外科
Volume 73, Issue 4, 2011
Volumes & issues:
-
特集【はじめての手術手技─どのように教えるか】
-
-
1.食道亜全摘術
73巻4号(2011);View Description Hide Description食道癌の手術で,初心者にとってもっとも重要で理解しにくいのが胸部手術である.近年,内視鏡外科手術の普及がめざましく,外科医にとっても顕微鏡下手術のごとくに微細な局所解剖が勉強可能となった.繰り返し実際の手術手技を記録媒体を使って見返しできる利点をもつ手術である.開腹・開胸手術とは違い,誰でも容易に手術手技・手順を習得・シミュレーションできる意義は大きく,特にはじめての手術施行者に対して手術を教える教材として好都合であり,重要性の高いものであろう. -
2.幽門側胃切除術
73巻4号(2011);View Description Hide Description癌の占居部位,拡がり,リンパ節転移などの状態によって切除範囲が決定される.治癒(R0)をめざすD2 郭清を伴う幽門側胃切除術(定型手術)の適応は,胃癌(T2~T4a)の局在が胃下部(L)または中部(M)のもので,腫瘍上縁から近位側断端までの距離は限局型で3 cm 以上,浸潤型で5 cm 以上確保できる症例である.本術式は胃外科における基本術式であり,その手技を確実に行うためには,胃周辺の血管系,リンパ系,神経系などの解剖を熟知することが何よりも大切である. -
3.胃全摘術
73巻4号(2011);View Description Hide DescriptionD2リンパ節郭清を伴う胃癌手術は日本が世界に誇る手術術式であり,これまでの先人たちの絶え間ない改良と工夫により現在の手術がかたちづくられてきた.この手術が日本の胃癌の好成績を支えている.胃全摘術は消化器外科医として必ず習得しておくべき術式であり,本稿ではD2リンパ節郭清を伴う胃全摘術をはじめて行う消化器外科医が留意するべき点を記載する. -
4.結腸右半切除術
73巻4号(2011);View Description Hide Descriptionはじめての手術であれば,術式の手順や使用する鉗子,器械をすべて術前にイメージしておく.開腹結腸右半切除のポイントは,まず的確な腹膜切開の後に至適剥離層に沿った右結腸および結腸間膜の授動を肝彎曲から十二指腸,膵頭部まで行う.中枢側リンパ節郭清は必要な範囲を結腸間膜切離線から確認し,血管のヴァリエーションに注意しながらsurgical trunkを露出する.腸管吻合は当院では器械吻合を標準としている. -
5.S 状結腸切除術
73巻4号(2011);View Description Hide DescriptionS 状結腸癌に対するS 状結腸切除術における現在の標準術式とされる実際の手術手技について解説する.本稿では主に進行癌に対するD3郭清を伴う開腹手技を取り上げる.また一方で,現在大腸癌に対する鏡視下手術の適応は広がりつつあり,特にS状結腸切除術は鏡視下の手技が比較的容易で,鏡視下の導入術式としても重視されている.鏡視下手術で通常行われている内側アプローチ法によるS状結腸の授動方法についても簡単に述べる. -
6.低位前方切除術
73巻4号(2011);View Description Hide Description直腸癌に対する低位前方切除にチャレンジする際には,まずは以下の直腸癌の特徴を熟知することが重要である.結腸癌に比較し悪性度が高く,手術の難易度が高い.手術操作による直腸損傷は人工肛門を余儀なくされる場合がある.リンパ節郭清に伴う性機能・排尿障害や縫合不全の危険性がより高い.次に手術の手順や手技,コツなどを理解し,開腹から閉腹まで安全でかつ根治性のある手術をめざすよう指導している. -
7.腹会陰式直腸切断術
73巻4号(2011);View Description Hide Description腹会陰式直腸切断術(APR)は上方郭清,骨盤内操作,会陰操作の三段階からなる.直腸後腔の剥離層は主に3 層ある.腫瘍の進行度に合わせてどの剥離層に入るかを決める.骨盤内操作は三つの局面を意識すべきである.下腹神経の剥離,S3 神経周囲,骨盤底の剥離で,それぞれ後→前→横の順に剥離を行う.岬角から尾骨にいたる仙骨彎曲の変化に一致する.APR は局所再発の危険が高い下部直腸,肛門管癌を扱う術式で簡単な術式ではない.Surgeon-related factor が大いに影響する. -
8.肝切除術
73巻4号(2011);View Description Hide Description肝切除術は,肝内脈管の走行と腫瘍の位置関係を術前に十分把握して手術に臨み,基本的手術手技を積み重ねていくことで,安全に行うことができる.本稿では,右肝切除の手術手技を詳述することで,肝切除術の基本手技と陥りやすいピットフォールを解説した. -
9.胆嚢摘出術(腹腔鏡下胆嚢摘出術)
73巻4号(2011);View Description Hide Description手術を安全にすすめるためには解剖学的ランドマークを意識することが重要である.胆嚢右背側に確認されるRouviere溝につながる結合織内には右肝動脈から前・後区域肝動脈が走行しており,手術操作を加えてはならない.胆嚢周囲の剥離では漿膜下層を外層と内層に分けて認識することが有用である.胆嚢壁が青く透見される内層が剥離時の目安となる.これらの解剖学的特長を理解しCalot 三角を安全に剥離し,critical view of saftyを確保することが重要である. -
10.膵頭十二指腸切除術
73巻4号(2011);View Description Hide Description膵頭十二指腸切除術は外科の基本手技の積み重ねである.さらに,膵臓という臓器の特徴,そこに発生した病変の進展様式を念頭においた手術を伝授する.「なぜその手技を行うのか」ということを理解して行うことは重要である.切開創の理由は,膵腸吻合の最短距離のドレナージが可能であること,手術におけるもっとも重要な視野が得られることなどがある.Henleの領域は慎重に扱うこと,胃切除の理由は術後早期の摂食を可能とすること,膵実質の切離のときには上横行膵動脈と横行膵動脈を結紮しておくこと,膵断端の止血操作は二重結紮で行うこと,膵頭神経叢の切除は膵頭十二指腸部を神経叢とともにしっかり左手で把持して右側に引き出しながら行うこと,膵空腸吻合には節付き膵管チューブを使用すること,大網下敷き法により膵空腸吻合部からの膵液や腸液を術野に広がらないようにすることなどが重要である.
-
-
連載/外科学の古典を読む[第4回]
-
-
-
臨床と研究
-
-
腹腔鏡補助下幽門側胃切除後の合併症評価── Clavien─Dindo分類とCommon Terminology Criteria for Adverse Events v3.0の比較・検討
73巻4号(2011);View Description Hide Description -
-
-
-
症例
-
-