外科

Volume 74, Issue 9, 2012
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特集 【消化器癌に対するneo-adjuvant therapyの最新情報】
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1.進行食道癌に対するdown staging 目的のneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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食道癌は悪性腫瘍の中でも予後不良な癌の一つである.わが国では欧米を凌駕する手術成績をあげているが,食道癌手術治療成績のさらなる向上のためには,術前もしくは術後に化学療法,放射線療法を施行する集学的治療が不可欠と考えられている.一方,切除不能なT4食道癌に対して手術を施行するためにはdown stagingが必要であり,より強力なneo-adjuvant therapyが必要である.本稿では術前療法としてdocetaxel/cisplatin/fluorouracai(l DCF)療法と化学放射線療法を中心に述べる. -
2.頸部食道癌に対する機能温存目的のneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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術前化学放射線療法の進歩は,頸部食道癌における喉頭温存可能例の増加をもたらしている.頸部食道癌治療において,根治性を損なわず,なおかつ発声や嚥下といった喉頭機能を温存するということは大きな課題であり,治療適応の慎重な検討と選択,複雑な解剖を正確に理解することと,確実な手技が必要である.本稿では,頸部食道癌に対する機能温存目的のneo-adjuvant therapyとそれに続く手術療法について概説する. -
3.進行胃癌に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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進行胃癌に対するneo-adjuvant therapyは,根治切除不能例に化学療法を行い根治切除可能になった場合のconversion treatmentと,根治切除可能例の予後向上を企図した狭義のneo-adjuvant chemotherapyがある. -
4.局所進行大腸癌のdown staging を目的としたneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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局所進行大腸癌の外科治療においては,たとえ遠隔転移を伴わなくとも,外科的切除縁の確保の課題や拡大切除の侵襲程度によっては,切除不能と判断せざるをえないことも多い.近年,化学療法や放射線療法の進歩により,切除不能大腸癌に対しdown staging をめざしたneo-adjunvant therapyを行い切除が可能となる,いわゆるconversion例が多く報告されている.局所進行癌に対するconversiontherapy についての詳細な検討はないものの,FOLFOX やFOLFIRIに分子標的治療薬を併用したレジメンおよび放射線療法との組み合わせの効果が,治癒切除率の向上と生命予後の延長という点で有望視されている. -
5.直腸癌肛門括約筋機能温存術目的のneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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下部直腸進行癌手術において,特に求められているのは局所再発制御と肛門括約筋機能温存である.Neo-adjuvant therapy として術前化学放射線療法(neo-adjuvant chemo-radiotherapy:NACRT)の局所制御効果は認められているものの,肛門括約筋温存率上昇や機能維持については,一定の見解が得られていないのが現状である.肛門側切離線の設定など種々の工夫や照射方法の改善,化学療法の進歩や手術手技の向上などにより,肛門括約筋温存率の上昇のみならずquality oflife(QOL)を損なわない機能温存へのneo-adjuvant therapyを確立することが望まれている. -
6.大腸癌肝転移に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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転移性大腸癌患者の予後を向上させるためには,転移形式として頻度の高い肝転移の治療戦略が重要である. 欧州で行われたEORTC40983試験により,肝切除前・後の周術期fluorouracil/calciumfolinate/oxaliplatin(FOLFOX)療法は,切除可能な肝転移例の予後向上を示唆する結果が報告された.これを受けて,米国NationalComprehensive Cancer Network(NCCN)のガイドラインでは,切除可能な肝転移に対する肝切除前・後の全身化学療法を推奨している.本邦の『大腸癌治療ガイドライン』は,術前の化学療法の安全性が確立されていないため,適正に計画された臨床試験として実施するべきとし,慎重な姿勢をとっている.本稿ではneo-adjuvant chemotherapyに期待される点と問題点,今後の動向について述べる. -
7.進行原発性肝癌に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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肝細胞癌(肝癌)の多くは慢性肝障害を背景としており,治療法は癌の進行度だけではなく,肝障害度によっても規定されるという特異性を呈する.そのため,肝切除術,局所療法,肝動脈塞栓化学療法,肝動注化学療法,分子標的治療,肝移植などさまざまな治療法があり,選択基準となるガイドラインが設定されている.肝切除前治療としては,安全性を高めるための門脈塞栓術といった前処置や,肝動脈塞栓化学療法などによる術前補助化学療法があげられるが,その有用性については一定の見解が得られていない.高度進行肝癌に対して肝動注化学療法などを施行した結果,切除可能へとconversion し,治癒肝切除によって比較的良好な転帰が得られる症例も認める.高度進行肝癌に対する集学的治療の中で,「肝切除」という切り札を使うタイミングを逃さないことが重要である. -
8.進行膵癌に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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膵癌の標準治療は,手術および術後補助化学療法であるが,その成績は満足できるものではない.そこで,予後向上の方法として術前補助療法が検討されている.術前治療を行った報告は,化学放射線療法12 編,化学療法2 編あるが,第Ⅲ相試験の報告はない.開始前および進行中の臨床試験は34 件あり,うち第Ⅲ相試験は2 件ある.術前補助療法の意義や手法などは,現在行われている第Ⅲ相試験の結果が一つの目安になるかもしれない. -
9.進行胆管癌に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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胆管癌に対する術前治療の報告はきわめて少なく,本邦においては当教室からの報告がほとんどである.当教室ではgemcitabine と放射線体外照射を併用した術前化学放射線療法に関する第Ⅰ相試験を行い,その安全性が許容できることを確認し,gemcitabineの推奨用量を600 mg/m 2 に決定した.現在第Ⅱ相試験を施行中であるが,これまで術前治療が奏効する症例も経験している.最近,米国から肝門部胆管癌に対して肝移植を前提とした術前化学放射線療法が有効であるとする多施設後ろ向き研究の報告がなされ,胆管癌に対する術前治療の有用性が示唆されているが,いまだ術前治療は確立されたものではなく,臨床研究として行われるべき治療法である. -
10.Gastrointestinal stromal tumor に対するneo-adjuvant therapy
74巻9号(2012);View Description
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初発消化管間質腫瘍(gastrointestinal stromal tumor:GIST)に対する治療の第一選択は外科的完全切除である.Imatinib 療法は,再発・転移GIST や切除不能GIST に用いられ,高い奏効率と予後改善効果が認められている.局所高度進行GIST に対する術前のimatinib 療法は,腫瘍の縮小によって臓器を温存し完全切除を可能にすることが期待されている.しかし,imatinibによるネオアジュバント療法の安全性,有用性は明確に示されておらず,臨床試験の結果をまつ必要がある.
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連載/外科学の 古典 を読む[第21回]
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臨床と研究
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臨床経験
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症例
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腫瘍内出血による急性腹症を契機に発見された有茎性管外発育型小腸gastrointestinal stromal tumorの1 例
74巻9号(2012);View Description
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書評
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