Volume 79,
Issue 13,
2017
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特集【大腸癌バイオマーカー入門】
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Ⅰ.総論
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外科 79巻13号, 1323-1327 (2017);
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悪性腫瘍遺伝子検査として保険収載されているマイクロサテライト不安定性(microsatellite instability:MSI)検査は遺伝性大腸癌・Lynch症候群を疑うときに実施する拾い上げ検査である.また,近年は抗癌薬治療選択のバイオマーカーとして重要性が増している.しかしながら,日本での検査実施数は非常に少ない.加速するゲノム医療を実践するため,厚生労働省主導にて「がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)」が設定される見通しである.
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外科 79巻13号, 1328-1333 (2017);
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近年,大腸癌領域でもprecision medicineを目的としたバイオマーカーの探索,およびバイオマーカーに基づいた新規治療開発が積極的に行われている.現在,RAS遺伝子変異は抗EGFR抗体薬の無効予測因子として実地臨床で広く用いられているが,最近ではBRAF遺伝子変異や,ミスマッチ修復機能欠損,HER2 遺伝子増幅・蛋白過剰発現といった遺伝子異常に対する治療開発も行われ有望な成績が示されており,今後もさらなる開発が望まれる.
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Ⅱ.各論
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外科 79巻13号, 1334-1339 (2017);
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癌の治療経過の指標として,腫瘍マーカーやCT などの画像診断が使用されているが,正確に反映できているとは決していえない.Liquid biopsy は治療経過に伴う遺伝子発現の変化を低侵襲で簡易に評価できるため,近年注目されている.代表的な解析対象の一つに末梢血循環癌細胞(CTC)があり,CTC を調べることで再発や予後,治療効果の予測ができる可能性があり,臨床応用が期待されている.大腸癌CTC解析により明らかになってきたことを中心に,CTC解析の意義とこれからについて紹介する.
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外科 79巻13号, 1340-1344 (2017);
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胃癌と異なり,大腸癌においては術中腹腔内洗浄細胞診陽性の結果が潜在的腹膜転移として予後に関与するかどうかの一定の見解はない.自験例では,バイオマーカーとして術中腹腔内洗浄細胞診陽性は必ずしも潜在的腹膜転移とはいえないものの,予後不良であり,腹膜転移のリスク因子であった.今後,術中腹腔内洗浄細胞診の方法論の統一が必須であり,さらなる新規手法の導入も期待される.
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外科 79巻13号, 1345-1349 (2017);
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現在用いられている大腸癌の血中腫瘍マーカーはCEA,CA19─9そしてp53抗体である.偶然に測定した腫瘍マーカーから大腸癌が発見されることがあるが,一般に早期診断には用いられず,再発診断のマーカーとして用いられている.臓器特異的でなく偽陽性,偽陰性となる場合があり,万能なマーカーではない.腫瘍マーカーの特徴,どういった目的のために使用するかを知っておく必要がある.腫瘍マーカーの現状とその特徴について概説する.
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外科 79巻13号, 1350-1354 (2017);
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大腸癌の癌幹細胞マーカーとしてCD133,CD44,Lgr5,Dclk1などが報告されている.近年これらの機能的解析がすすめられ,CD133やCD44 の幹細胞性維持における役割が明らかにされてきた.また,癌幹細胞は化学療法や放射線治療に抵抗性を示すことから,癌幹細胞マーカーは治療の標的分子としても関心が寄せられている.特にDclk1は,正常細胞では主に分化した細胞に発現することから標的治療における正常組織への影響は限定的と考えられ,臨床応用が期待されている.さらに癌幹細胞マーカーの発現量を指標とした予後予測や治療耐性の予測の試みもなされている.癌幹細胞マーカーを基軸とした今後の研究により,癌の根治をめざした治療法開発あるいは効果予測に基づいた個別化治療の発展が期待される.
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外科 79巻13号, 1355-1363 (2017);
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microRNA(miRNA)は約20塩基からなる低分子で,messenger RNAに相補的に結合し,転写抑制,分解することでその発現を制御している.細胞の多種多様な機能に重要で,癌の発生,進展,転移にもかかわることが知られている.miRNAは,エクソソームに包埋されることできわめて安定に存在し,血液を含めた体液の非侵襲的新規バイオマーカーとして期待されている.本稿では,大腸癌の発癌過程におけるmiRNA の発現とその機能,バイオマーカーとしての可能性を詳述する.
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外科 79巻13号, 1364-1370 (2017);
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近年の分子生物学および免疫学の発展により,癌に対する免疫応答の詳細が徐々に解明されてきた.免疫チェックポイント阻害薬の登場はさまざまな癌腫で持続する腫瘍縮小と延命効果をもたらし,治療としての免疫系の重要性が注目されている.大腸癌においては古くから局所へのリンパ球浸潤と予後との相関が指摘されており,宿主免疫応答への注目度も増している.本稿では,全身性および癌局所の宿主免疫応答と予後との相関について論じつつ,大腸癌に特異的な免疫応答に関するトピックスも交えて概説する.
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外科 79巻13号, 1371-1373 (2017);
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循環DNA 濃度やDNA integrity indexは,癌の病勢を反映すると考えられ,予後予測や術後の再発リスク判定,サーベイランスに利用できる可能性がある.10 %程度の症例では原発巣がKRAS 野生型でも転移巣では変異していることが知られているが,循環DNA を用いて転移巣のKRAS変異を解析することが可能であり,抗EGFR抗体の効果や耐性化の予測に利用できる.
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外科 79巻13号, 1374-1378 (2017);
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マイクロサテライト不安定性(MSI)は全大腸癌の15 %程度を占め,ミスマッチ修復遺伝子の生殖細胞系列変異(Lynch症候群)と,後天的なミスマッチ修復因子の欠損(散発性MSI 大腸癌)が主な原因である.大腸癌におけるMSIは,術後補助化学療法における5─FU単独療法や進行再発癌の免疫療法の効果予測因子であるほか,予後予測因子でもあり,特徴的な生物学的背景を有することから個別のマネジメントが必要である.
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連載
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外科 79巻13号, 1379-1382 (2017);
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臨床経験
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外科 79巻13号, 1383-1387 (2017);
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症例
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外科 79巻13号, 1388-1392 (2017);
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外科 79巻13号, 1393-1396 (2017);
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外科 79巻13号, 1397-1399 (2017);
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外科 79巻13号, 1400-1404 (2017);
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外科 79巻13号, 1405-1408 (2017);
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外科 79巻13号, 1409-1412 (2017);
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外科 79巻13号, 1413-1416 (2017);
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外科 79巻13号, 1417-1420 (2017);
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