Volume 75,
Issue 11,
2013
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特集 【肝切除をめぐる最近の話題】
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外科 75巻11号, 1141-1145 (2013);
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過去の報告では,最小許容残肝容積率は20 〜25 %とされているが,主として正常肝である転移性肝癌の切除成績に基づいている.これを慢性肝障害を伴う肝細胞癌や,胆道感染のリスクが高い胆道癌などにまで一律に当てはめるのは危険である.切除限界を検証する無作為化試験は倫理的に不可能であり,肝機能評価,門脈塞栓術の併用による安全性と根治性のバランスをふまえて切除適応を考慮するとともに,手術手技の安定化により術後合併症を減らすことが重要である.
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外科 75巻11号, 1146-1151 (2013);
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大腸癌は,遠隔転移を有するStage Ⅳでも集学的治療による根治の可能性が残されている消化器癌である.近年の化学療法の進歩により,外科的切除のみでは制御が困難であった大腸癌肝転移の大幅な予後の改善が報告されており,エビデンスにはいまだ乏しいが,化学療法を併用した外科的切除が大腸癌肝転移に対する治療として一般化しつつある.しかし一方,周術期の化学療法に伴う肝障害や手術合併症の増加など,負の側面も報告されるようになってきている.安全かつ根治性を損なわない肝切除を行うためには,肝臓に対する各種化学療法の影響を十分理解し,きめ細かいリスク評価と適切な手術計画を行うことが重要である.
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外科 75巻11号, 1152-1157 (2013);
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肝臓外科は他領域の手術と比較し,周術期に血液製剤が広く用いられてきた.管理や術式が確立した現在,特に新鮮凍結血漿の使用は再考の時期にきている.患者の利益を損なわず,投与量を減量もしくは使用が不要な患者集団の同定は急務といえる.肝切除における新鮮凍結血漿の使用指標を確立すべく,抗癌薬の第1相試験で頻用される3+3コホート研究をモチーフにしたステップ・ダウン法で,新鮮凍結血漿を使用せず周術期管理が可能な集団を特定した.
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外科 75巻11号, 1158-1164 (2013);
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肝切離においては切離線の設定,出血制御,止血,胆汁漏防止が重要なポイントとなる.肝切離線の設定には術中超音波検査が,出血制御には間欠的肝流入血流遮断法が広く用いられている.肝切離面の展開と視野の確保が重要で,hanging maneuver が用いられる.超音波破砕吸引装置(CUSA)やclamp crush 法による肝実質切離と各種エネルギーデバイスによる凝固,切開が行われるが,デバイスの特徴を理解し,活用する必要がある.
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外科 75巻11号, 1165-1171 (2013);
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術中超音波は肝臓外科に不可欠なツールであり,超音波の技術の進歩とともにその用途も多様化してきた.近年増加している腹腔鏡下肝切除術でも同様に重要な役割を占めるはずであるが,鏡視下プローブの自由度が低いことや装置がまだ開発途上であることに加え,指による触診が不可能な鏡視下手術では,術中診断能で開腹に大きく劣っているといえる.近年提唱された造影超音波やエラストグラフィは,今後の新しい超音波診断のkey となる手法であり,鏡視下手術の発展にも大きな役割が期待される.
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外科 75巻11号, 1172-1177 (2013);
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近年の画像診断技術はめざましく進歩している.なかでも,立体構造を有する肝臓領域においては,その複雑な構造から術前画像シミュレーションは必須となってきている.Multidetector-row CT(MDCT)を用いた肝血流動態に基づく肝切除シミュレーションでは,立体構造の把握や肝切除術式の決定,肝切除容積の測定,残肝機能の評価などが可能である.また,CT cholangiography(DIC─CT)やMR胆管膵管造影(MRCP)から抽出した胆管情報を組み合わせることにより,胆道悪性腫瘍においても肝切除シミュレーションを適応することが可能であり,肝切除術のさらなる安全性を確保するものである.
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外科 75巻11号, 1178-1181 (2013);
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Glisson 鞘一括処理法による肝門部血行処理先行の肝切除は,脈管個別処理法と比較して手技が簡便であり,出血量の軽減や経門脈的肝内転移の制御などにも治療効果を認める有用な術式である.しかしながら,この術式が発表されてから30年近く経過したが,いまだに誤った方法で行われていることも時折目にする.本稿ではその手技の概念と手技上のコツ,注意点について解説する.
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外科 75巻11号, 1182-1193 (2013);
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Associated liver partition and portal vein ligation for staged hepatectomy(ALPPS)手技により従来の二期的切除の問題点である「初回術後肝再生期間における腫瘍増殖」,および「比較的低率な完遂率」はある程度解決可能となった.一方で,これ以外の問題点である「高率な合併症発生率および手術関連死亡率」は依然未解決のままである.ALPPS手技はその適応も含めてまだまだ不明な点が多く,これらを早急に明らかにしていかなくてはならないが,高度進行癌に対する切除適応拡大のためのブレークスルーとなる手技の一つと考えられた.
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外科 75巻11号, 1194-1199 (2013);
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大腸癌肝転移例に対する唯一の根治的治療は肝切除である.肝切除の技術の向上により多発肝転移例に対する手術適応は拡大し,分子標的薬を加えた全身化学療法の進歩によりさらに肝切除の適応は広がっている.10 個を超えるような多発例に対する肝切除の成績はいまだ満足できるものではないが,手術療法のみで長期生存が得られることもある.化学療法は手術適応の拡大に寄与しているが,補助化学療法としての位置づけは確定していない.
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外科 75巻11号, 1200-1208 (2013);
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血管浸潤を伴う肝癌のcure をめざした肝切除の進歩についてまとめた.国内外の肝癌診療ガイドラインでは,脈管侵襲肝癌に対する肝切除の位置づけは明確ではない.高度血管浸潤を伴う肝癌に対しては,肝切除+術後補助療法や非手術療法を先行したベストタイミングでの肝切除を行うことが重要である.さらに三次元(3D)画像解析システムを活用して,in-flowの虚血領域のみならず,腫瘍による肝静脈の圧排・浸潤,あるいは肝静脈の合併切除によるout-flow block 領域を考慮した手術を選択する必要がある.
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外科 75巻11号, 1209-1212 (2013);
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近年の肝臓外科領域において,低侵襲性外科手術である腹腔鏡下肝切除術の進歩はめざましいものがあり,この流れは本邦のみならず世界的にみても同様である.開腹でさえも高難度とされる術式の多い肝切除術であるが,徐々に鏡視下手術の有効性が示され,症例が積み上げられてきている.さらに宿主・腫瘍・術式それぞれの因子について,これまでの困難を克服しようとする工夫も重ねられる中,かつては技術的にむずかしいと考えられていた鏡視下のmajor hepatectomyでさえも定型化のきざしがみえはじめている.さらに,小さな傷での“大手術”やロボット技術の応用による精度や安全性向上について言及する報告も出てきている.今後,肝臓外科領域での鏡視下手術における技術的限界はさらに押し広げられ,その成績も近い将来,開腹術と肩を並べるようになるかもしれない.
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外科 75巻11号, 1213-1218 (2013);
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ハイブリッド手技を用いた上腹部正中切開による生体肝移植ドナー手術について,その手技の詳細と有用性を提示した.本法は肝臓外科医が鏡視下手術の利点を生かして行える手技であり,安全性と整容性のバランスを考慮した有用な方法であると考えられる.
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連載
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外科 75巻11号, 1219-1223 (2013);
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外科 75巻11号, 1224-1225 (2013);
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臨床経験
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外科 75巻11号, 1226-1230 (2013);
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症例
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外科 75巻11号, 1231-1234 (2013);
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外科 75巻11号, 1235-1238 (2013);
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外科 75巻11号, 1239-1243 (2013);
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外科 75巻11号, 1245-1248 (2013);
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外科 75巻11号, 1249-1252 (2013);
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書評
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外科 75巻11号, 1244-1244 (2013);
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