外科
Volume 80, Issue 4, 2018
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特集【胸・腹部サルコーマのすべて】
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- Ⅰ.総論
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1.サルコーマの疫学と治療法の原則
80巻4号(2018);View Description Hide Description肉腫は,希少癌の一つである.肉腫治療の原則は外科治療であり,不十分な切除例の予後は不良である.四肢・体幹体表発生例では,バリア理論に基づいた根治的広切法により,局所制御率90%以上が可能である.胸・腹部発生例では,解剖学的に根治的広切法が困難な部位も存在するが,放射線治療や化学療法といった補助療法を併用することにより,局所制御率の改善と結果としての生存率向上が期待できる. -
2. 胸・腹部のサルコーマの最新の画像診断
80巻4号(2018);View Description Hide Description肉腫は比較的まれな疾患であるが,悪性度が高いものが多く,早期診断・早期治療が必要であり,画像診断における役割が大きい.疾患の種類が多く,一つの腫瘍内で多彩な組織像を呈すために,画像診断には難渋することも多い.本稿では,画像診断の中心的役割をはたしているモダリティの一つであるMRI やFDG-PET について概説し,胸腹部領域での日常臨床で遭遇する機会の多い代表的肉腫についての画像所見を述べる. -
3.サルコーマの病理と分類
80巻4号(2018);View Description Hide Descriptionサルコーマ(肉腫)は間葉系組織(骨・筋肉・脂肪など)および神経に発生する悪性腫瘍の総称で,若年者から高齢者まで幅広い年齢層および全身のさまざまな部位で発生しうること,その組織型が50 種類以上と多岐にわたっていることから,確定診断に難渋することも少なくない.現在のサルコーマの分類はほかの腫瘍の分類とは異なり,組織起源ではなく細胞の分化に基づいてなされている.相対する正常組織が存在しない腫瘍は分化不明腫瘍に分類されており,サルコーマの中にはそのようなものも多い. - Ⅱ.各論
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1.胸部のサルコーマ:1)治療戦略(肺・縦隔)
80巻4号(2018);View Description Hide Description胸部のサルコーマ(肉腫)は発生頻度がまれで,また組織型も多岐にわたる.診断や治療に難渋することも多く,標準治療も確立されているとはいいがたい.化学療法や放射線治療に反応がとぼしい組織型も多く,外科治療が行えない場合は予後不良となることもある.本稿では肺肉腫,縦隔肉腫,悪性リンパ腫,転移性肉腫について,外科治療の意義と化学療法,放射線治療について解説した. -
2.消化管・腸間膜のサルコーマ:1)手術療法
80巻4号(2018);View Description Hide Description巨大サルコーマの術式について述べる.重要点はsurgical margin の確保と隣接臓器を躊躇することなく合併切除することである.腫瘍へ流出入する血管から思わぬ大量出血することがあり,愛護的に扱うべきであり,また腫瘍を破裂させないようにする.予期せぬ出血が生じた場合は,焦ってKelly 鉗子などで把持しようとはせず,助手にツッペル鉗子で圧迫してもらい,術者は手術を進行させ,腫瘍摘出後,視野が良好になったらプロリン糸などで結紮止血する. -
2.消化管・腸間膜のサルコーマ:2)薬物療法,放射線療法など
80巻4号(2018);View Description Hide Description消化管に発生する軟部肉腫の多くは消化管間質腫瘍(GIST)である.転移再発GIST に対しては,imatinib,sunitinib,regorafenib の有効性が証明され標準治療として組み込まれており,さらに新規分子標的薬の開発がすすんでいる.術後高リスクのGIST に対しては,imatinib 3 年内服が標準治療である.GIST における分子標的薬の位置づけとバイオマーカーについて,現状と今後の展望について概説する. -
3.肝胆膵領域のサルコーマ:1)手術療法
80巻4号(2018);View Description Hide Description肝胆膵領域原発癌肉腫に対して外科的に根治切除された症例177 例について,臨床病理学的に検討しその切除成績について評価した.癌肉腫特有の臨床症状はなく,発見時にはすでに進行し腫瘍径が大きい状態で指摘される傾向があった.肝臓原発,肝外胆管原発,胆囊外発および膵臓原発癌肉腫に対する外科切除後の5 年生存率は,それぞれ29.4%,30.9%,40.3%,28.2%であった.癌肉腫に対しての唯一の根治治療は,外科切除である.術前に癌肉腫と診断することは困難であり切除標本から病理学的に診断されることが多く,消化器外科医が生涯に一度は経験する可能性がある. -
4.後腹膜原発のサルコーマ:1)手術療法
80巻4号(2018);View Description Hide Description後腹膜原発のサルコーマの治療では,ストラテジーが定まっている一部の腫瘍を除き,切除可能であれば手術療法が第一選択である.しかし「後腹膜」の範囲はかなり広範囲であり,また腫瘍の組織型や存在様式もさまざまなものがあるため,多臓器にまたがる手術手技を用いた「応用編」の手術となることが多い.基本的にはいくつかのパターン分けはできそうではあるが,一般的な手術のような手技の画一化や定型化がむずかしいという特徴がある. -
4.後腹膜原発のサルコーマ:2)薬物療法,放射線療法など
80巻4号(2018);View Description Hide Description後腹膜原発サルコーマは術後の再発率が高く,集学的治療が必要とされる難治性稀少癌である.後腹膜原発サルコーマに特異的な薬物療法は確立していない.CDK4 遺伝子増幅のある進行高分化型/脱分化型脂肪肉腫に対するCDK4 阻害薬の第Ⅱ相試験おいて良好な治療成績が得られ,大部分の症例が後腹膜原発であったため特異的な効果が期待されている.また,放射線療法の有効性は以前から検討されてきたが,高いエビデンスは得られていない.
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連載
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臨床経験
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症例
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腹膜透析中の上行結腸癌に対し reduced port laparoscopic colectomy を施行した1 例
80巻4号(2018);View Description Hide Description -
抜管時に患側鼠径部が著明に膨隆し腹腔内観察を要したtransabdominal preperitoneal repair(TAPP)の1 例
80巻4号(2018);View Description Hide Description -
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脾sclerosing angiomatoid nodular transformation(SANT)に対し腹腔鏡下摘出術を施行した1 例
80巻4号(2018);View Description Hide Description
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