外科
Volume 80, Issue 7, 2018
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特集【見逃してはならない腹部救急疾患の画像診断と治療】
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1.腹部外傷の画像診断:1)腸管損傷,腸間膜損傷の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description腸管損傷は遅発性に症状が出現することもあり,患者の生命予後にも影響する.現在の主たる画像診断はCT 検査によるところが大きいが,感度,特異度ともに高い画像所見は存在せず,術前診断も困難な場合が多い.腸間膜損傷に関しては,腸管損傷合併の可能性や,血流障害に伴う遅発性腸管損傷が問題となる.本稿では腸管損傷,腸間膜損傷のCT 画像所見に焦点をあてて概説する. -
1.腹部外傷の画像診断:2) 実質臓器損傷の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description外傷全身CT から得られる情報は,損傷の緊急度評価を可能とし,適切な治療方針決定にたいへん有用である.その際,活動出血だけでなく,被膜断裂や出血が起きている空間の組織密度を評価することも重要である.CT が撮影されたならば,その直後に一定時間画像に貼り付くことは決して患者から離れることではない. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:1)腸閉塞の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description血行障害を伴う腸閉塞症と定義される絞扼性腸閉塞は,緊急処置を要する代表的な腹部救急疾患である.CT 検査は絞扼性腸閉塞のもっとも有用な画像診断法であるが,形態に着目したclosed loop obstruction と血行動態変化を示す所見の両方から考えることで,緊急性の判断や治療方針の決定に役立つ.虚血性変化を少しでも疑う所見を有するclosed loop obstruction を認めた際には緊急手術を検討する. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:2)内ヘルニア嵌頓の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description内ヘルニアとは,腹膜もしくは間膜の裂孔部・陥凹部,腹膜の欠損部を介して,腹腔内臓器が脱出・嵌頓する病態である.CT 所見は,① sac-like appearance を含むclosed loop obstruction,② ヘルニア門を示唆する屈曲・蛇行・拡張した腸間膜血管の収束,③ ランドマークになる臓器・血管の偏位があげられる. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:3)非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)は,腸間膜血管主幹部に器質的な閉塞を伴わないにもかかわらず,分節状,非連続性にその支配領域の腸管血流障害をきたす疾患である.これまでは血管造影がゴールドスタンダードであったが,最近のMDCT の進歩の進歩で腸管虚血の客観的な検査診断が向上した.NOMI と診断されれば,腹膜症状がない場合は血管拡張薬の血管内投与の適応であるが,腸管壊死が疑われれば外科手術が必要となり,second look operation やdamage control surgery の必要性も示唆される. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:4)消化管穿孔(外傷以外)の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description消化管穿孔は迅速な診断,治療介入が求められる病態であり,正確な診断にはマルチスライスCT が欠かせない.腸管外ガスを認識できる表示条件で,適宜thin slice 画像や冠状断,矢状断と組み合わせて観察する.穿孔の直接所見は腸管外ガスの存在,腸管壁の不連続性,腸管内投与した造影剤の漏出であり,腸管壁の区域性肥厚や異常造影効果,穿孔周囲の脂肪混濁や液体貯留,腫瘍といった間接所見と組み合わせて穿孔部位の絞り込みを行う. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:5) 急性虫垂炎の画像診断と治療
80巻7号(2018);View Description Hide Description急性虫垂炎は緊急手術が必要となるもっとも一般的な腹部救急疾患である.抗菌薬で保存的に改善する症例も多いが,非穿孔性虫垂炎であっても約10%は保存的治療に反応せず,緊急手術に移行する.穿孔性虫垂炎で全身状態が安定しない症例,free air を認める症例には緊急手術がすすめられる.穿孔性虫垂炎であるが全身状態が安定している症例は,抗菌薬による保存的加療または緊急手術が選択される.また,高齢者では悪性腫瘍の可能性を考える必要がある. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:6)大腸憩室炎(Hinchey 分類から)の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description大腸憩室炎は腹部救急疾患ではまれではなく,画像診断が治療方針決定に重要な役割をはたす疾患である.画像診断ではCT または超音波検査が有用とされ,その所見でHinchey 分類を正確に評価することが,内科的治療もしくは外科的治療の選択に大きく関与する.大腸憩室炎の画像診断の特徴的な所見について,および画像診断によって選択する治療方法について解説する. -
2.緊急処置を要する腹部救急疾患の画像診断と治療:7)急性膵炎の画像診断
80巻7号(2018);View Description Hide Description急性膵炎の多くは保存的治療で軽快するが,10~20%を占める壊死性膵炎では,しばしば局所合併症を伴う.4 週間以上経過した膵仮性囊胞(PPC),被包化壊死(WON)では治療的介入を必要とすることが多い.近年,外科的治療のほかに低侵襲なインターベンション治療も開発され,治療オプションが広がってきている.どのタイミングでどのような治療的介入を行うかの選択が必要であり,そのために画像診断,特に造影CT 所見が重要となる.
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