Volume 217,
Issue 3,
2006
-
あゆみ 肝移植──あきらめてはならない重症肝疾患
-
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 237-238 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 239-243 (2006);
View Description
Hide Description
日本の脳死肝移植は臓器移植法施行以来32例行われたにすぎず,肝移植実施例数の99%以上が生体肝移植という世界でも特異な状態が続いている.生体肝移植の最大の問題点はドナーにかかるリスクであり,ドナーの術後合併症の頻度は14〜50%と報告され,非自己血輸血や再手術を要することもあり,世界的にみると10例を超えるドナー死亡例が報告されている.ドナーの長期予後に関しても不明な点が多いが,欧米も含めると生体ドナーの範囲は拡大しつつある.現行の日本の臓器移植法は死者および脳死者からの特定臓器の取出しについては規定しているが,生きた人からの臓器提供についての言及はない.脳死移植が普及している国も含めて臓器不足は深刻であり,心停止ドナー,nonmedical brain death donorからの臓器提供,さらに臓器売買による移植などの問題が生じており,医学的あるいは倫理的な検討が必要である.
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 244-251 (2006);
View Description
Hide Description
肝移植の成績は,新しい免疫抑制薬の導入,臓器保存液の開発,術式の改良などにより飛躍的に向上し,症例数も1980年代以降年々増加している.今日では末期肝疾患に対する唯一の根治的治療法として確立されている.欧米では脳死肝移植が主流であるが,臓器不足を克服するために生体肝移植,心臓が停止した死後の提供による肝移植も増加しつつある.また,貴重な移植肝を有効に活用するために分割肝移植,ドミノ移植などが行われている.わが国では1989年以来生体肝移植が年々増加しつつあり,末期肝不全に対する根治療法として完全に定着した
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 253-256 (2006);
View Description
Hide Description
劇症肝炎の救命率は近年では約50%と増加してきた.これには,血液浄化療法の進歩のほか,肝移植の導入の影響が大きいと考えられる.移植に関しては国内では生体肝移植にほぼ限定されている.劇症肝炎に対する生体肝移植においては移植への適応・禁忌を検討し,不可逆的な神経障害が出現する前に移植を施行しなくてはならない.ドナーへの医学的評価は緊急に行わなくてはならず,インフォームドコンセントなど,配慮しなくてはならない点は多い.本稿では,劇症肝炎の治療方針を決定するうえで使用されているガイドラインやわが国での移植成績を供覧する.
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 257-261 (2006);
View Description
Hide Description
慢性肝不全に対する肝移植適応は大きく2つの因子で決定される.第1に移植後の生存率と移植以外の治療による生存率との比較であり,前者が後者に比べて高い場合に移植を考慮する.一般的に肝障害度の指標であるChild−Turcotte−Pugh分類による肝障害度を用いて判断されるが,アメリカUNOSの新しい臓器分配システムであるMELDスコアも参考になる.さらに,原発性胆汁性肝硬変などでは疾患独自の生存モデルが考案されており,より的確な判断が可能である.第2は術前状態と移植後生存率の関係である.術前状態が悪ければ移植手術のリスクは上昇する.移植後成績からみて移植待機の許容範囲がどこまでであるかを判断しなければならない.この点に関しても客観的な判断基準としてMELDスコアが注目されている.いずれの場合も的確な時期での移植実施のためには,経時的な観察と肝臓内科医・移植外科医の綿密な連携が必須である.
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 263-267 (2006);
View Description
Hide Description
肝細胞癌に対する肝移植は2005年1月にミラノ基準適合症例(5 cm以下単発あるいは直径3 cm以下,個数3個以下)については保険適用が認められた.また同年,『科学的根拠に基づく肝癌診療ガイドライン』が出版され,肝障害度Cでミラノ基準適合例については肝移植が標準治療として推奨されている.わが国においては生体肝移植が主流であり,ドナーの存在が前提となるが,実際にはミラノ基準を逸脱する症例においても予後のよい集団が存在する.したがって,実際には国内の多くの施設で,1肝外転移がない,2肉眼的脈管浸潤がない,3移植以外に治療法がない,4低分化型肝癌以外,の4項目を最低の適応基準として,各施設独自の基準で移植がなされている.これらの拡大基準については今後議論を深めてコンセンサスが得られるべきである.また,JISスコアが2点以上の症例でかつ若年者においては既存の治療と比較して成績が良好であるため,移植のよい適応である.このような肝移植の上限下限あるいはタイミングの決定についての議論も,今後活発になされるべきであると考える.
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 269-272 (2006);
View Description
Hide Description
わが国における肝硬変の成因の80%近くがB型肝炎ウイルス(HBV)またはC型肝炎ウイルス(HCV)によるものである.2004年1月にこれらの肝硬変に対する生体肝移植が保険適応となってから,B型・C型ウイルス性疾患に対する肝移植症例が増加してきている.HBV・HCVともに,適切な予防措置を行わないとほとんどの症例で再発を認め,免疫抑制剤などの影響を受けて急速に肝硬変へと進行する症例が存在することから,肝移植後ウイルス性肝炎の再発は非常に大きな問題となっている.B型肝炎再発に関しては,移植前からのラミブジン投与と,術中・術後の高力価HBs抗体含有免疫グロブリン(HBIG)の投与によって再発を予防できるようになったが,経済的負担の問題などいくつかの問題が残されている.一方,C型肝炎に関してはいまだ標準的治療法はなく,その術後再発が大きな問題となっており,今後のあらたな治療法の開発が急務である.肝移植後B型肝炎・C型肝炎は,ウイルスの初感染からはじまり急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変へと進行し,さらに免疫抑制剤などの影響が加わってさまざまな病態を引き起こす.これらの病態から明らかとなる知見は,HBVやHCVのウイルス動態や肝炎発症機序,さらにはウイルス治療を考えるうえで非常に重要な手がかりを与えてくれる.
-
フォーラム
-
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 274-275 (2006);
View Description
Hide Description
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 276-277 (2006);
View Description
Hide Description
-
TOPICS
-
-
発生学・再生医学
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 281-282 (2006);
View Description
Hide Description
-
生化学・分子生物学
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 282-283 (2006);
View Description
Hide Description
-
内分泌・代謝学
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 283-284 (2006);
View Description
Hide Description
-
脳神経外科学
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 285-286 (2006);
View Description
Hide Description
-
産業衛生
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 286-287 (2006);
View Description
Hide Description
-
連載 現代医療におけるコメディカルの役割8
-
-
Source:
医学のあゆみ 217巻3号, 289-294 (2006);
View Description
Hide Description