Volume 73,
Issue 10,
2011
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特集【癌個別化医療はどこまですすんだのか】
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外科 73巻10号, 1027-1032 (2011);
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分子生物学の発展に伴いゲノム解析がすすみ,個人の遺伝子情報が解明できるようになった.そこで,個々の患者に最適な治療を行う個別化医療がすすみつつある.遺伝子多型の研究がすすみ,抗癌薬の有害事象に関してirinotecan(CPT─11)に対するUGT1A1遺伝子多型検査で判断がつくようになった.また個別化医療を創薬に応用した分子標的治療薬が登場してきた.癌細胞特異的な分子を標的として抗腫瘍効果を発揮する治療薬で,これに関連しバイオマーカーも同定されつつある.分子標的治療薬である抗上皮成長受容体(epidermal growthfactor receptor:EGFR)抗体cetuximab/panitumumab はKRAS 遺伝子がバイオマーカーとなることが判明し,KRAS 野生型の患者にのみ使用し,抗HER2抗体trastuzumab はHER2陽性の患者に使用するというような個別化医療が実臨床に応用されている.
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外科 73巻10号, 1033-1038 (2011);
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癌終末期の病態を正確に把握し,個々の患者に最適なテーラーメイド緩和医療を実践することは重要である.癌治療の初期段階から集学的治療と緩和ケアを連携させながら,総合的に治療を行うことが必要である.終末期の消化器症状に対しては,生命予後などを検討したうえで外科手術,ステント留置,腹水濾過濃縮再静注法(CART)などが有効となる症例は多い.遺伝子多型を解析することによってオピオイドに対する感受性の個人差を予測できる可能性が示唆されている.
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外科 73巻10号, 1039-1044 (2011);
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食道癌のリンパ節転移は,頸部から腹部まで多方向性に分布する特徴を有しており,食道癌に対する個別化縮小治療への障壁となっている.近年食道癌においてもセンチネルリンパ節画像診断,生検手技が確立しつつあり,従来解剖学的に跳躍リンパ節転移と考えられていたものの多くが,センチネルリンパ節への転移であることを示す結果が得られている.これまでの検討で,cN0 食道表在癌においてはセンチネルリンパ節部位を重点的リンパ節郭清領域とすれば局所制御しうる可能性が示唆されており,今後リンパ節郭清領域の個別化に加えて根治的化学放射線療法における照射野設定,内視鏡的粘膜切除術・内視鏡的粘膜下層剥離術(EMR/ESD)適応拡大などへの臨床応用が期待されている.
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外科 73巻10号, 1045-1050 (2011);
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胃は多段階のプロセスを経て発癌すると考えられており,その遺伝子異常は,染色体構造の異常,増殖因子の異常,細胞周期制御遺伝子の変異,DNA ミスマッチ修復の異常,一塩基多型,プロモータのメチル化,家族性の遺伝子変異などきわめてヴァリエーションに富んでいる.また,分化型の違いにより生じる遺伝子異常も大きく異なる.さまざまな遺伝子異常が胃癌の個別化医療のために将来応用される可能性を秘めている.
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外科 73巻10号, 1051-1056 (2011);
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胃癌における個別化医療は,乳癌,大腸癌と比較して欧米での頻度が低いため,新規抗癌薬,分子標的治療薬の開発などが遅れている.このため,胃癌多発国であるわが国の役割は重要であり,実際,発癌予防,スクリーニング検診法,ゲノム解析と予後予測因子などの個別化医療が研究開発されている.本稿では,ToGA 試験を契機に臨床現場において治療効果が期待される分子標的治療薬,抗癌薬感受性試験,ならびにsentinel node navigation surgeryについて述べる.
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外科 73巻10号, 1057-1061 (2011);
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『大腸癌治療ガイドライン』には切除不能再発大腸癌の治療として,化学療法に分子標的治療薬を組み合わせた複数の標準治療が併記されている.このうち,個々の患者ごとに最良の治療法を選択すること自体が“個別化医療”といえるが,その選択基準は不明確である.現在,唯一のバイオマーカーはKRAS 遺伝子であり,KRAS 遺伝子変異は抗epidermal growth factor receptor(EGFR)抗体のnegativeな効果予測因子である.一次治療・二次治療の選択基準,分子標的治療薬の使い分け,conversion therapyなどは今後早急に解決すべき重要な課題である.
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外科 73巻10号, 1062-1068 (2011);
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進行肝細胞癌患者を対象にしたglypican-3(GPC3)ペプチドワクチンの臨床第 I 相試験の結果,ほぼ全例の血液中にペプチド特異的CD8 陽性キラーT 細胞(CTL)の頻度の増加が検出され,また,CTL がペプチドワクチン後の癌組織内に多数浸潤していることも複数の症例で証明できた.今回,末梢血中GPC3ペプチド特異的CTL の最大頻度と生命予後との関連についても報告し,個別化医療にまで踏み込んでみたい.
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外科 73巻10号, 1069-1072 (2011);
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胆道癌に対する化学療法は近年大規模な臨床試験の結果が発表されるようになり,徐々にエビデンスに基づいた治療体系が構築されつつある.胆道癌における現在のkey drugはgemcitabine,フッ化ピリミジン系薬剤(S-1など),そしてプラチナ系薬剤(cisplatinなど)の3種類であり,今後は分子標的治療薬などの応用も期待される.本稿では現在の胆道癌の化学療法の総説と上記3剤のバイオマーカーを用いた個別化治療の可能性について概説する.
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外科 73巻10号, 1073-1078 (2011);
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膵癌は種々の治療に抵抗性な難治癌の代表であり,手術に加え化学療法,放射線治療を組み合わせた,集学的治療戦略の確立が急務である.一方,分子生物学的知見の蓄積で,発生・進展過程の分子機構や標準治療薬(gemcitabine)の抵抗性にかかわる因子が明らかになりつつある.膵癌特有な分子標的治療や薬剤感受性による治療法選択,drug delivery system などにより,個々の症例で治療の有効性を高める個別化医療の開発がすすめられている.
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外科 73巻10号, 1079-1082 (2011);
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近年,大腸癌や乳癌,食道癌などほかの固形癌の予後は改善しているが,膵癌は癌死の上位を占めながら依然として予後不良である.癌ワクチン療法としては,すでに進行期にある癌患者に対する治療効果をもつものとして, 樹状細胞(DC)ワクチン療法(Provenge:Dendreon 社)が2010 年4 月に米国食品医薬品局(FDA)によって承認された.今後ますます癌ワクチン療法に対する期待が増すものと思われる.われわれが行ってきた切除不能膵癌に対する個別化治療としてのテーラーメイド癌ペプチドワクチン療法と化学療法を併用した新規免疫化学療法の臨床試験について紹介する.
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外科 73巻10号, 1083-1087 (2011);
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乳癌治療は個別化がすすんでいる.手術は,腫瘍径,乳管内進展の程度,患者の希望により,乳房温存術もしくは乳房切除術(場合により乳房再建術)が選択される.薬物療法は,予測因子〔ホルモン受容体,human epidermal growth factor receptor-2(HER2)〕,予後因子(腋窩リンパ節転移状況,腫瘍径,核異形度,遺伝子発現プロファイルなど),患者因子を考慮して,内分泌療法,抗HER2 療法,化学療法の個別化が行われている.
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連載/外科学の古典を読む[第10回]
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外科 73巻10号, 1088-1092 (2011);
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Letters to the Editor
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外科 73巻10号, 1093-1093 (2011);
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臨床と研究
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外科 73巻10号, 1094-1097 (2011);
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手術手技
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外科 73巻10号, 1099-1102 (2011);
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症例
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外科 73巻10号, 1103-1107 (2011);
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外科 73巻10号, 1108-1111 (2011);
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外科 73巻10号, 1112-1115 (2011);
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外科 73巻10号, 1116-1120 (2011);
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外科 73巻10号, 1121-1123 (2011);
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外科 73巻10号, 1124-1127 (2011);
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外科 73巻10号, 1128-1130 (2011);
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外科 73巻10号, 1131-1134 (2011);
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外科 73巻10号, 1135-1138 (2011);
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書評
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外科 73巻10号, 1098-1098 (2011);
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