外科

Volume 81, Issue 7, 2019
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特集【消化管術後合併症―発症要因と対応】
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1. 食道癌術後反回神経麻痺の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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反回神経麻痺は食道癌術後三大合併症の一つである.誤嚥性肺炎や栄養摂取障害につながることもある可能な限り忌避したい合併症であるが,反回神経周囲リンパ節は胸部食道癌手術におけるリンパ節郭清の最重要拠点でもある.いかに反回神経に負荷を与えずに精緻なリンパ節郭清ができるか.この課題を克服するためには,各施設ごとに郭清手順を定型化し,チームでイメージを共有することがもっとも重要であると考える. -
2. 食道癌術後縫合不全・吻合部狭窄の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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食道癌術後の縫合不全は縦隔炎や膿胸などを併発し,術後入院期間の延長や在院死亡と関連する.発症要因としては全身的要因と局所的要因があるが,それぞれに予防策を講じて合併症軽減に努めることが肝要である.特に再建経路と再建臓器の特徴を理解し,臓器血流が障害されないような手術操作が求められる.また,吻合部狭窄の主因は縫合不全である.いずれの合併症も患者の生活の質(QOL)が非常に低下するので,合併症発生時にはすみやかに対応し,積極的に状態改善に努めなければならない. -
3. 胃術後食物停滞の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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術後食物停滞は胃切除後の患者の食生活に大きな影響を与え,生活の質(QOL)を損なう要因となるため,その予防と早期の治療介入が必要である.またRoux-en Y 症候群のように再建法に特有の合併症も一因となるため,発症要因をふまえたうえで予防のための手術時の注意点と食事指導および投薬,外科的治療を含めた対応策について解説する. -
4. 胃術後ダンピング症候群の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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胃切除後に高張な食事内容が急速に小腸に流入することで,ダンピング症候群が誘発される.食後30 分以内に発生する,全身症状と腹部症状を含む早期ダンピング症候群と,食事摂取の2~3 時間後にインスリン過剰分泌によって発生する低血糖症状である後期ダンピング症候群に分類される.治療は食習慣や食事内容の指導が基本となり,頻回食にすること,過量摂取を避けることが主体となる.術式選択にあたり,胃機能温存を考慮することも対策の一つである. -
5. 小腸短腸症候群の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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21 世紀に入り,「腸管不全」が臓器不全の一つであるとされ,その代表的な短腸症候群への理解が深まり,新たな予防策や治療法が開発されている.その結果,3 人に2人は退院できるような時代となってきた.特に腸管順応に関する知見が深まり,薬物による腸管順応促進が可能となり,小腸移植を回避できるようになってきた.中心静脈栄養を維持するためにエタノールブロック法が登場し,成果を上げつつある.また,外科的にも小腸延長術,Kono-S 吻合など外科手技そのものによって短腸症候群予防や治療に貢献し始めている. -
6. 術後慢性偽性腸閉塞症の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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術後慢性偽性腸閉塞症は報告例が7 例ときわめて少なく,背景因子がさまざまであることから,発症要因について確定的なものはない.しかしながら,報告例がすべて女性であり,1 例を除いて発症が閉経前年齢であると考えられることから,女性ホルモンの関与が示唆されており,女性ホルモン分泌を抑制する薬剤の投与により腸閉塞症状が劇的に改善した海外報告例もある.一方,腸管にまったく操作が及ばない手術で発症する症例もみられることから,自律神経のバランスの破綻に発症要因を求める考えも提唱されている.不必要な腸管操作が術後の腸管運動回復を遅延させることを示した基礎的研究もみられることから,腹腔鏡手術などの低侵襲手術を心がけるべきであろう.高いエビデンスレベルの予防対策については今後の検討課題である. -
7. 直腸癌術後縫合不全・吻合部狭窄の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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直腸癌に対する括約筋温存術は,自動吻合器や腹腔鏡手術の進歩によって急速に進歩してきたが,縫合不全や吻合部狭窄は,患者のみならず外科医を依然として悩ませる術後合併症として解決策が模索され続けている.これまで,さまざまな予防および治療方法が考案されてきたが,本稿では原因,予防,治療について考えてみたい. -
8. 直腸癌術後排尿・性機能障害の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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近年の直腸癌の治療成績向上に伴い,術後の生活の質(QOL)の維持は重要性を増している.特に術後排尿・性機能障害は,患者のQOL に大きな影響を与える後遺症であるが,その予防法および評価法,治療法はガイドラインにも記載されていない.自律神経温存手術が標準的に行われている現在でも,排尿障害,性機能障害の発生は50%を超える報告もある.今後,腹腔鏡手術やロボット支援手術の拡大視効果により,より適切な神経温存手術手技が確立される可能性がある.また治療としては現在,排尿障害に対しては随意的排尿,薬物療法,清潔間欠導尿などが,性機能障害に対しては薬物療法が主に実施されているが,泌尿器科領域における今後の進歩により,より有効な治療法が開発されることを期待したい. -
9. 直腸癌術後直腸腟瘻の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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直腸癌術後の直腸腟瘻は,術後合併症の中で比較的まれな合併症であるが,患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる合併症の一つであり,double stapling technique(DST)の普及とともに散見されるようになっている.その治療は難治性であり,保存的に治癒は困難で,なんらかの局所に対する手術加療を要することが多い.治療法は瘻管の長さ,径,肛門からの距離,周囲組織の状況により決定し,治療法の選択にあたっては患者への十分なインフォームド・コンセントが必要である.また,それ以前に術後直腸腟瘻の合併をいかに予防するかが重要である. -
10. 大腸術後SSI(創部および腹腔内)の発症要因,予防対策と対応
81巻7号(2019);View Description
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手術部位感染(SSI) の予防に対して,Center for Disease Control andPrevention(CDC)をはじめさまざまな機関や学会からガイドラインが公開されている.大腸の手術では糞便がある腸管を開放するために,ほかの手術より術後感染症の発生率が高いことが報告されている.大腸手術後のSSI の予防に対し各ガイドラインを参考に実践し,発症したときには迅速な対応と適切な処置が必要である.
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臨床経験
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症例
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メッシュプラグ法術後の両側再発鼠径ヘルニアに対して腹腔内観察を併用した単孔式totally extraperitoneal repair(TEP)法で修復した1 例
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書評
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