Volume 74,
Issue 10,
2012
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特集 【消化器癌併存症──周術期の対処法】
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外科 74巻10号, 1027-1033 (2012);
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冠状動脈狭窄に対する薬剤溶出性ステントを用いた治療には,再狭窄,ステント内血栓症の予防のため抗血小板薬の長期間投与が必要とされている.心房細動には心房内血栓症による塞栓予防の抗凝固薬が投与されている.これらの抗血栓療法は,確実な止血操作を必要とする外科手術と相いれない.手術前には抗血栓療法を中止し,術後早期に再開しなければならない.周術期の抗血栓療法の取り扱いを中心に,冠状動脈疾患への外科対応について述べる.
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外科 74巻10号, 1034-1038 (2012);
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慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease:COPD)は,タバコ煙が原因で肺に慢性の炎症が生じ,進行性の気流制限がもたらされる疾患であり,近年増加の一途をたどっている.COPD患者に開胸や開腹手術を行うと,術後に肺炎,無気肺,急性呼吸窮迫症候群(adult respiratory distress syndrome:ARDS)などの呼吸器合併症が生じることが多く,その対策が重要である.術前には確実に禁煙指導を行い,COPD を長期管理薬でコントロールしたうえで,呼吸器リハビリテーションや肺炎予防のためのデンタルケアを行う.術中,麻酔科医は無気肺形成の予防のために,喀痰吸引とリクルートメント手技を実践する.術後は硬膜外麻酔による疼痛緩和を行うことで早期離床をうながす.術後にARDS を発症したときには,縫合不全や肺炎などの原因疾患への対応を施行したうえで適切な呼吸循環管理を行う.近年,ARDS に対するsivelestat sodium hydrateや低用量ステロイドの有効性が示唆されている.
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外科 74巻10号, 1039-1043 (2012);
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肝障害度分類〔特にindocyanine green(ICG)test〕,Child─Pugh score,model for end-stage liver disease(MELD)score などの指標を用いて手術のリスクを予想し手術適応を決定する.術前は栄養管理,腹水コントロール,低アルブミン血症の是正,肝性脳症の予防を行う.肝硬変合併患者の術後は水・ナトリウムが過剰となり胸腹水・浮腫などの水分貯留傾向が認められるため,輸液,電解質の管理が重要である.出納表を作成し,一定時間内に投与した輸液量・電解質量と,体外に排出された水分量・電解質量を計算し,イン・アウトバランスを常に把握しておくことが重要である.
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外科 74巻10号, 1044-1050 (2012);
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わが国の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者数は1, 330万人(12. 9 %)にのぼると推定されている.CKD患者の消化器癌手術においては,腎機能の悪化,腎機能障害に起因する心・呼吸器系合併症の発生を極力避けるように心がけるべきである.造影剤を含んだ薬剤投与,輸液管理,血液浄化療法などについては,ある程度確立した方法論が存在するので,それらを熟知したうえでCKD 患者の手術に臨むべきである.
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外科 74巻10号, 1051-1056 (2012);
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皮切部感染創が5 cm 未満の限られた範囲であり,全身の炎症症状が軽度であれば,ドレナージのみで抗菌薬は不要である.抗菌薬が必要と判断された場合でも24 〜48時間の短期間投与とする.膿のGram染色でブドウ球菌が疑われた場合にはvancomycin の使用も考慮する.Bacteroides fragilisグループは術後腹腔内感染から分離されることが多いが,clindamycin耐性化がすすんでおり,またcefmetazoleなどもnon-fragilis Bacteroidesでの活性が落ちており 7),米国では治療薬として推奨されていない.術後に下痢症状を認めた場合は,Clostridium関連感染を疑う必要がある.
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外科 74巻10号, 1057-1063 (2012);
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糖尿病(diabetes mellitus:DM)合併例の手術は増加している.周術期の高血糖は術後感染症発生率を上げるので,術前にDM の病態を正確に把握して制御する必要がある.一方で適切なエネルギー投与も必要で,術前管理の意義は高い.われわれは周術期を通して,おおむね150 〜200 mg/dl の範囲で血糖変動幅を小さくするよう,適切な栄養投与法にinsulin を用いて管理している.エネルギー投与と血糖コントロールの優先度を周術期の各時点で評価し,個別化した栄養管理を行うことが肝要である.
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外科 74巻10号, 1064-1067 (2012);
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近年の手術精度と周術期管理技術の向上により,食道癌手術の手術死亡率は1 %以下に減少している.しかし,食道癌手術はほかの消化管手術に比べ手術侵襲が大きく,術後合併症発生率が高いという事実はかわらない.さらに食道癌患者はさまざまな併存疾患を有することが多い.このため,食道癌手術を施行するには綿密な周術期管理の実践が肝要である.
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外科 74巻10号, 1068-1073 (2012);
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胃癌に対する胃全摘,脾門リンパ節完全郭清目的の脾摘は,現時点では胃上部進行胃癌,特に大彎浸潤病変に対する標準術式である.しかし,病変の局在や進行度,耐術能,併存疾患のコントロール状態によっては脾温存術式も考慮する.脾摘後は,特に膵液瘻や血小板増加に伴う血栓形成などに注意し,脾摘後劇症型感染症(overwhelmingpostsplenectomy infection:OPSI)の予防のために肺炎球菌ワクチンを接種する.
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外科 74巻10号, 1074-1079 (2012);
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併存症を有する直腸癌患者の低位前方切除術の治療方針および手術のポイントについて解説した.併存症を有する患者は,術後合併症が多く重篤化する可能性が高いため,厳重な周術期管理が必要である.手術に関連した合併症は,術中操作や術後管理法が関係していることが多く,きめ細やかな配慮や工夫が必要である.合併症の一つである縫合不全を回避するためには,吻合部の過緊張や血流減少に注意する.また,発症し感染症が重篤化する可能性が高い場合は,安全性や確実性を優先したdiverting stoma造設を考慮する.
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外科 74巻10号, 1080-1084 (2012);
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併存症を有する生体肝移植例の周術期管理について概説する.術後早期死亡例の死因のほとんどは重症感染症からのグラフト不全であり,感染症のスクリーニングはもちろん,それを助長する耐糖能異常や腎機能障害は可及的に術前から補正するべきである.術後の免疫抑制療法にも工夫が必要であり,これらの合併症を回避することが長期予後改善のためにきわめて重要である.
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外科 74巻10号, 1085-1090 (2012);
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肝門部胆管癌の標準術式は胆管切除を伴う拡大肝切除である.最近では血管合併切除や膵頭十二指腸切除併施も行われ,その適応は拡大傾向にある.この大侵襲手術を無事に乗り切るためには,いかにして術前の状態を持ち上げ,合併症を最低限に抑えることができるかが鍵となる.特に画像診断を含めた術前管理は,ほかの肝腫瘍と比較してきめ細かく行う必要がある.本稿では,われわれが現在行っている肝門部胆管癌の術前・術後管理のポイントを紹介する.
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外科 74巻10号, 1091-1095 (2012);
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膵頭十二指腸切除術において,周術期管理は重要である.しかも高齢者が年々増加している現在では,なおさらである.当科では最近,159 例の膵頭十二指腸切除例中17. 6 %が75 歳以上である.重要なのは術後肺炎の予防である.われわれは術前に,トリフローで呼吸筋を鍛え,歩行練習や階段の昇り降り,ティッシュを使って行う実際の「痰出しの練習」などを施行し,好成績をあげている.術後には,さらに背部全体へのタッピングやバイブレータ,腹臥位療法,高圧酸素療法などを,適応があればいとわずに行う.術前の心構えとして「厳しい手術を受けるのだ」という認識を患者にもたせ,病気と闘う強い意志・姿勢を示させることが必要である.また,膵頭十二指腸切除術についてドレーンの留置部位,持続洗浄の方法と管理の必要性を述べた.
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連載/外科学の 古典 を読む[第22回]
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外科 74巻10号, 1096-1099 (2012);
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臨床と研究
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外科 74巻10号, 1101-1105 (2012);
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臨床経験
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外科 74巻10号, 1106-1109 (2012);
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症例
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外科 74巻10号, 1110-1113 (2012);
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外科 74巻10号, 1114-1118 (2012);
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外科 74巻10号, 1119-1123 (2012);
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外科 74巻10号, 1124-1127 (2012);
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外科 74巻10号, 1128-1130 (2012);
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外科 74巻10号, 1131-1133 (2012);
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外科 74巻10号, 1134-1138 (2012);
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書評
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外科 74巻10号, 1100-1100 (2012);
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