Volume 78,
Issue 11,
2016
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特集【IPMNとIPNB】
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Ⅰ.総論・診断
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外科 78巻11号, 1141-1144 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinousneoplasm:IPMN)は,2006 年に国際診療ガイドライン初版が刊行され,2012 年には多くのエビデンスに基づいた改訂が行われ,その疾患概念は臨床において広く認知されてきている.本稿では,IPMN の手術適応を中心に新旧ガイドラインを比較しながら概説し,さらに現状の問題点と今後の検討課題についても言及した.
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外科 78巻11号, 1145-1149 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinousneoplasm:IPMN)を経過観察する際には,初診時の適切な画像評価と十分な精査による型分類が重要である.経過観察における注意点は,病変自体の進展の有無,悪性化の監視だけでなく,IPMN 併存疾患としての通常型膵癌を早期診断するためのモニタリングの工夫や,消化器を主とした他臓器癌の合併に対する対策があげられる.すなわち,病変部の局所観察と同時に,膵全体さらには全身の計画的評価が必要である.
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外科 78巻11号, 1150-1156 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinousneoplasm of the pancreas:IPMN)の画像診断の目的は,「切除適応判断」と「至適術式決定」の二つである.一般的には造影dynamic CT,MRI,超音波内視鏡が必須であり,症例に応じて内視鏡的逆行性胆管膵管造影を追加する.術前画像診断のポイントは,切除予定のIPMNが,①腺腫から上皮内癌,②微小浸潤が疑われる状況,③ IPMN由来浸潤癌のうち,どの段階にあるかを正確に予測し,過不足のない切除をプランニングすることである.
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外科 78巻11号, 1157-1163 (2016);
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胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm of the bileduct:IPNB)は,囊胞状または紡錘状に拡張した胆管内腔に発生する乳頭状腫瘍であり,多くの症例で過剰な粘液産生を有することを特徴とする.浸潤癌は約半数で,胆管壁内に限局することが多い.術前画像診断としてはMDCT とMRIがもっとも有用であり,冠状断像での診断が有効である.内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)や経口胆道鏡検査(POCS)は腫瘍範囲診断に有用であるが,多量の粘液のために詳細な診断が困難な症例も多いことに留意する必要がある.
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外科 78巻11号, 1164-1169 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary-mucinousneoplasm:IPMN)および胆道内乳頭状腫瘍(intraductal papillaryneoplasm of the biliary tract:IPNB)はそれぞれ膵臓,胆道系の前癌病変ないし早期癌病変として位置づけられる.本稿ではIPMN,IPNBの臨床病理像,病理診断法,特に異型度分類・亜型分類について概説した.IPMN においては悪性IPMN の早期発見に有用とされる項目に関し近年の報告内容を,IPNBについては現時点での問題点・課題についても記載した.
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Ⅱ.治療・手術
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外科 78巻11号, 1170-1174 (2016);
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分枝膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の手術適応と術式について概説した.分枝膵管型IPMNの取り扱いについては診療ガイドラインでアルゴリズムにより手術適応と経過観察例の取り扱いも示されているが,その術式については示されていない.分枝膵管型IPMNに対しては縮小手術の報告もあるが,その適応は慎重に考えるべきである.良性病変に対する術式としては妥当であると思われるが,一般的に悪性病変を手術適応とするため,リンパ節郭清を伴う定型手術を行うべきである.
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外科 78巻11号, 1175-1178 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は手術療法によって比較的良好な予後が期待できる腫瘍であるため,縮小手術が適応となることも多い.画像上,浸潤や所属リンパ節転移を疑わない症例,すなわち高度異型病変までの腺腫症例に限定されるが,そのためには病巣の進展程度を評価する正確な術前診断が必要である.IPMNに対する縮小手術後は,主病変や切除断端の病理診断に応じた適切な間隔でのフォローが必要であると同時に,標準手術例同様,異時性の多発病変の出現や併存膵癌発症の可能性も常に念頭におく必要がある.
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外科 78巻11号, 1179-1185 (2016);
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当科では主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対し,①膵切除範囲:結節は切除し,主膵管限局拡張は拡張範囲切除,びまん性拡張は術前・術中迅速診断で切除範囲を決定する,②膵切除断端:術中迅速診断で軽・中等度異型は放置,高度異型は追加切除するが膵全摘は回避,癌では膵全摘することを基本方針とし,術後成績は良好であった.切除47 例において初回手術で2 例,残膵再発で8 例,計10 例(21 %)が膵全摘となった.二期的膵全摘は,①初回手術時に主膵管拡張が膵全体に及ぶ症例,②術後に残膵の主膵管拡張が持続・出現する症例が多いのが特徴であった.
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外科 78巻11号, 1186-1191 (2016);
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2016年度の診療報酬改定に伴い,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に対する腹腔鏡下膵切除術の症例も増加することと考えられる.しかしIPMN は,その適応,術式選択ともに議論の余地が多く,特に浸潤癌の可能性と自動縫合器使用による切除断端評価の問題には留意する必要がある.IPMNに対する腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術も今後行われることとなるが,手技的安全性に加え腫瘍学的妥当性にも注意を払う必要があり,IPMNという疾患に精通することが重要である.
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外科 78巻11号, 1192-1195 (2016);
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膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm:IPMN)切除症例に対する術後長期成績や再発パターンに関する報告は少なく,確立したIPMNの術後フォローアップ法はいまだない.当科で切除したIPMN例257 例の長期成績を検討した結果,残膵再発14 例(5 %),膵外再発42 例(16 %)を認めた.残膵再発に対しては,術後5年以上の継続したフォローアップが必要である.膵外再発は有意に生存期間を短縮することから,膵外再発の危険因子をもつIPMN症例は,通常型膵癌と同様のフォローアップが必要である.
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外科 78巻11号, 1196-1204 (2016);
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本稿では胆管内乳頭状腫瘍(intraductal papillary neoplasm ofbile duct:IPNB)切除例30 例を膵IPMNに準じてbranch duct type(肝内胆管に発生する囊胞性病変),main duct type(肝外胆管に発生),mixed type(両者の特徴を合わせもつ)に分類し,IPNBの臨床および病理学的特徴と施行術式を検討した.Branch duct type(n=11)は表層拡大進展が少なく(9 %,1/11例),肝外胆管切除を伴わない肝切除のみで根治が得られた.Main duct type(n=15)やmixed type(n=4)は表層拡大進展を高率に認めたため(main duct type 33 %,5/15 例,mixed type 50 %,2/4例),術式選択や胆管断端の取り扱いに注意が必要であり,時に拡大手術が必要となることがあった.また胆管断端陽性例は,長期経過後に局所再発することが多いため長期の経過観察が必須であった.
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私の工夫
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外科 78巻11号, 1205-1208 (2016);
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症例
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外科 78巻11号, 1209-1214 (2016);
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外科 78巻11号, 1215-1219 (2016);
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外科 78巻11号, 1220-1224 (2016);
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外科 78巻11号, 1225-1227 (2016);
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外科 78巻11号, 1228-1232 (2016);
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外科 78巻11号, 1233-1235 (2016);
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外科 78巻11号, 1237-1240 (2016);
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外科 78巻11号, 1241-1244 (2016);
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外科 78巻11号, 1245-1248 (2016);
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外科 78巻11号, 1249-1252 (2016);
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書評
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外科 78巻11号, 1236-1236 (2016);
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