外科

Volume 75, Issue 7, 2013
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特集 【リンパ節転移と郭清──癌腫別の意義】
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- Ⅰ.総論
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1.リンパ節転移をどうとらえるか
75巻7号(2013);View Description
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リンパ節転移のもつ意味とリンパ節郭清の意義に関しては,癌の発生臓器により大きな相違があり,また洋の東西で大きな考え方の違いがある.50 年前まで世界中で拡大路線を突き進んできた外科腫瘍学は,欧米でのランダム化試験が次々と新しい知見をもたらしたことにより,縮小路線へと舵をきった.治療として,また治療方針を立てるためのステージングとして,過不足のないリンパ節郭清が求められている. -
2.UICC/TNM 分類におけるリンパ節転移の位置づけ
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TNM分類におけるNカテゴリーについては,すべての部位に共通する総則があり,癌診療に従事する医師はその内容に精通しておく必要がある.また,その定義法は部位により異なってはいるが,主に,①転移リンパ節の個数に基づく定義法,②リンパ節のlocationに基づく定義法,③転移リンパ節内の転移巣の大きさ(+転移個数)に基づく定義法の3通りの方法がある.これらの定義法は,癌診療における近年の診断,治療法の進歩に伴い,より複雑化してきている.将来的には,従来の分類法に分子生物学的アプローチなどの最新の診断アプローチを組み合わせたN カテゴリーの作成が必要となると思われる. -
3.日本の各種癌取扱い規約におけるリンパ節転移の位置づけ
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本邦では臓器ごとに癌取扱い規約が作成されている.リンパ節転移は重要な予後因子であるため,各臓器の腫瘍特異性に応じた分類が行われている.群分類を重視した臓器,転移個数を含めた臓器,転移リンパ節の大きさを含めた臓器に大別される.多数例のデータの集積から得られた解析をもとに,臓器ごとにもっとも有意義な分類が行われていると考えられるが,専門とする臓器以外の取扱い規約の理解も必要である.各癌取扱い規約の共通認識として用語や定義に関する不統一の是正,リンパ節番号の統一,TNM 分類との連動性などが今後の課題である. - Ⅱ.各論
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1.頭頸部癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
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頭頸部癌の治療は,①手術,②放射線治療,③化学療法が基本であるが,リンパ節転移の化学療法単独での根治は望めないのが通例である.したがって,リンパ節転移の根治治療は手術か放射線治療となるが,原発部位により選択が異なっている.これは放射線感受性が原発部位で相違するからである.咽頭を例にすれば,選択される治療法は上→中→下咽頭の順に放射線→手術の順になっている.本稿では頭頸部リンパ節転移に対する考え方と頸部郭清について,臨床例に即して説明する. -
2.乳癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
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乳癌の診療において,腋窩リンパ節郭清は大きな転換期を迎えている.腋窩リンパ節を郭清する意義は,① staging procedure,②腋窩の局所制御であるが,センチネルリンパ節生検の導入により,腋窩リンパ節郭清の機会は減少し,さらにセンチネルリンパ節に転移が少ない場合には,腋窩郭清を省略しても問題ないという報告も出てきている.乳癌治療で,補助療法(化学療法やホルモン治療)が一般化し,さらにintrinsic subtypeに始まる生物学的特徴を考慮した治療が行われようとしている中で,かわりゆく腋窩リンパ節郭清の意義について再確認してみる. -
3.非小細胞肺癌におけるリンパ節郭清の意義
75巻7号(2013);View Description
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肺癌においては,小型であってもリンパ節転移が約20 %程度に認められること,手術中にリンパ節転移なしと判断された症例のうち,約10 %で術後に転移が確認されることなどから,『肺癌取扱い規約』では縦隔リンパ節を含む所属リンパ節の完全郭清を標準術式と規定している.リンパ節郭清は,正確に病期を把握できる意義が大きい.正確な病期診断により,術後補助化学療法をはじめとした追加治療の選択が可能となり,予後の改善に寄与すると考えられている.一方で,その局所制御による生存延長については不明である. -
4.食道癌・胃癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
75巻7号(2013);View Description
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消化器癌に対する手術において,もっとも重要な要素の一つにリンパ節郭清があげられる.必要十分な郭清範囲の決定には,これまでのデータの蓄積ならびに解析が必須である.本稿では,食道癌,胃癌に対するリンパ節転移のエビデンスと,それを元とした現在本邦で施行されているリンパ節郭清について解説する.また,近年本邦においても増加を認めている食道胃接合部癌は,食道癌と胃癌の狭間として取り扱われ,明確な結論はない.本稿においては,現在の話題についても検討する. -
5.大腸癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
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進行度分類の主要3因子の一つであるリンパ節転移は大腸癌のもっとも重要な予後因子であるが,郭清すべきリンパ節の範囲やリンパ節郭清が予後に与える効果に関しては十分なコンセンサスを得るにいたっていないのが現状である.本稿では,癌登録データベースにおけるリンパ節転移頻度と転移度別生存率のデータを供覧し,リンパ節転移度分類および側方リンパ節・腸管傍リンパ節の郭清に関する課題を取り上げて考察した. -
6.肝胆膵領域におけるリンパ節転移と郭清の意義
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リンパ節転移は,肝胆膵領域の悪性腫瘍にとってもっとも強力な予後不良因子の一つである.リンパ節転移の有無のみではなくlymphnode ratioなどのlymph node status やリンパ節微小転移に関する検討が広く行われることにより,これまでの病期分類とは異なるより詳細な予後予測が可能となりつつある.今後,さらにより高いエビデンスレベルの検討を重ね,新たなリンパ節転移診断・治療体系の構築が期待される. -
7.泌尿器科癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
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リンパ節転移を有する病態の一部は,リンパ節郭清単独あるいは集学的治療でも制御不能であり,泌尿器領域でこのような病態におけるリンパ節郭清の意義が確立されているのは,進行精巣腫瘍における化学療法後のリンパ節郭清のみである.泌尿器科癌のリンパ節郭清に対する結論が出ない理由としていくつか考えられるが,精巣腫瘍,腎癌,膀胱癌,前立腺癌についてそれぞれの疾患の特徴などふまえつつ,本邦の診療ガイドラインを中心に概説する. -
8.婦人科癌におけるリンパ節転移と郭清の意義
75巻7号(2013);View Description
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子宮頸癌,子宮体癌,卵巣癌の3 癌腫におけるリンパ節転移と郭清の意義について解説した.子宮頸癌においては,主として臨床進行期によるリンパ節転移頻度をもとに郭清が施行されているが,郭清が不要である症例がピックアップされることが望まれる.また,子宮体癌,卵巣癌においては,良質な前方視的無作為試験により,リンパ節郭清の治療的意義の確立が必要である.
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連載
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総説
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臨床と研究
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症例
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低用量imatinib mesilate が有効であったgastrointestinal stromal tumorの1 例
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書評
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