医学のあゆみ

Volume 208, Issue 9, 2004
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あゆみ ARBの心血管疾患治療におけるEBMと展望
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動脈硬化進展抑制に対するARBのエビデンス
208巻9号(2004);View Description
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レニン—アンジオテンシン系阻害薬であるACE阻害薬やARBの血管保護作用は多くの動物実験で確認されている.臨床成績についてもACE阻害薬を用いたいくつかの大規模臨床試験があり,内皮細胞機能改善作用や頸動脈肥厚抑制作用が確認されている.また,心血管疾患発症抑制のエビデンスとの関連も認められている.ARBについても同等,あるいはそれ以上の効果が期待されるが,ロサルタンとアテノロール(β遮断薬)の動脈壁肥厚に対する比較試験ではほぼ同等の肥厚改善が認められた.降圧効果を超えたARBの動脈硬化抑制が確認されたわけで -
糖尿病を合併した高血圧の治療──ARBのエビデンス
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糖尿病合併高血圧の治療に用いる降圧薬は2002年のADA勧告では第一選択薬をARB,ACE阻害薬,β遮断薬,利尿薬として,Ca拮抗薬を外している.一方,ALLHATを受けてJNC—7ではCa拮抗薬の有用性を再認識し,糖尿病合併高血圧の第一選択薬は,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,β遮断薬,利尿薬の5つとしている.ARBのエビデンスとしてはLIFE試験の結果から糖尿病合併高血圧ではARBがβ遮断薬よりも有意に心血管系イベントの発症を抑制することが確認され,さらに,糖尿病性腎症に関しては,プラセボとの比較で -
高血圧に対するARBのエビデンス──無作為介入試験の成績より
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わが国の高血圧治療ガイドラインではARBは6種類の第一選択薬のひとつである.心不全や糖尿病性腎症において多くのエビデンスがARBで集積されており,高血圧に関するエビデンスは2つ報告されている.LIFE試験は心肥大を伴う高血圧を対象としてARBの心血管イベント抑制効果をβ遮断薬と比較したものであり,SCOPE試験は高齢者の軽中等症高血圧を対象としてARBの効果をプラセボ(あるいはARB,ACE阻害薬以外の降圧薬)と比較したものであり,LIFE試験においては脳卒中を含む一次エンドポイントの抑制が認められており -
心筋梗塞に対するARBのエビデンス
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心筋梗塞などの心血管イベント抑制に対するARBの効果を示すエビデンスが多数発表されてきている.2003年11月のAHAで発表されたVALIANTは心筋梗塞後の予後改善効果において,すでに確立されているACE阻害薬に対するARBの非劣性を統計的に有意に示した最初の試験となった.ARBは基礎研究での知見が蓄積されつつあり,大規模臨床試験の結果発表も数多く予定され,今後の展開が期待される. -
心不全に対するARBのエビデンス
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収縮不全による慢性心不全に対するACE阻害薬とβ遮断薬の有効性は確立している.CHARM試験はARBがACE阻害薬と同様に心不全に対して予後改善効果を有することをはじめて証明した.さらに,Val—HeFT試験と同様に,ACE阻害薬にARBを追加投与することも有用であった.また,拡張不全に対してもARBは有効であることが示唆された.さらに,VALIANT試験によって,ARBは急性心筋梗塞後の左室機能障害に対しても有効であることが示された.最近の心不全に対するARBの有効性を支持するエビデンスによって,今後A -
ARBによる脳卒中予防のエビデンス
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高血圧治療の目標として,わが国においては脳卒中予防がもっとも重要である.人口の高齢化が進む一方で脳卒中死亡率の減少および軽症化が進んでおり脳卒中既往者において脳卒中再発をいかにして防いでいくかということも重要である.降圧治療によって受ける恩恵は脳卒中発症率の減少がもっとも顕著であるが,近年,アンジオテンシン受容体拮抗薬(以下ARB)が登場し,LIFE試験(The Losartan Intervention For EndpointReduction in Hypertension Study)やSCOPE -
糖尿病性腎症の発症・進展抑制に対するARBのエビデンス
208巻9号(2004);View Description
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アンジオテンシンIIは糖尿病性腎症の病態形成に大きく関与しており,アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を投与することは合目的である.ARBの糖尿病性腎症の発症抑制に対するエビデンスはまだ不十分であるが,進展抑制に対するエビデンスは大規模試験によって得られた.MARVALとIRMA2により早期腎症患者においてARBがアルブミン尿を減少させ,早期腎症の進展を抑制することが明らかとなった.RENAALとIDNTによりARBが腎機能障害を有する顕性腎症患者に対しても蛋白尿の減少のみならず末期腎不全への移行を -
ARBと不整脈
208巻9号(2004);View Description
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RAASは心筋肥大や線維化を促進し,心筋膜イオンチャネルの発現を修飾すると考えられる.この結果,不応期の延長やそのばらつきの増大や伝導遅延をきたし,不整脈の発生基盤を形成することになる.さらに,AT2による交感神経末端におけるノルエピネフリンの遊離促進作用も,不整脈の発生そのものを修飾する.またKを中心にした電解質異常によるRAASの催不整脈も考慮しなければならない.ARBの投与で不整脈がただちに消失したり抑制されることを確認することは臨床では皆無に近いが,ARBは不整脈治療においてより上流の要因を是正し
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22.抗原特異的免疫療法
208巻9号(2004);View Description
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小児期における減感作療法の成功は,アレルギーマーチ(さまざまな抗原に対して鼻炎,喘息などさまざまな症状が加齢とともに現れてくること)の進行を有意に抑えることが知られている.アレルゲンを用いた減感作の標的はT細胞であるため,抗原をさまざまな形に修飾/選択したりすることにより,その効果を確実にすることができる.減感作におけるアナフィラキシーの副作用はアレルゲンがB細胞エピトープを複数有することによるが,この点においてもT細胞減感作は有利である.抗原そのものの構造以外にも抗原提示分子の選択や,粗アレルゲンからの