外科

Volume 81, Issue 2, 2019
Volumes & issues:
-
特集【門脈圧亢進症の最新情報】
-
-
1.門脈圧亢進症に対する処置:1) 門脈圧亢進症に対する腹腔鏡下Hassab 手術
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
門脈圧亢進症に伴う食道・胃静脈瘤の治療は内視鏡やinterventional radiology(IVR)治療などが主流であるが,治療に難渋する難治性食道・胃静脈瘤や高度脾機能亢進症を併存する症例はHassab 手術のよい適応である.腹腔鏡下Hassab 手術は開腹手術と比較し安全性は同等で出血量は有意に少なく,在院日数も短くなり有用である.静脈瘤のコントロールや脾機能亢進症(血小板減少)のコントロールも長期にわたり良好に維持される. -
1.門脈圧亢進症に対する処置:2) Monoethanolamine oleate(Oldamin)を用いた胃静脈瘤に対するBRTO の多施設共同医師主導治験―治験の経過とその後の展開
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
硬化薬monoethanolamine oleate(Oldamin)を用いたバルーン閉塞下逆行性静脈瘤塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration:BRTO)は,本邦における孤立性胃静脈瘤に対する第一選択治療となってきたが,長年保険収載されていなかった.筆者らは,全国8 施設による多施設共同医師主導治験を計画・実施し,Oldamin の薬事承認およびBRTO 手技の保険収載を得るにいたった.本稿では,医師主導治験の概要,薬事承認ならびに保険収載にいたるまでの経過について述べる. -
1.門脈圧亢進症に対する処置:3) Budd-Chiari syndrome に対する直視下手術
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
Budd-Chiari syndrome は,肝静脈流出障害による肝機能障害がその病態の本質である.われわれの「直視下手術」は,直視下に肝静脈流出障害部分を切除する術式であり,生理的循環に戻す効果がある.その術式のポイントは,① 肝臓背部に位置する下大静脈への到達法:右側胸腹部開胸に引き続いて,横隔膜切離は肝臓を大きく右側へ迂回するように行う,② 体外循環の使用:肝静脈から流出してくる血液の急速輸血装置として使用するの2 点であり,詳述する. -
2.肝手術と門脈圧亢進症:1) 門脈圧亢進症を伴う肝細胞癌に対する術前処置の適応と切除後の予後
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
肝細胞癌患者は背景肝に障害を伴うことが多く,肝障害が進行した結果,門脈圧亢進症を呈することも少なくない.欧米のガイドラインでは門脈圧亢進症の存在を肝切除の適応外としているが,本邦では肝予備能が保たれていれば,血小板減少症や破裂の危険のある胃・食道静脈瘤に対し,術前の処置を行った後に肝切除を行うことがある.筆者らの施設で門脈圧亢進症に対する処置を行った後に肝切除を行った患者123 例の5 年生存率は53.1%,生存期間の中央値6.3 年,Clavien-Dindo 分類Grade2 以上の合併症発症率27.7%,周術期死亡0.8%であった.門脈圧亢進症の存在は進行した肝硬変を示唆し,門脈圧亢進症に対する処置自体のリスクもあるため治療適応の決定慎重であるべきであるが,予後は十分許容範囲内であり,肝切除治療も検討の余地がある. -
2.肝手術と門脈圧亢進症:2) 生体肝移植特有の肝移植周術期門脈圧亢進症対策
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
生体肝移植は予定手術であり,レシピエントにプログラム化された術前治療が可能である.新機軸の水利尿薬であるtolvaptan は,血清Na 値上昇作用をもつ.肝硬変患者の低Na 血症は,肝移植待機患者の独立した予後不良因子である.近年,同症が移植手術後の予後不良因子でもあることが明らかにされ,移植前の限られた時間で低Na 血症を緩徐に改善する本剤の作用は,門脈圧亢進症に対するbridging治療として期待される. -
3.膵疾患と左側門脈圧亢進症:1) 膵頭部癌に対する門脈/上腸間膜静脈合併膵頭十二指腸切除術における脾静脈離断後の左側門脈圧亢進症
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
門脈・上腸間膜静脈(PV/SMV)の合併切除を伴った膵頭十二指腸切除術(PD)では,脾静脈(SV)離断は術後の左側門脈圧亢進症(LPH)を発症し,食道・胃・膵・結腸静脈瘤の発達や出血,脾機能亢進症をきたすことがあり,その重要性が認識されつつある.これらの予防策として,われわれは脾動静脈合併PD の経験から,SV 離断を伴うPV/SMV 合併PD においては,SA 同時結紮(PD with splenic artery ligation:PD-SAL)を行っており,LPH の軽減に寄与することが期待されている. -
3.膵疾患と左側門脈圧亢進症:2) 脾静脈合併切除を伴う膵頭十二指腸切除術後の左側門脈圧亢進症の病態と予防
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
脾静脈合併切除を要する膵頭十二指腸切除術において,晩期合併症の左側門脈圧亢進症は,いまだに病態解明,予防策に一定のコンセンサスが得られていない.本稿では,当科での症例をもとに左側門脈還流図を作成し,脾臓からの静脈還流に重要な血管と考えられる左胃静脈,中結腸静脈,上右結腸静脈アーケード,脾腎シャントに着目した.解剖に基づいた発症リスクの層別化を行い,さらに予防策として脾静脈再建の有用性を検討した. -
4.門脈圧亢進症に対する治療の工夫:1) 肝臓手術後の難治性大量腹水症例に対する腹水濾過濃縮静注法(CART)
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
肝臓手術(肝切除,肝移植)後の難治性大量腹水症例に対する腹水濾過濃縮静注法(cell-free concentrated ascites reinfusion therapy:CART) について概説した.肝臓手術後の難治性腹水の原因および治療はさまざまであるが,生体肝移植におけるsmall-for-size などによる門脈圧亢進症が原因の場合,CART は献血由来の製剤使用を回避できる合理的な手法であり,適応症例に対しては試みる価値のある治療である. -
4.門脈圧亢進症に対する治療の工夫:2) 良性門脈狭窄に対するハイブリッドアンギオ室を用いたステント挿入術
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
良性の門脈狭窄は肝胆膵外科領域の手術のまれな術後合併症であるが,狭窄が高度な症例では消化管出血など致命的な合併症を引き起こす.術後の癒着により門脈狭窄部への直接のアプローチは困難である場合が多く,門脈ステント留置術のよい適応である.経皮経肝的なアプローチが困難であり,手術室での小開腹下経回結腸静脈アプローチを行う必要がある場合は,ハイブリッドアンギオ室での高解像度digital subtraction angiography(DSA)画像が手技の完遂に有用な可能性がある.
-
-
手術手技
-
-
-
症例
-
-
-
-
-
-
-
メッシュプラグ法術後の大腿ヘルニア嵌頓に対して腹腔内観察を併用した単孔式腹腔鏡下腹膜外到達法(TEP法)で修復した1 例
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
-
大動脈解離を併発した急性胆囊炎に対してreduced port laparoscopic cholecystectomy が有用であった1 例
81巻2号(2019);View Description
Hide Description
-
-
-
-
書評
-
-