Volume 76,
Issue 10,
2014
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特集 【保存版 消化器外科領域の希少悪性腫瘍】
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Ⅰ.悪性リンパ腫
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外科 76巻10号, 1077-1082 (2014);
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消化管悪性リンパ腫の診療に必要な分類について概説した.組織分類はWHO分類に従う.消化管ではmucosa-associated lymphoidtissue(MALT)リンパ腫とびまん性大型B 細胞リンパ腫の頻度が高い.肉眼分類は胃リンパ腫と腸管リンパ腫で異なるが,いずれも組織型と相関がみられる.病期分類にはLugano国際会議分類が推奨される.胃MALT リンパ腫の組織診断にはWotherspoonのスコア分類,治療後評価にはGroup d’Etude des Lymphomes del’Adulte(GELA)分類が適している.
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外科 76巻10号, 1083-1087 (2014);
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胃悪性リンパ腫は,消化管リンパ腫の約60 〜75 %を占め,もっとも頻度が高い.さらに非Hodgkin B細胞性リンパ腫が90 %以上を占め,その多くは胃mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫と胃びまん性大細胞型リンパ腫(diffuse large B─cell lymphoma:DLBCL)である.その他,まれではあるがマントル細胞リンパ腫などが存在し,消化管リンパ濾胞のどの部分から発生するかによってリンパ腫の組織型は決定される.頻度の高い胃MALT リンパ腫はHelicobacterpylor(i H. pylori)除菌治療の導入により,長期予後が著しく延長した.また,胃DLBCLもR─CHOP療法により治療成績が著しく延長し,いずれも胃を温存する非外科的治療が主流となった.
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Ⅱ.神経内分泌腫瘍
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外科 76巻10号, 1088-1091 (2014);
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2000 年にWHO による消化管神経内分泌腫瘍の分類が発表された.その後の研究結果により,Ki─67指数や核分裂像が神経内分泌腫瘍の予後を反映することが明らかになったことから,これらが定義に取り込まれ,2010 年にWHO分類の改訂がされている.最近では,このWHO分類2010年版にも問題点が指摘されており,今後さらなる改訂が予定されている.
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外科 76巻10号, 1092-1096 (2014);
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約100年前に小腸神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)に対してカルチノイドという名称が使用されて以来,現在にいたるまで不明瞭な概念のまま定着してきた.しかし,NET の臨床病理学的な研究の進化とともに次第にその特徴が明らかとなり,現在ではカルチノイドという名称は用いられなくなってきている.2010年のWHO病理組織学的分類では,より腫瘍の増殖能を反映する指標が込められた分類に進化した.今回,NETに関する基本的な知識について概説する.
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外科 76巻10号, 1097-1103 (2014);
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直腸カルチノイド,すなわち2010 年のWHO分類における直腸neuroendocrine tumor(NET)G1およびG2の診断および治療について概説する.直腸カルチノイドは以前より低悪性度な腫瘍とされてきたが,転移を有する大腸カルチノイドの予後は分化型大腸癌の予後と同等であると報告されている.したがって,術前に的確な臨床的および病理学的悪性度評価を行うことが重要であり,転移リスクのある症例に対しては,直腸癌に準じたリンパ節郭清を伴う直腸切除が推奨される.
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外科 76巻10号, 1104-1110 (2014);
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膵神経内分泌腫瘍の診断・治療について解説した.機能性膵神経内分泌腫瘍では,症状・血液学的所見などの臨床診断が重要である.局在診断については,超音波内視鏡,造影CT,MRIなどが有用である.悪性度の評価に関しては,これまで術前に診断することが困難とされていたが,造影CT における動脈相と平衡相の腫瘍部位のCT値を比較する(CT値比)ことで,悪性度の予測が可能となった.通常の膵神経内分泌腫瘍では縮小手術が可能となることが多いが,悪性のポテンシャルをもつ症例では,所属リンパ節の郭清を含めた一括切除を必要とする.術前に正確な局所診断を行い,過不足のない治療を行うことが重要である.
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Ⅲ.消化管間葉系腫瘍
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外科 76巻10号, 1111-1119 (2014);
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消化管間葉系腫瘍にはgastrointestinal stromal tumor(GIST)をはじめとして,平滑筋腫瘍,神経鞘腫,孤立性線維性腫瘍,デスモイド,炎症性筋線維芽細胞腫瘍などがある.また,GISTには細胞形態などに基づいた亜分類があり,それぞれに特徴的なグループを含んでいる.消化管間葉系腫瘍の診断確定には,GIST の亜分類を含めた各腫瘍型における特徴的病理組織像の理解が重要である.GISTには著効を示す分子標的薬が存在することから,患者に不利益を与えないためにもGIST を中心とした正確な病理診断に留意すべきである.
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外科 76巻10号, 1121-1126 (2014);
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Gastrointestinal stromal tumor(GIST)の診断には内視鏡や放射線診断,病理,分子生物学などの集学的アプローチが,治療には外科治療と内科治療を組み合わせた集学的治療が行われ,どちらもある程度専門的な知識が要求される.本邦のガイドラインは,GIST 診療のkeyとなるエビデンスが網羅され,海外のガイドラインとも歩調を合わせていることから,GIST 診療を行う際は,まず本邦の『GIST 診療ガイドライン』に準拠することが推奨される.
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Ⅳ.その他の希少悪性腫瘍
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外科 76巻10号, 1127-1130 (2014);
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食道の悪性黒色腫は食道の悪性疾患の0. 1 〜0. 8 %を占める希少な悪性腫瘍であり,診断の時点で生存期間中央値が1年前後と,非常に予後不良かつ急速進行性の疾患である.信頼できるほかの治療方法がないことから,手術が第一選択の治療として行われてきたが,手術可能な症例の予後も不良とされる.食道原発の病変では治療実績がないが,悪性黒色腫に関しては分子標的薬の臨床試験においてめざましい進展があったので,本稿に特筆する.
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外科 76巻10号, 1131-1136 (2014);
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腹膜中皮腫は腹膜中皮細胞に発生する悪性腫瘍である.臨床的には腹水型,腫瘤形成型,混合型に分類され,症状としては腹部膨満感や腹痛が多い.診断は細胞診では困難なことが多く,生検によることが多い.組織型は主に上皮型が多い.治療に関して,限局型や通過障害などがある場合は外科的切除を施行し,術後に抗癌薬などによる補助療法が行われ,びまん性に存在する場合には抗癌薬の腹腔内投与や全身投与が施行されることが多い.
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外科 76巻10号, 1137-1139 (2014);
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腹膜偽粘液腫(pseudomyxoma peritonei:PMP)はまれな疾患で,粘液癌が腹腔内に播種し,腹腔内に多量の粘液が貯留した病態である.原因は虫垂であることが多く,その発育は一般的には緩徐である.腹腔内に限局し,遠隔転移を起こすことは通常はないが,最終的には臓器障害をきたし致死的となる.治療としては,欧米においては完全減量切除(cytoreductive surgery:CRS)+腹腔内温熱化学療法(hyperthermicintraperitoneal chemotherapy:HIPEC)が広く受け入れられているが,本邦では姑息的な減量手術と全身化学療法が行われていることがほとんどである.
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外科 76巻10号, 1140-1143 (2014);
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後腹膜肉腫とは,後腹膜に発生する肉腫の総称であり単一疾患ではない.発生母地の違いにより治療への感受性はさまざまであるため,まずは正確な病理診断を行うことが大切である.遠隔転移がなく切除可能であれば,治療は手術療法がもっとも効果的である.組織型により,補助療法として術前後に薬物や放射線による集学的治療を行う.再発例にも可能なものは切除を行うが,手術不能例や遠隔転移例に対しては緩和的に薬物療法や放射線療法を行うしかなく,新たな治療戦略が望まれている.
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連載
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外科 76巻10号, 1144-1147 (2014);
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臨床と研究
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外科 76巻10号, 1148-1151 (2014);
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手術手技
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外科 76巻10号, 1152-1156 (2014);
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症例
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外科 76巻10号, 1157-1160 (2014);
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外科 76巻10号, 1161-1164 (2014);
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外科 76巻10号, 1165-1167 (2014);
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外科 76巻10号, 1168-1172 (2014);
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外科 76巻10号, 1173-1176 (2014);
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外科 76巻10号, 1177-1181 (2014);
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外科 76巻10号, 1182-1185 (2014);
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外科 76巻10号, 1186-1189 (2014);
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外科 76巻10号, 1190-1193 (2014);
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外科 76巻10号, 1194-1198 (2014);
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書評
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外科 76巻10号, 1120-1120 (2014);
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