Volume 82,
Issue 13,
2020
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特集【消化器疾患に対する縮小手術の可能性】
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外科 82巻13号, 1297-1302 (2020);
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食道癌の機能温存縮小手術のめざすところは,生活の質(QOL)と根治性を両立した手術である.頸部食道癌では,舌骨上筋群の温存と下筋群の切離,反回神経麻痺を回避して嚥下能を維持し,輪状咽頭筋切離により最大限に口側切離距離を確保し,喉頭温存手術を可能とする.胸部中下部食道癌では,上縦隔リンパ節転移を認めないことを条件に,嚥下能の低下した高齢者や脳梗塞既往患者を対象に頸部操作を省略できる高位胸腔内胃管再建術を適応する.
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外科 82巻13号, 1303-1307 (2020);
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食道胃接合部癌に対しては,これまで上部胃癌に準じて胃全摘を行うことが一般的であったが,胃全摘を行わないと郭清できないNos.4d,5,6 の転移割合は非常に低いことが判明し,機能温存の面からも噴門側胃切除を行う施設が近年増加している.食道胃接合部癌に対して噴門側胃切除を行う場合,逆流性食道炎や胃内容停滞といった合併症・後遺症のリスクをふまえた再建法を選択する必要があり,そういった手術術式の開発ならびに技術の習得が最大の課題である.
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外科 82巻13号, 1308-1311 (2020);
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早期胃癌に対する幽門保存胃切除術は,胃の貯留能維持,消化液の胃内への逆流防止,術後ダンピング症状の予防などが期待されている.術前診断にてcT1N0 かつ腫瘍遠位側縁が幽門から4 cm 以上離れている早期胃癌に対する縮小手術であるため腹腔鏡下に行われることが多く,正確な術前深達度診断および局在診断が重要である.幽門下静脈を温存することにより幽門洞部のうっ血予防となり,胃排出障害発生を抑制しうるとの報告がある.そのためには幽門下動静脈分岐の多様性を含めた詳細な解剖学的知識と良好な視野展開のための工夫が必要である.M 領域の早期胃癌を適応とすれば腫瘍学的に定型手術と治療成績は同等と報告されており,幽門保存胃切除術は術後機能温存手術として推奨される術式であると考えられる.
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外科 82巻13号, 1312-1317 (2020);
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潰瘍性大腸炎に対する標準術式は大腸全摘・回腸囊肛門吻合あるいは大腸全摘・回腸囊肛門管吻合術である.両者は病変を切除し自然肛門を温存する術式である.このうち回腸囊肛門管吻合術は,適応を選べば人工肛門を造設しない一期的手術が小開腹により可能な術式で,術後の排便機能も良好であり,本症に対する機能を温存する縮小手術である.
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外科 82巻13号, 1318-1322 (2020);
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結腸癌手術に関しては,腹腔鏡による低侵襲手術の普及によって多くの症例に縮小手術でなく標準手術が行えるようになった.一方,超高齢者や厳しい併存症をもったハイリスク例には縮小手術を考慮する必要がある.腸管切除範囲,中枢リンパ節郭清はその切除効果を考慮して切除範囲を縮小しても根治手術は可能と考えられる.一方,姑息手術では切除の適応も限定されるので,安全性と効率を第一に考えるべきである.また早期癌に対する根治的腸切除に関しては,内視鏡による内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)の発達により多くの原発巣切除が可能になってきているので,その適応についても一考の余地が出てきている.
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外科 82巻13号, 1323-1328 (2020);
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直腸カルチノイドの治療は,局所切除術と,リンパ節郭清を伴う直腸切除術に分かれ,その判断はリンパ節転移の頻度によって規定されている.その中で腫瘍径は重要な因子ではあるが,日本と米国で腫瘍径別にリンパ節転移の頻度を比較しても,日本はリンパ節転移が高率である.そのため,現在ガイドラインで規定されている縮小手術をさらに広げるためには本邦独自の検討が必要となり,今後さらなる知見の集積がまたれる.
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外科 82巻13号, 1329-1337 (2020);
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Transanal minimally invasive surgery(TAMIS)は単孔式腹腔鏡手術用のアクセスデバイスを経肛門的に使用した,直腸腫瘍に対する最新の経肛門的局所切除術である.従来の経肛門的切除術と比較して,安定した術野を得られるだけでなく,操作性が格段に向上した.TAMIS は一部の早期直腸癌に対する一括粘膜下層切除術にとどまらず,transanal total mesorectal excision(TaTME)への展開や放射線化学療法の併用,cT1b 以深の病変への適応拡大など,患者の生活の質(QOL)の向上につながる術式として今後の発展が期待されている.
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外科 82巻13号, 1338-1342 (2020);
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Crohn 病では痔瘻・肛門周囲膿瘍を高頻度で合併する.多くは難治性・再発性で治療に難渋する.瘻管切開術や瘻孔切除術など括約筋を損傷する手術を行うと,便失禁や排便障害をきたし,患者の生活の質(QOL)を大きく損なうことがある.このため,肛門機能を温存する目的でseton 法による外科治療が推奨されている.Seton 法では長期間の治療を必要とする場合があり,経過中,発癌の可能性を常に念頭におく必要がある.
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外科 82巻13号, 1343-1350 (2020);
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多発肝腫瘍に対する縮小切除の妥当性および問題点を検討した.縮小切除では腫瘍局在と肝内脈管との相関を考慮し,脈管切除に伴う阻血域,うっ血域への配慮,脈管切除再建の適否を検討する必要がある.一般に縮小切除は術後合併症を抑制し再発時の再切除率を向上すると報告されているが,拡大切除が適応されやすい両葉多発肝腫瘍のような進行例に対象を絞って,全病巣部分切除と拡大切除を比較していくことが縮小切除の真の優位性を示すために重要である.
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外科 82巻13号, 1351-1355 (2020);
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一般に膵腫瘍に対する手術は膵頭十二指腸切除術,膵体尾部切除術が選択されていることが多い.しかし術後遠隔時における膵内外分泌機能の低下などの問題から,良性,低悪性度膵腫瘍に対する機能温存手術が提唱されるようになった.十二指腸温存膵頭切除術は十二指腸,胆管,十二指腸乳頭を温存し,膵中央切除術は膵切除量を可能な限り縮小した術式である.適応疾患の選択には注意が必要であるが,術後の膵内外分泌機能からみると,根治性と過不足のない膵縮小手術は有用な術式と考える.
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臨床経験
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外科 82巻13号, 1357-1361 (2020);
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症例
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外科 82巻13号, 1362-1366 (2020);
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外科 82巻13号, 1367-1371 (2020);
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外科 82巻13号, 1372-1377 (2020);
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外科 82巻13号, 1378-1382 (2020);
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外科 82巻13号, 1383-1387 (2020);
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外科 82巻13号, 1388-1390 (2020);
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外科 82巻13号, 1391-1394 (2020);
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書評
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外科 82巻13号, 1356-1356 (2020);
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