Volume 112,
Issue 1,
2013
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特集 【寛解を目指す膠原病診療】
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Editorial
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内科 112巻1号, 2-4 (2013);
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・ 膠原病にはKlemperer の提唱した6 疾患が含まれ,その周辺には膠原病類縁疾患と呼ばれる多数の疾患が存在する.・膠原病は難病の代表的な疾患である.・膠原病の診療では速やかな寛解達成とその維持,合併症の予防が重要である.
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Special Article
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内科 112巻1号, 5-11 (2013);
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・ 全身性エリテマトーデス(SLE)は多臓器に障害をきたす全身性自己免疫疾患で,寛解と再燃を繰り返しながら病像が完成する.・ 近年,関節リウマチ(RA),炎症性腸疾患,皮膚・眼科疾患などの自己免疫病態に対する生物学的製剤の効果や安全性が示されつつあり,SLE 治療への応用が期待されている.・ 2011 年,約50 年ぶりに米国食品医薬品局がSLE の新規治療薬としてbelimumab(抗B lymphocytic stimulator 抗体)を承認した.・ 今後も新たな知見に基づく新規生物学的製剤の開発が望まれ,その有効性と安全性が検証されつつある.
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内科 112巻1号, 13-19 (2013);
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・ 新たな血管炎の分類と名称が約20 年ぶりに提唱された.・ 以前のChapel Hill Consensus Conference(CHCC)1994 では,10 の原発性血管炎が罹患血管サイズに基づいて3 つのカテゴリー(大型血管炎,中型血管炎,小型血管炎)に分類されていた.・ CHCC1994 は病因との関連もあり臨床的に利用しやすかったが,包含される疾患数が限られ,人名を冠した疾患名を多数含んでいた.・ 新たに発表されたCHCC2012 では,26 疾患を超える原発性および続発性血管炎が,7つのカテゴリー(大型血管炎,中型血管炎,小型血管炎,variable vessel vasculitis,single organ vasculitis,vasculitis associated with systemic disease,vasculitis associatedwith probable etiology)に分類された.・ CHCC2012 の分類の基盤にも罹患血管サイズがあり,それに加えて病因,病態,病理像が組み込まれており,臨床面ではよりいっそう利用しやすくなったといえる.・ CHCC2012 の特徴の一つは,続発性血管炎を含めてより多くの血管炎を内包できる余地をもたせた点であり,今後の臨床面での評価が期待される.
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病因・病態解明への新展開
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内科 112巻1号, 21-26 (2013);
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・ 抗ウイルス免疫に働くⅠ型IFN が抗核抗体を特徴とする膠原病の病態に重要な役割を果たしていることがわかってきた.・ 死細胞からの核酸と抗核抗体による免疫複合体が形質細胞様樹状細胞を刺激し,その結果,Ⅰ型IFN が誘導されて免疫系を賦活化し,さらに抗核抗体産生を増強する.・この悪循環のループを止めるのが治療の目標となる.
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内科 112巻1号, 27-32 (2013);
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・ 多発性筋炎・皮膚筋炎の筋組織所見は,それぞれに典型的なものはあるが,例外もあり,峻別できるものではない.・ 筋炎,皮膚炎,間質性肺炎を異なる程度にもつ3 疾患複合体とも考えられる.このうち,間質性肺炎をもつものは,抗アミノアシルtRNA 合成酵素抗体をはじめとする特殊な抗体をもつものが多い.・ 動物モデルから,キラーCD8T 細胞活性化という全身の獲得免疫活性化と筋局所の自然免疫活性化とが筋炎に重要と考えられる.・皮膚炎や間質性肺炎も,Koebner 現象に代表されるような局所の自然免疫活性化が関与しているとも考えられる.
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早期診断と治療
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内科 112巻1号, 33-37 (2013);
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・ ループス腎炎は,全身性エリテマトーデス(SLE)の予後を規定する重要な臓器合併症である.・ ステロイドの普及,cyclophosphamide などの免疫抑制薬の登場,透析医療の向上により,近年,SLE の生命予後は飛躍的に改善し,さらにマルチターゲット療法(ステロイド+mycophenolate mofetil+tacrolimus)やrituximab をはじめとする各種生物学的製剤の有効性も報告され,治療の選択肢が増えつつある.・ 昨今の死因の第1 位は感染症であり,強力な免疫抑制療法に伴う日和見感染が問題になっている.また,ステロイド長期投与による骨粗鬆症,動脈硬化なども懸念されており,生命予後を改善することからQOL を保つことに管理目標が移りつつある.・ 各種薬剤のリスクとベネフィットを考慮しつつ,病態に応じた特異的な治療法の確立が望まれる.
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内科 112巻1号, 39-44 (2013);
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・ 混合性結合組織病は膠原病に分類される疾患で,血液中に抗U1‒RNP 抗体を有し,全身性エリテマトーデスや強皮症,多発性筋炎の側面を持ち合わせる疾患である.・ 米国では強皮症の一亜型と捉える傾向にあるが,本邦では独立した膠原病として特定疾患に認定されている.・Raynaud 現象の合併が高頻度で,かつ初発症状となることが多い.・ 一般的にステロイド薬によく反応し,重篤な臓器合併症が少なく,生命予後は良好である.・ 他の膠原病に比し肺高血圧症の合併が高率であり,生命予後を左右する大きな要因となる.
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内科 112巻1号, 45-53 (2013);
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・ 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の顕微鏡的多発血管炎(MPA)と,大型血管炎の高安動脈炎(TAK)はわが国に多い血管炎である.・ 現在,MPA を含むANCA 関連血管炎に対する寛解導入・維持の標準治療は確立されつつあり,rituximab の重症型への適応拡大により,疾患予後はさらに改善されるものと思われる.・ 一方,MRA,CT,PET‒CT,エコー検査など血管撮影技術は近年著しく進歩し,TAK の早期診断に貢献している.・また,サイトカインを標的とした生物学的製剤の優れた有効性が報告されており,今後の展開が期待される.
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内科 112巻1号, 55-59 (2013);
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・ 多発性筋炎(PM)/皮膚筋炎(DM)は,筋肉,皮膚,関節,心臓,肺などに病変が生じる全身性の自己免疫性疾患である.・ PM/DM では,各筋炎特異自己抗体別に臨床像の特徴,治療反応性,予後の予測が可能である.・ 筋炎の国際研究グループIMACS により,PM/DM の疾患活動性の評価であるmyositisdisease activity core set (MDACS)や新分類基準案が提唱された.・ 治療の基本はステロイドであるが,筋力低下が重度の場合や間質性肺炎などの臓器障害を認める場合にはfirst line でステロイドと免疫抑制薬の併用療法を考慮する.・身体機能障害が進行する前に積極的に治療介入することが重要である.
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内科 112巻1号, 61-66 (2013);
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・全身性強皮症(SSc)の分類基準の改定により,早期・軽症例の診断が可能となった.・ 自然経過がきわめて多様なため,予想される最大の皮膚硬化範囲,自己抗体による病型分類が予後予測や治療方針決定に有用である.・ 治療は疾患修飾療法と対症療法に分類され,びまん皮膚硬化型早期例および進行性の間質性肺疾患を有する例のみが疾患修飾療法の適応となる.・高い有効性エビデンスをもつ疾患修飾療法はないが,cyclophosphamide,methotrexateが主に用いられる.
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内科 112巻1号, 67-71 (2013);
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・抗リン脂質抗体症候群は,抗リン脂質抗体に関連する自己免疫性血栓症および妊娠合併症と定義される.・代表的な抗リン脂質抗体として,ループスアンチコアグラント,β2グリコプロテインⅠ依存性抗カルジオリピン抗体,抗β2グリコプロテインⅠ抗体,ホスファチジルセリン依存性抗プロトロンビン抗体があげられる.・抗リン脂質抗体が血小板や単球,血管内皮細胞などの血栓形成に関連する細胞と結合し,血栓傾向を惹起させると考えられている.・血栓症,妊娠合併症以外にも血小板減少,神経症状,網状皮斑など多彩な症状を呈する.・動脈血栓症には抗血小板薬,静脈血栓症には抗凝固薬を用いる.・妊娠合併症には低用量aspirin やheparin を使用する.
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内科 112巻1号, 73-76 (2013);
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・成人発症Still 病は,発熱と多関節炎,リウマトイド疹を3 主徴とする全身性炎症性疾患である.病因はいまだ明らかではないが,その病態形成にIL‒6 やIL‒18 など複数のサイトカインが関与していることが報告されている.・ IL‒2 やIL‒12,IFN‒γが低く,IL‒4 やIL‒13 が高いことから,Th2 細胞の関与が示唆される.・治療には従来ステロイドやcyclosporin A などの免疫抑制薬が用いられてきたが,近年,IL‒6 阻害薬をはじめとする炎症性サイトカインを標的とした生物学的製剤が有効であったとする症例が多数報告されている.
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特殊な状況と合併症への対応
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内科 112巻1号, 77-80 (2013);
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・全身性エリテマトーデス(SLE)は妊娠を契機に再燃する可能性がある.・ SLE 患者に妊娠を認容する条件は,① ステロイド維持量で活動性が抑えられている,② 重大な臓器合併症がない,③ 妊娠転帰が不良となる可能性があることを患者ならびに家族が理解し受け入れができている,の3 点である.・抗リン脂質抗体,抗SS‒A 抗体が陽性の場合にはとくに注意が必要である.・妊娠中の薬剤使用については催奇形性ばかりでなく胎児毒性も重要である.・ 妊娠中の薬剤の安全性については動物実験結果でなく,疫学研究による判断が望ましい.・授乳中に薬剤を使用する場合の母乳栄養との両立については母乳栄養のメリットを考慮したうえで判断をする.
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内科 112巻1号, 81-84 (2013);
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・ 高齢発症の頻度が高い膠原病疾患は,顕微鏡的多発血管炎,リウマチ性多発筋痛症,巨細胞性動脈炎である.・ 高齢者は免疫抑制療法中の感染症合併のリスクが高いため,治療方法については慎重に検討する必要がある.・結核,ニューモシスチス肺炎,その他の真菌症などの日和見感染症と骨粗鬆症の進行に伴う骨折が治療管理上重要となる.
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内科 112巻1号, 85-90 (2013);
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・ ステロイド1 日平均投与量が16.6 mg 以上でステロイド性骨壊死発生の危険率が約4 倍になるが,ステロイド総投与量との間には有意な相関はない.また,ステロイド薬非投与に対する投与のリスクは約20 倍ときわめて高い.・ 大腿骨頭壊死は10 万人当たり2.51 人の発生率であり,ステロイド関連が約半分を占める.大腿骨頭の虚血性病変であり,骨梗塞と同義である.・壊死に陥った部分が潰れる(圧潰)と,痛みが生じる(発症).・発症すると,外科的治療が必要となる場合が多い.・ステロイド性骨壊死の発生リスクの検知と予防法開発が重要である.
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内科 112巻1号, 91-95 (2013);
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・ ステロイドは精神症状の発症リスクがもっとも高い薬剤の一つであり,自殺のリスクは7 倍に上昇する.・ 気分障害(躁病,うつ病,混合性の各エピソード),精神病性障害,せん妄,軽度認知障害など多彩な臨床症状を呈する.・ 急速・高用量投与時には躁病エピソードが,長期投与ではうつ病エピソードが生じることが多い.・ステロイド誘発性精神障害(CIPD)の発症は用量依存的であるため,治療の原則はステロイドの減量・中止である.・ 対症療法として,躁病エピソードには抗精神病薬や気分安定薬が適応となる.うつ病エピソードには慎重に選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を用い,三環系抗うつ薬を使用しない.せん妄,精神病性障害には抗精神病薬を用いる.・精神科医との連携が欠かせない.
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内科 112巻1号, 97-102 (2013);
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・感染症は膠原病に対する免疫抑制療法実施下におけるもっとも重要な合併症である.・ 大部分の膠原病において,肺感染症が最多で重要な感染症であり,しばしば他の原因による肺病変との鑑別が重要となる.・ 免疫抑制療法開始時に適切なリスク評価を行い,可能な予防策を講じておくことが望ましい.・感染症合併時には感染症診療の原則に則り,病原体診断のための努力を最大限行い,感染巣と起炎菌を想定したうえで,適切なエンピリック治療とde‒escalation を心がける.
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トピックス
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内科 112巻1号, 103-106 (2013);
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・ ゲノムワイド関連解析によって,膠原病各疾患の主要な疾患感受性遺伝子が明らかになった.・ いずれの疾患においてもHLA 遺伝子多型が最大の遺伝因子であるが,相対的に寄与の低い非HLA 遺伝子が複数関与している.・ 関節リウマチにおけるPADI4 遺伝子,ANCA 関連血管炎におけるPRTN3 遺伝子のように,疾患特異的に寄与している遺伝因子がある一方で,TNFAIP3,STAT4 遺伝子のように複数の疾患で共有されている遺伝因子が存在する.・遺伝因子には人種差が存在するため,日本人における疾患感受性遺伝子の同定が重要である.
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内科 112巻1号, 107-111 (2013);
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・ バイオマーカーとは,疾病の生物学的病理学的背景を反映し,治療標的となりうる分子を包括する客観的指標である.・ リウマチ治療薬の標的であるTNF‒α,IL‒6,CTLA4,Jak3,Syk,RANKL は,いずれもがバイオマーカーの側面をもつ.・ 抗dsDNA 抗体,補体に加え,TWEAK,BLyS,NMDA 受容体などがSLE の臓器障害を反映するマーカーとして注目されている.・ 肺線維症に対する信頼性の高い血清マーカーはSP‒D とKL‒6 であり,間質性肺炎の進展については気管支肺胞洗浄液の解析が重要である.ET‒1 は肺高血圧症の診断に有用なバイオマーカーとされる.・抗CADM‒140 抗体は間質性肺炎を合併する筋症状に乏しいDM 患者群に特異性が高く,抗体陽性患者の予後はきわめて不良である.
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内科 112巻1号, 113-117 (2013);
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・全身性エリテマトーデス(SLE)は,若年女性に好発する膠原病の代表的疾患である.・患者年齢にもかかわらず動脈硬化性心血管疾患の罹病率が高く,それに伴い死亡率も高いことが報告されており,SLE の疾患管理上重要な因子となっている.・進展機序としては疾患そのものの活動性が強く関与していることがわかってきており,さらに治療薬の関与も指摘されている.・動脈硬化の診断についてはさまざまな画像検査が知られている.・ SLE の動脈硬化進展の予防および治療は,禁煙などの一般的な注意と疾患活動性の良好なコントロール,およびスタチン製剤などの投与である.
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座談会
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内科 112巻1号, 119-131 (2013);
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内科 112巻1号, 133-138 (2013);
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連載
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内科 112巻1号, 148-152 (2013);
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内科 112巻1号, 159-164 (2013);
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内科 112巻1号, 153-158 (2013);
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内科 112巻1号, 175-178 (2013);
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内科 112巻1号, 169-173 (2013);
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内科 112巻1号, 141-147 (2013);
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【A の要旨】 これまで,マスクの着用は感染者から非感染者に伝播しないために用いる感染防護具であり,他者からの感染を防ぐために装着するものではないとされてきたが,近年サージカルマスク(あるいはフェイスマスク)を着用することはインフルエンザの感染予防に有用であるという知見が集積してきている.手指衛生などの他の感染対策とともにマスクを着用することでより効果的にインフルエンザを予防することができるであろう. 【B の要旨】 インフルエンザ予防の基本は接触感染対策と飛沫感染対策である.サージカルマスクを付けるだけではインフルエンザ予防対策として不十分であることは過去の研究が明らかにしている.また,マスク着用者のアドヒアランス低下が効果を減弱させることが明らかになっている.インフルエンザ予防の基本は定期的なワクチン接種と手洗いであり,マスク着用を推奨するのであれば,着用が必要な対象者に正しい着用方法を指導すべきである.
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内科 112巻1号, 166-167 (2013);
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内科 112巻1号, 38-38 (2013);
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投稿
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症例
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内科 112巻1号, 179-182 (2013);
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内科 112巻1号, 183-185 (2013);
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内科 112巻1号, 186-188 (2013);
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内科 112巻1号, 189-191 (2013);
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内科 112巻1号, 192-197 (2013);
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内科 112巻1号, 198-201 (2013);
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Photo Report
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内科 112巻1号, 174-174 (2013);
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Book Review
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内科 112巻1号, 72-72 (2013);
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内科 112巻1号, 139-139 (2013);
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記事広告
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内科 112巻1号, 1-1 (2013);
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