Volume 78,
Issue 10,
2016
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特集【消化器癌におけるバイパス術とステント治療】
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Ⅰ.総論
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外科 78巻10号, 1027-1031 (2016);
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進展,転移した消化器癌による狭窄症状緩和目的で各種のバイパス術が行われてきている.その一つとして頻度の多い胃空腸吻合術を取り上げ,その歴史的変遷と意義について概説した.最近では消化器癌に対する治療法の進歩により,症状緩和目的だけではなく次の治療ステップを念頭においたバイパス術やステント治療が行われつつある.その治療の選択にあたっては,臨床上のみならず医療経済からの評価も重要である.
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外科 78巻10号, 1032-1037 (2016);
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現在,消化器領域の悪性狭窄性病変に対する中心的治療はステント術であり,迅速かつ低侵襲的に狭窄解除を可能にした.ステント術は姑息的治療と術前治療とがあり,臓器ごとにそれぞれの状況は異なっている.多くの利点がある一方で,ステント術に伴う潜在的な問題点も報告されるようになっている.補助治療や癌診療の環境変化に合わせてステント術を適切に使っていくことが重要である.また特に大腸の術前減圧ではoncologic outcomeを悪化させる可能性が懸念されており,今後の研究による検証が求められる.
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外科 78巻10号, 1038-1043 (2016);
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内視鏡的ステント治療は,癌性狭窄に起因する諸症状を緩和する目的で施行される.消化管では摂食が可能となり,胆管では閉塞性黄疸の解除が目的となる.治療を成功させるには,内視鏡をはじめカテーテル,ガイドワイヤー,ダイレータなどのデバイスが必要となる.高い成功率を実現させるために,これらに求められる機能,各種デバイスの特性を理解することが重要である.
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Ⅱ.臓器別各論
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外科 78巻10号, 1044-1048 (2016);
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食道バイパス術は比較的侵襲の大きい姑息手術であるが,適応および手術時期を適切に選べば安全に施行可能で,特に食道気道瘻には有用な手段である.食道のドレナージについてさまざまな工夫がなされ,これまでにいくつかの術式が報告されている.今後,化学放射線療法など抗癌治療の進歩により,切除不能食道癌の長期生存例が増加する可能性もあり,長期にわたり経口摂取を維持できる本術式の重要性も増していくものと思われる.
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外科 78巻10号, 1049-1055 (2016);
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食道狭窄に対するステント留置術は,今や一般的な治療法となっている.本邦でも多数のステントが使用できるようになり,形状や口径,カバーの有無によって各々のステントの特性は異なる.部位別にも上部食道用,下部食道用のステントが発売されている.上部食道用は1種類,下部食道用は3種類存在する.下部食道用ステントは逆流防止弁がステントに付加されているが,捲れ上がり防止機構が付加されているのはNiti─S stent(ロングカバータイプ)とHANAROSTENT(下部食道用)で,Flexella─J stent(下部食道用)には付加されていない.また,食道ステントのmechanical propertiesも評価されており,症例に応じた使い分けが必要になる.
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外科 78巻10号, 1056-1059 (2016);
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胃癌などによる幽門狭窄は,生活の質(QOL)を著しく低下させる.胃空腸バイパス術は従来から行われてきたが,内視鏡的ステント留置術の普及により適切な治療選択が必要となってきた.バイパス術はステントに比較して侵襲は大きいが,晩期合併症,症状再燃が少なく,数ヵ月の生存が期待される症例では適応と考えられる.術式は,胃の不完全離断を併施した胃空腸吻合術が望ましく,腹腔鏡アプローチについても低侵襲であり今後,普及がすすむと考えられる.
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外科 78巻10号, 1060-1064 (2016);
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悪性胃十二指腸閉塞に対するステント治療は,低侵襲という特徴も相まって,外科的パイパス術の代替治療として幅広く普及している.それに伴い,ステントを留置しながら抗腫瘍療法を行う機会も増えている.胃癌では血管新生阻害作用を有する分子標的薬が保険承認され,新たな課題も出てきている.一方でステント閉塞に対してはステント追加留置で対応可能であるものの,より長期開存をめざしたステントの改良も必要になっている.近年内視鏡的胃空腸バイパス術も検討されており,今後新たな展開が期待されている.
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外科 78巻10号, 1065-1069 (2016);
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大腸狭窄に対するバイパス術やストーマ造設術は原疾患の治療戦略の中で,その他の治療法とともに効果的に適用する必要がある.バイパス術は術中の予定変更で実施されることが多いため,その注意点を十分に知っておかなければならない.ストーマ造設術は原疾患の根治的あるいは姑息的治療のどちらでも実施される.狭窄の原因や部位によって,ストーマ造設時に注意すべき点もさまざまであるため,適切に対処すべきである.
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外科 78巻10号, 1070-1075 (2016);
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癌患者の終末期に,決してまれではない悪性大腸狭窄に対する緩和医療として,従来のストーマ造設・バイパス術にかわって大腸ステントによる拡張術が普及してきている.人工肛門を避けるだけでなく,早急な閉塞の解除と疼痛などの自覚症状がほぼないことが特徴である.しかし留置後の経過中に3 〜4割程度の頻度で偶発症は発生するため,re-intervention や外科手術の介入の可能性から常に経過観察と対応できる体制づくりが重要である.
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外科 78巻10号, 1076-1080 (2016);
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最近の内視鏡的胆道アプローチ技術の進歩により,切除不能悪性腫瘍による閉塞性黄疸例での外科的胆道バイパス術の適応は減少した.しかしながら,内視鏡的胆道ドレナージ困難例や幽門狭窄があり胃空腸吻合も同時に必要な場合,あるいは開腹後に非治癒因子が発見された場合などでは有用な選択肢である.病態からは術後の合併症を可及的に起こさないことが求められるが,いくつかの技術的ポイントがあるのでよくおさえていただきたい.
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外科 78巻10号, 1081-1089 (2016);
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悪性胆道狭窄に対するステント治療について,内視鏡的治療を中心にレビューした.ステントには安価なプラスチックと金属ステントがあり,その選択は患者の予後,背景疾患,狭窄部位,施設の診療方針などにより決定される.また,肝門部狭窄や十二指腸閉塞を合併する例におけるストラテジーは今なおコントラバーシーであり,今後のエビデンスの蓄積をまつ必要がある.
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私の工夫
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外科 78巻10号, 1091-1094 (2016);
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症例
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外科 78巻10号, 1095-1099 (2016);
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外科 78巻10号, 1100-1103 (2016);
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外科 78巻10号, 1104-1109 (2016);
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外科 78巻10号, 1110-1114 (2016);
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外科 78巻10号, 1115-1118 (2016);
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外科 78巻10号, 1119-1122 (2016);
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外科 78巻10号, 1123-1127 (2016);
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外科 78巻10号, 1128-1132 (2016);
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外科 78巻10号, 1133-1138 (2016);
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書評
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外科 78巻10号, 1090-1090 (2016);
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