外科
Volume 73, Issue 3, 2011
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特集【消化器癌における分子標的治療】
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1.消化器癌における分子標的治療の現況と展望
73巻3号(2011);View Description Hide Descriptionこれまでの抗癌薬は癌細胞および核酸,微小管などをターゲットとし,癌細胞の分裂・増殖を抑制するものであった.近年は分子生物学的手法が急速に発達し,癌細胞の特異的な分子を標的として抗腫瘍効果を発現する低分子化合物や抗体が開発されている.分子標的治療薬は治療効果が高いので,腫瘍随伴症状がある症例への投与や化学療法後転移巣切除術など,新しい治療戦略が注目されている. -
2.食道癌における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description最近10 年で分子標的治療薬の開発が急ピッチで進行している.現在のところ食道癌に対して保険承認された分子標的治療薬はないが,海外においてはすでに食道癌に対しても有効と思われる結果が示されており今後の展開が期待されている.本稿では主な分子標的治療薬の機序,分類,および海外における食道癌に対する分子標的治療薬の臨床試験の結果を紹介し,今後の展望を考える. -
3.HER2陽性胃癌における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide DescriptionToGA 試験ではヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)陽性胃癌におけるtrastuzumab の化学療法に対する上乗せ効果が証明され,胃癌としてはじめて分子標的治療薬の生存の延長が示された.また個別化治療の有用性が示唆された点でもその意義は深い.この結果を受けてHER2 陽性胃癌に対するtrastuzumab の使用承認がまたれている.またlapatinib をはじめとしたほかの分子標的治療薬によるさらなる臨床試験も進行している. -
4.大腸癌における分子標的治療:a) 切除不能大腸癌における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description近年の分子標的治療薬の開発はめざましく,切除不能大腸癌の化学療法においても抗vascular endothelial growth factor(VEGF)抗体のbevacizumabと抗epidermal growth factor receptor(EGFR)抗体のcetuximab,panitumumabの3剤がすでに治療に使われている.個々の症例において,これら分子標的治療薬をどのタイミングでどの抗癌薬と併用すれば治療効果を最大限引き出されるかは,数々の臨床試験の結果により徐々に明らかとなってきており,その結果は治療ガイドラインに反映されている.本稿では,それらエビデンスをもとに切除不能大腸癌の化学療法における各分子標的治療薬の位置づけとその治療の意義について解説する. -
4.大腸癌における分子標的治療:b) 抗EGFR 抗体とKras 変異
73巻3号(2011);View Description Hide Description大腸癌治療の成績を向上させるには,FOLFOX やFOLFIRI といった多剤併用化学療法と分子標的治療薬を組み合わせた術前化学療法を行い,切除不能肝転移例の腫瘍を縮小させたうえで肝転移の手術を行う必要があり,分子標的治療薬の導入と普及はconversion という新しい治療法をもたらし,切除不能再発大腸癌に対する個別化治療により,生存率の向上をめざす必要がある. -
4.大腸癌における分子標的治療:c) Conversion therapy を念頭においた切除不能大腸癌肝転移に対する分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description新規抗癌薬や分子標的治療薬の登場により,初診時に切除不能と診断された症例でも切除可能となり,長期生存が望めるようになってきている.FOLFOX〔fluorouracil/leucovorin(5-FU/LV)/oxaliplatin〕とbevacizumab の併用療法は抗腫瘍効果が高く,背景肝の障害による合併症が少ないことから期待されるレジメンである.FOLFOX またはFOLFIRI(5-FU/LV/irinotecan) とcetuximab の併用療法はKras 野生型で高い肝切除率が報告されており,今後はKras 野生型に対してcetuximab や完全ヒト型抗epidermal growth factor receptor(EGFR)モノクローナル抗体であるpanitumumab を併用した化学療法がfirst line として選択される可能性もある.化学療法や分子標的治療を施行する際には常に肝切除の可能性を考慮しつつ治療効果を判定し,時期を逸することなく肝切除を行うことが重要である. -
5.肝細胞癌における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description近年,消化器悪性腫瘍に対して分子標的治療が普及しているが,肝臓領域においても分子標的治療の開発はすすめられ,2009 年5 月,分子標的薬としてははじめてsorafenibが切除不能肝癌に対する適応を取得し,『肝癌診療マニュアル』(改訂版)にも収載されるにいたった.今後,さまざまな分子標的治療薬が臨床応用されてくることが期待される.本稿では,分子標的治療薬の作用機序,使用上の現況,治療アルゴリズムに焦点をあてて概説する. -
6.膵癌における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description分子標的治療薬は多くの癌腫において有効性が示され実臨床で使用されている.膵癌においてはgemcitabineとerlotinib の併用でわずかではあるが有意差をもってgemcitabine単独を超えるsurvival benefit が示された.本稿では膵癌を対象とした分子標的治療薬の主要な臨床試験の結果と今後の展望について概説する. -
7.消化管間質腫瘍(GIST)における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide Description消化管間質腫瘍(GIST)に対するimatinib 療法は固形悪性腫瘍における分子標的療法の嚆矢となった.新たにsunitinib が保険適用となったが,今後さらにGIST患者の生存期間を延長するためには,分子標的療法中に至適なタイミングで,病巣の完全切除をめざした外科的介入(surgical intervention)が必要である.そのためには,最新のリスク分類や治療評価に基づき,内科・外科連携によるチーム医療を実践してゆかねばならない. -
8.悪性リンパ腫における分子標的治療
73巻3号(2011);View Description Hide DescriptionB細胞リンパ腫治療における分子標的としてのCD20の同定,およびCD20を標的とした分子標的治療の開発により,悪性リンパ腫に対する治療は大きな変化を遂げた.CD20はヒトBリンパ球の細胞膜表面に発現する抗原であり,正常・腫瘍細胞にかかわらず形質細胞を除くほとんどの成熟Bリンパ球に発現している.CD20を標的とした薬剤として,マウス─ヒトキメラモノクローナル抗CD20 抗体であるrituximab に加え,放射性同位元素抱合型抗CD20抗体ibritumomab tiuxetan も現在臨床的に用いられている.
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連載/外科学の古典を読む[第3回]
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臨床と研究
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手術手技
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症例
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Ponsky カテーテルを用いた腹腔鏡下空腸瘻造設術で良好な栄養状態・quality of lifeが得られた2 例
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