Volume 76,
Issue 11,
2014
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特集 【肝胆膵領域における術前ストラテジー】
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Ⅰ.総 論
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外科 76巻11号, 1201-1209 (2014);
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一般に肝胆膵外科領域では,術前に代謝障害や肝機能障害を有する症例が多く,時に原疾患に起因するものよりもはるかに大きな栄養障害をきたしていることがある.周術期栄養管理は重要であり,まさしく栄養管理なくしては,この治療は良好に機能しない.本稿では,肝胆膵外科周術期の栄養管理について自験例を盛り込みながら概説する.
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外科 76巻11号, 1210-1216 (2014);
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肝予備能評価の分類には,静的評価と動的評価や,血清評価と画像評価などがある.信頼性の高い肝機能因子を術前に評価する.Indocyanine green(ICG)・アンチトロンビン(AT)Ⅲ・HH15・LHL15の4 項目からなるスコアによって,安全な肝切除の施行可能な予定残肝容積を推定する.この基準を満たさない場合にはpercutaneous transhepaticportal vein embolization(PTPE)を考慮する.肝切除の適応疾患では,ある程度の肝障害の存在のために,多くの施設が40 %の残肝容積をもってPTPE の適応としていた.術前評価もさることながら,術中・術後の管理にも注意を要する.
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外科 76巻11号, 1217-1222 (2014);
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肝切除のシミュレーションは,CT などの画像データを利用して肝実質や脈管,腫瘍などの三次元画像を構築し,さらに切除肝や残肝などの肝容積を計測すること(volumetry)が可能であり,系統的肝切除や肝静脈合併切除,生体肝移植,腹腔鏡下肝切除などの術前計画に有用である.
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外科 76巻11号, 1223-1226 (2014);
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門脈圧亢進症の原因の8 割は肝硬変であり,門脈圧亢進症を伴う肝細胞癌は術後合併症の頻度が高く,欧米では肝切除の適応とはならない.国内でも手術適応は限られるが,術後合併症のリスクを減らすためには,肝予備能の慎重な評価,静脈瘤,側副血行路に対する各種画像検査を用いた正確な評価と術前処置が重要であり,術前より腹水,肝性脳症,血小板減少など門脈圧亢進症の症候に対するきめ細かい管理が求められる.
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外科 76巻11号, 1227-1233 (2014);
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欧州における大規模ランダム化試験では,「膵頭十二指腸切除術前の胆道ドレナージはルーチンに行うべきではなく,できるだけ早期に手術すべき」と結論している.問題点は胆道ドレナージと術後合併症との関連性である.当教室の成績では,内瘻ドレナージが外瘻ドレナージに比較して胆管炎を合併する可能性が高く,術前胆管炎が術後合併症の危険因子であることが判明した.最近では,術前の胆道ドレナージとしてメタリックステントが使用されることもあるが,その意義を明らかにするには,さらなる臨床試験が必要である.
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外科 76巻11号, 1234-1239 (2014);
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肝門部胆管癌に対する拡大肝切除は根治性が高いが,周術期死亡のリスクがある.術前減黄処置(preoperative biliary drainage:PBD)は術後肝不全を避けるために有用であるが,手技に伴う合併症がある.最近の研究結果を考慮すると,大量肝切除となる拡大右肝切除,左三区域切除を予定する場合は,残存予定肝のPBDが必須である.術前減黄処置の優先順位は,① endoscopic nasal biliary drainage(ENBD)〔+外瘻胆汁内服〕,② endoscopic biliary stenting(EBS),③ percutaneous transhepatic biliary drainage(PTBD)であり,血清ビリルビン値が3. 0 mg/dl以下となるのをまって拡大肝切除を施行する.残存予定肝のENBD が基本となる.EBS は胆管炎が高頻度であり,PTBD は播種性再発が予後不良因子となるため第一選択とはならない.減黄期間の延長は予後因子とならないため許容される.拡大左肝切除を予定する場合は,肝不全より胆管炎のほうが短期成績に寄与する可能性が高いため,胆道ドレナージを省略もしくは短期間で手術可能である.
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Ⅱ.手技各論
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外科 76巻11号, 1240-1245 (2014);
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近年,閉塞性黄疸に対する減黄方法は内視鏡的アプローチが主流となっているが,経皮経肝胆道ドレナージ(PTBD)を行わなければならない症例も少なからず遭遇する.PTBD を行うに際し,胆管の穿刺部位がもっとも重要である.胆管の閉塞部位や解剖を十分に把握し,その後の治療(手術)を念頭に適切な胆管枝を狙う必要がある.またその後の治療に影響を及ぼす合併症も起こしうる侵襲的手技であることも忘れてはならない.
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外科 76巻11号, 1246-1252 (2014);
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閉塞性黄疸を有する症例に対する術前胆管ドレナージは,経皮経肝的ドレナージや外科的ドレナージに比較し低侵襲で安全性が高いことから,内視鏡的アプローチが第一選択のドレナージ方法として施行されている.術前胆管ドレナージを施行するうえで注意すべき点は,肝胆膵領域の解剖や肝胆膵悪性腫瘍の手術適応や手術術式を考慮しながら,安全かつ適切にドレナージを行うことが重要である.また,超音波内視鏡下胆管ドレナージなどの新しい治療手技が開発され,今後内視鏡的胆管ドレナージのさらなる発展が期待される.
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外科 76巻11号, 1253-1259 (2014);
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初期治療に抵抗性の急性胆囊炎では早期手術が推奨されるが,諸事情により早期手術が困難な場合はドレナージの適応となる.ドレナージは経皮的,内視鏡的(経乳頭,経消化管)の三種類に分類され,それぞれに長所・短所がある.また待機手術を念頭においた術前ドレナージと,手術不能例に対するドレナージでは,当然ストラテジーが異なる.治療のゴールを明確に定め,症例ごとに最良のドレナージ法を選択する必要がある.
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外科 76巻11号, 1260-1264 (2014);
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経皮的アプローチの門脈枝脈塞栓術(percutaneous transhepaticportal vein embolization:PTPE)を施行するうえで重要なことは,①穿刺肝葉の選択,②超音波ガイド下の門脈枝穿刺,③門脈造影,④塞栓方法である.超音波検査とCTで門脈の走行と分岐形態を前もって把握し,これらを十分理解すればPTPE は安全に施行可能である.本稿では同側穿刺法によるPTPE の手技上のポイントを中心に,PTPE について概説した.
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外科 76巻11号, 1265-1268 (2014);
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Transileocolic portal vein embolization(TIPE)はpercutaneoustranshepatic portal vein embolization(PTPE)に比して,全身麻酔下の開腹手術が必要というデメリットがある一方,カテーテル操作が容易なことや腹膜播種の診断が可能となるといった利点を有する手技である.本手術を安全に施行するには,予定残肝への塞栓物質の流出を避けること,カテーテルおよびガイドワイヤーの操作をゆっくり慎重に行うこと,腸管の癒着防止に細心の注意を払うことが肝要である.
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連載
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外科 76巻11号, 1269-1271 (2014);
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臨床と研究
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外科 76巻11号, 1272-1279 (2014);
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手術手技
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外科 76巻11号, 1280-1283 (2014);
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症例
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外科 76巻11号, 1285-1289 (2014);
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外科 76巻11号, 1290-1294 (2014);
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外科 76巻11号, 1295-1297 (2014);
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外科 76巻11号, 1298-1301 (2014);
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外科 76巻11号, 1302-1306 (2014);
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外科 76巻11号, 1307-1310 (2014);
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外科 76巻11号, 1311-1314 (2014);
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外科 76巻11号, 1315-1318 (2014);
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外科 76巻11号, 1319-1322 (2014);
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書評
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外科 76巻11号, 1284-1284 (2014);
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