外科
Volume 73, Issue 7, 2011
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特集【栄養管理を究める】
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I.総論:1.消化器疾患における栄養療法・栄養管理の基本
73巻7号(2011);View Description Hide Description栄養管理はすべての疾患治療のうえで共通する基本的医療の一つである.栄養管理をおろそかにすると,いかなる治療もその効力を発しなくなる.消化器疾患の栄養管理は, 1.入院時栄養評価, 2.適正栄養管理法の選択, 3.栄養投与成分の決定, 4.栄養管理の実施, 5.栄養管理施行中のモニタリング, 6.再プランニング, 7.栄養管理の最終的評価, 8.退院後の経過観察の手順で行われ,病態や治療に伴う代謝動態を考慮した最適な栄養管理の実施が必要である. -
I.総論:2.消化器疾患における栄養療法の種類・選択・使用法
73巻7号(2011);View Description Hide Description消化器疾患の診療では,消化・吸収能や合成能の障害程度,栄養素の貯蔵能の変化,消化管を安静にする必要性の有無などを評価・判断する.消化管の利用が可能である場合,安易な腸管の安静は避ける.早期経腸栄養が治療成績を向上させる疾患・病態では,その時機を失しない.さらに,各種経腸栄養剤の特徴を把握し適切に用いる.消化器切除の既往を有する症例では,臓器欠落症状として出現する栄養素欠乏を正しく理解し対処する. -
I.総論:3.消化器疾患における完全静脈栄養(TPN)管理とリスクマネジメント
73巻7号(2011);View Description Hide Description適切な栄養管理を実施するためには,完全静脈栄養(TPN)は不可欠であるが,現在はTPN キット製剤の普及が逆に輸液組成や投与量,管理技術に対する関心を低下させて,医療従事者の静脈栄養に関する知識・技術のレベルが低下している.画一的な輸液処方をすれば問題は起こらないという考え方では,有効な栄養管理は実施できない.TPN 管理におけるリスクマネジメントの基本は臨床栄養教育を充実させることである. -
I.総論:4.消化器疾患における経腸栄養療法
73巻7号(2011);View Description Hide Description消化器手術後の経腸栄養管理を行うには,術中に空腸瘻を造設するか,経鼻栄養チューブを使用する.空腸瘻造設術は合併症が少なく,安全な術式である.術後早期経腸栄養は静脈栄養に比較して感染性合併症が少ない.経口摂取がすすまない術後患者には,空腸瘻からの在宅経腸栄養を行うことができる. -
II.各論:1.経皮経食道胃管挿入術(PTEG)
73巻7号(2011);View Description Hide Description経皮経食道胃管挿入術(percutaneous transesophagealgastrotubing:PTEG)は非破裂型穿刺用バルーンを用い超音波下穿刺により頸部食道瘻を造設し,同部より挿入したチューブ先端をX 線透視下に目的臓器まで誘導し留置する消化管のinterventional radiology(IVR)手技である.経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopicgastrostomy:PEG)の造設不能例もしくは困難例にも簡便かつ安全で低侵襲に造設が可能であることを特徴とし,主に経管経腸栄養法や腸管減圧法に用いられる.2005年12月より一時保険適用外となったが,2011年4 月より暫定点数による保険診療が復活した. -
II.各論:2.経皮内視鏡的胃瘻造設術(PEG)
73巻7号(2011);View Description Hide Description経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopicgastrostomy:PEG)は,経口摂取不良患者にとって安全で確実に栄養剤を投与できるルートとして急速に全世界に普及している.その効果は絶大で,患者によっては全身状態の改善がすすみ,再び経口摂取ができるようになる症例もある.上手に合併症なくPEG が造設され,うまく栄養剤が投与されてこその結果である.PEG に従事するものは適応,造設法,合併症,管理に精通する必要がある. -
II.各論:3.胃全摘術後の栄養管理
73巻7号(2011);View Description Hide Description進行胃癌患者の85%はなんらかの体重減少を伴うとされている.術前から栄養障害がある場合,手術直後から積極的な栄養管理を行うことが望ましい.侵襲後は循環動態が安定したら,なるべく早期に経腸栄養を開始することが推奨されている.最近は術後早期に経口摂取を開始する報告も増えている.胃全摘術後遠隔期は主として食物の絶対的な摂取不足,小腸の通過時間の短縮などに伴う間接的な消化吸収障害に起因する栄養障害が起こるため,栄養素の必要性を十分念頭におきながら診察にあたることが肝要である. -
II.各論:4.狭窄大腸癌症例に対する術前栄養管理
73巻7号(2011);View Description Hide Description発見時にすでに狭窄をきたしている大腸癌症例に対しては,腸閉塞症状の有無と栄養状態の評価を迅速に行い,適切な栄養管理を開始する必要がある.近年,enhanced recovery after surgery(ERAS)の概念が結腸癌手術を中心にわが国でも普及しており,特に絶食期間を短くして腸管を使うという管理方針は,適切な減圧が行われれば狭窄大腸癌症例に対しても導入可能である.一方,病態と栄養状態によっては静脈栄養管理を躊躇すべきではなく,狭窄大腸癌症例に対しては個別化した術前栄養管理が必要である. -
II.各論:5.肝機能低下状態における栄養管理
73巻7号(2011);View Description Hide Description肝機能低下状態の患者は蛋白質・エネルギー栄養失調症(protein-energy malnutrition:PEM)を合併する.術後合併症発症率の低減のために周術期の栄養管理は重要である.入院時に主観的包括的栄養評価法(subjective global assessment:SGA)で患者の栄養状態を評価し,欧州臨床栄養代謝学会(ESPEN)ガイドラインを参考にしながら,周術期栄養管理を行う. -
II.各論:6.胆道癌手術における栄養管理
73巻7号(2011);View Description Hide Description胆道癌術後に生じうる感染性合併症の原因の一つに,腸内細菌のbacterial translocation(BT)があげられる.われわれはこの予防を目的として, 1.周術期の腸管内への外瘻胆汁の返還, 2.周術期のシンバイオティクス投与, 3.術後早期からの経腸栄養投与,を栄養管理対策として胆道癌手術例に行っている.胆汁返還により閉塞性黄疸のために亢進した腸管粘膜の透過性が改善される.周術期にシンバイオティクスを投与することで腸内細菌叢が改善される.また術後に経腸栄養投与を行うことで,腸管の免疫学的バリア機能の低下を防ぐことができる. -
II.各論:7.膵頭十二指腸切除における栄養管理
73巻7号(2011);View Description Hide Description膵頭十二指腸切除術は,手術手技・周術期管理が進歩した現在でも合併症発生率が高く,治療に難渋することも多い手術である.当科における本術式に対する栄養管理は術前immunonutrition と術後早期経腸栄養を基本としている.術後早期経腸栄養は術翌日から経腸栄養剤を20 ml/時の24 時間持続投与で開始し,1 日ごとに20 ml/時増量,目標投与カロリーは25 kcal/kg/日としている.Immunonurtionは術前・術後投与の効果のエビデンスを得ているが,術前投与のみの効果に関しては現在臨床試験中である.
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連載/外科学の古典を読む[第7 回]
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提言
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臨床と研究
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臨床経験
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症例
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mFOLFOX6/FOLFIRI + bevacizumabで切除可能となった腹膜播種を伴った切除不能直腸癌の1 例
73巻7号(2011);View Description Hide Description -
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