Volume 75,
Issue 10,
2013
-
特集 【消化器癌術後フォローアップ】
-
-
Ⅰ.総論
-
Source:
外科 75巻10号, 1027-1030 (2013);
View Description
Hide Description
固形腫瘍術後のフォローアップに関するエビデンスは少なく,フォローアップ間隔や検査手法によって,実際に患者の全生存率が向上するかどうかに関する比較試験は少ない.特に消化器癌領域では,大腸癌を除いてほとんど報告がない.本稿では,固形腫瘍の術後フォローアップに関する論文を検索して,現時点でのエビデンスと今後の展望について概説する.
-
Source:
外科 75巻10号, 1031-1038 (2013);
View Description
Hide Description
消化器癌術後のフォローアップにおける腫瘍マーカーの役割としては,治療の効果判定と根治術後の再発の監視に分けられる.前者は術前に高値であったマーカーを対象として,術後マーカー値が正常域に復するかあるいは復さずに再上昇に転ずるかによって判断する.ただし多数点でマーカー値が測定されている場合には,マーカー値の減衰曲線から治療の効果を早期に判定することが可能となる.後者は主として術前に高値を示していたマーカーを対象とするが,術前陰性であったマーカーが再発時には上昇していることもあり,またマーカー値陰性と無再発が同義ではないことに注意が必要である.特に画像上で再発が同定されるより前にマーカー値の上昇を認める場合に臨床的な価値が高くなるが,マーカー値の上昇のみで再発と判定して治療を開始することは一般的に推奨されていない.
-
Source:
外科 75巻10号, 1039-1046 (2013);
View Description
Hide Description
FDG の集積は疾患特異性が低いために,FDG─PET の有用性は癌腫別よりも検査目的別に考えたほうがよい.PET はさまざまな悪性腫瘍の病期診断や質的診断などにおいて有用であるが,特に有用性が高いのは「再発診断」であり,特に消化器癌においてはこの傾向が強い.これはPETが術後の形態変化にかかわらず病変を高コントラストで検出でき,また全身のスクリーニングが可能であるからである.このような特徴を理解したうえで,PET を保有している施設だけでなく,保有していない施設でもPET 検査を積極的に有効利用することが望まれる.
-
Ⅱ.各論
-
Source:
外科 75巻10号, 1047-1050 (2013);
View Description
Hide Description
食道癌の術後フォローアップは,再発,残存食道の多発癌,異時性重複癌の早期発見が主体となる.また,栄養状態の改善,誤嚥や逆流による肺炎のチェックも重要である.定期的なフォローアップにより術後再発の早期発見と早期治療が予後改善につながる.定期項目のチェックとともに,病期や術後合併症の有無など個々の病態に応じた個別の経過観察を考慮することも重要である.
-
Source:
外科 75巻10号, 1051-1058 (2013);
View Description
Hide Description
胃癌治癒切除後のフォローアップ計画について検討した.早期癌では3 年以内に約90 %が再発し,進行癌では2 年以内に約75 %が再発し,3年以内に約90 %が再発していた.この結果をふまえ,日本胃癌学会ではR0胃切除後のStageⅠ胃癌とStageⅡ〜Ⅲ胃癌に対する術後5年までの術後フォローアップ計画案を作成した.定期的な術後フォローアップによる延命効果については否定的であるが,術後フォローアップの延命効果について今後科学的に検証していく必要がある.
-
Source:
外科 75巻10号, 1059-1065 (2013);
View Description
Hide Description
大腸癌術後のサーベイランス法に関しては,欧米のmetaanalysisで,intensiveなものが有意に予後を改善させることが報告されているが,今後サーベイランスに有用な検査法の導入や医療経済的な観点からの効率性の検証も必要となる.また,欧米から“cancersurvivorship”という概念が導入され,大腸癌術後合併症・後遺症の管理および治療と生活習慣の改善により,異時性のがん発生のリスクを下げ,生涯にわたる疾病予防を行うことが大腸癌術後患者の到達すべきゴールである.
-
Source:
外科 75巻10号, 1066-1070 (2013);
View Description
Hide Description
肝細胞癌は,根治的肝切除後であっても再発率が高い.一方で,再発後も初発時と同様の治療法選択で一定の治療効果があることから,再発を早期に診断するためのサーベイランスは重要である.しかしながら,肝切除後の適切なフォローアップ法や間隔について,いまだ十分なエビデンスはない.『科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン』では,初発時の超高危険群に対するサーベイランスに準じ,3 〜4 ヵ月ごとの超音波検査と2種以上の腫瘍マーカーの測定に加えて,ダイナミックCT またはダイナミックMRIによる術後の定期フォローアップ検査を推奨している.
-
Source:
外科 75巻10号, 1071-1076 (2013);
View Description
Hide Description
胆道癌術後のフォローアップの主眼は,①癌の再発のチェック,②胆管炎などの術後の中長期に発生する合併症の対応に集約される.癌の再発チェックは,肝転移や腹膜播種のみならず,局所再発・胆管断端再発・経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)瘻孔再発といった胆管癌に特徴的な再発にも留意が必要である.また,術後胆管炎は急性閉塞性化膿性胆管炎を併発し致命的になることがあるので,患者・家族には高熱時の対応について,十分に注意事項を説明しておく必要がある.
-
Source:
外科 75巻10号, 1077-1083 (2013);
View Description
Hide Description
膵癌は切除例のほとんどが進行癌であり,再発率も高くきわめて予後不良な疾患であり,切除後の具体的なサーベイランス方法が提唱されていないのが現状である.しかし現在では,gemcitabine hydrochlorideやS─1をはじめとする以前よりも有効な化学療法薬もあるため,積極的な再発治療により予後の延長も期待でき,再発検索を目的としたサーベイランスは必要であると考える.また膵切除後の消化吸収障害や栄養に対しても,十分配慮した経過観察が必要である.
-
Source:
外科 75巻10号, 1084-1088 (2013);
View Description
Hide Description
Gastrointestinal stromal tumor(GIST)は“potentially malignant tumor”であり,GIST と診断がつき外科切除可能であれば,手術で完全切除が第一選択である.術後のフォローアップは,GISTのリスク分類に基づいて腹部造影CTを用いて行う. 再発例には,imatinibやsunitinibなどKITを標的としたチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が投与される.TKI治療では治療継続とともに治療薬に対する耐性が出現し,現状で限界があり,外科治療も組み合わせた集学的治療に予後改善の期待が集まっている.実際,術後再発リスクの高い高リスクGIST や腫瘍破裂を伴うGIST に3 年間の術後imatinib 補助化学療法を行うことで予後改善が示された.しかし,その至適投与期間に関しては結論が出ていない.
-
連載
-
-
Source:
外科 75巻10号, 1089-1093 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1094-1095 (2013);
View Description
Hide Description
-
臨床と研究
-
-
Source:
外科 75巻10号, 1096-1103 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1104-1107 (2013);
View Description
Hide Description
-
症例
-
-
Source:
外科 75巻10号, 1109-1111 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1112-1115 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1116-1119 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1120-1123 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1124-1126 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1127-1130 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1131-1134 (2013);
View Description
Hide Description
-
Source:
外科 75巻10号, 1135-1138 (2013);
View Description
Hide Description
-
書評
-
-
Source:
外科 75巻10号, 1108-1108 (2013);
View Description
Hide Description