である.これらの手技はいずれも非常に簡便であるため,既存の技術と併用することで肝胆道手術の正確性向上に寄与するものと期待されている. -
5.肝門部胆管癌術式決定のための最新の画像診断
73巻2号(2011);View Description Hide Description肝門部胆管癌の術式は,胆管壁に沿った進展度診断を行う直接胆管造影と胆管壁外進展度診断を行うmultidetector-row CT(MDCT)の二つのモダリティを中心とした進展度診断により決定している.胆管造影の読影では,各種肝切除における胆管切離限界線(門脈臍部,B5B8 合流部,後区域胆管枝の走行)を意識して診断することが重要である.MDCT の読影では,血管合併切除の必要性の有無,必要であればどのように切除・再建するのかを診断することが重要である. -
6.Virtual cholangiographyの胆道疾患への応用
73巻2号(2011);View Description Hide Description近年CT やMRI 機器の発展に伴い,CT・MRI画像の胆道疾患診療への有用性はますます増大してきている.とりわけワークステーションを利用して作成された仮想3D 画像の画質向上は外科診療を行ううえで大きな利益をもたらしている.本稿では,現在臨床で利用されている3D cholangiography およびvirtual cholangioscopyを中心にその有用性と限界について述べる. -
7.最新の内視鏡的逆行性膵胆管造影と膵管腔内超音波検査
73巻2号(2011);View Description Hide Description膵管腔内超音波検査(IDUS)は内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)に引き続き行える検査で,その簡便さと精密な画像診断能により胆膵領域において必須といえる手技である.当院でもERCPの約3 割にIDUS を施行しており,造影でとらえきれない結石や,狭窄の精査,腫瘍の存在診断や進展度評価に有用である.しかし,依然として胆管癌の表層進展などの課題を残す.IDUS 登場から20 年が経ち,改めてその有用性と限界について検討が必要である. -
8.最新の膵・胆道癌リンパ節転移診断
73巻2号(2011);View Description Hide Description胆道癌における画像診断の最近の進歩に伴い,各種モダリティを組み合わせることにより腫瘍の質的診断が可能になってきた.術前に膵・胆道癌のリンパ節転移診断を正確に行うことは術式決定,根治性にとってもきわめて重要である.Multidetector-row CT(MDCT)を用いたリンパ節診断,MRI拡散強調画像(DWI-MRI),apparent diffusion coefficient(ADC)値を用いた診断,およびPET-CT などについて俯瞰し,その後に当科における新たな診断基準について述べる. -
9.Multidetector-row CT(MDCT)による最新の膵癌画像診断─ MDCTと病理組織標本の対比からみた膵頭部癌神経叢浸潤の進展範囲診断
73巻2号(2011);View Description Hide Description最近,膵頭部癌の外科病理学では,膵頭神経叢~上腸間膜動脈(SMA)神経叢のsurgical margin が再度注目されている.この部位のmultidetector-row CT(MDCT)所見と病理とを比較・検討すると,coarse reticular pattern(粗大網状),mass and strand pattern(腫瘤・索状)の陰影が神経叢浸潤を表しており,癌に伴うdesmoplasia,すなわち“癌巣”の範囲を正確にとらえていた.MDCT によって神経叢浸潤範囲を正確に診断することができるが,本当の意味でのR0手術を立案するために非常に有用である.画像所見と病理を対応させながら解説する. -
10.膵腫瘍に対する最新の超音波内視鏡検査
73巻2号(2011);View Description Hide Description超音波内視鏡検査(endoscopic ultrasonography:EUS)は,体外式の腹部超音波検査(ultrasonography:US)と比べて病変に近接して観察できることから膵腫瘍に対する腫瘤描出能は高い.造影EUS を行うことでさらに血流動態を加味した診断が可能となってきている.また,超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-guided fine needle aspiration:EUS-FNA)を行うことで,組織の採取が可能であり,その技術を用いた治療への応用も行われている.2010 年度診療報酬改訂でEUS-FNA が保険収載され,今後ますますEUS およびEUS-FNAが発展・普及していくと予想される.本稿では,膵腫瘍に対する最新のEUS とEUS-FNA を用いた診断・治療について概説する. -
11.肝胆膵領域におけるFDG-PET の役割
73巻2号(2011);View Description Hide Description2010年4 月より2-deoxy-2-(F-18)fluoro-D-glucose positron emission tomography(FDG-PET)はすべての悪性腫瘍を対象に保険収載され,肝胆膵領域でも使用する機会が急増している.本領域では特に癌の再発・転移の早期発見や化学療法,放射線療法の効果判定など利用範囲は広い.反面,リンパ節・微小肝転移の検出率は必ずしも高くないこと,炎症性疾患に対する偽陽性の問題などからFDG-PET単独での診断には課題が残る.したがって,質的診断や癌の術前病期診断としては,現時点ではあくまでも補助診断にとどめ,臨床所見,CT やMRI などのほかの画像診断とあわせて総合的に診断にあたることが肝要である.一方,PET-CT については多列検出器CT との組み合わせによりPET画像との融合が可能となり,機能と形態の両面で今後さらなる精度の向上が期待されている.
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連載/外科学の古典を読む[第2回]
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臨床と研究
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症例
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書評
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正しい方法がわかる臨床基本手技II(DVD-ROM 付)from The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE
73巻2号(2011);View Description Hide Description
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