Volume 217,
Issue 8,
2006
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あゆみ 特発性心筋症──病因解明の最前線
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医学のあゆみ 217巻8号, 807-807 (2006);
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医学のあゆみ 217巻8号, 809-813 (2006);
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特発性心筋症は当初“原因不明の心筋疾患”と定義されていた.肥大型心筋症については以前から家族内発症をきたすことが知られており,連鎖解析および候補遺伝子アプローチなどの遺伝子解析により,まず心筋βミオシン重鎖遺伝子の変異が肥大型心筋症の原因であると同定された.以来,肥大型心筋症患者において心筋トロポニンTやI,ミオシン結合蛋白Cなどのサルコメア蛋白をコードする遺伝子の変異が病因としてつぎつぎと報告されてきた.拡張型心筋症についてはウイルス性心筋炎やアルコールによるものなども存在するが,2〜3割のものは家族性であり,サルコメア遺伝子変異やデスミン遺伝子変異が原因であると報告されている.さらには拘束型心筋症や不整脈源性右室心筋症においても病因となる遺伝子変異が報告されている.この稿では特発性心筋症における遺伝子変異,およびそれぞれの遺伝子変異に対応する臨床病型について簡潔に紹介する.
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医学のあゆみ 217巻8号, 815-818 (2006);
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心血管疾患は日本人の死因第2位を占め,終末像は心不全という共通の病態を呈する.RAAS系抑制薬とβ遮断薬の登場により心不全患者の予後改善を得ることができるようになった.しかし,内科的治療には限界があり,とくに若年発症の心不全として頻度の高い拡張型心筋症に対する優れた治療法はなく,最終的には心臓移植に頼るほかないのが現状である.心不全の進行予防の開発が重要であり,心不全治療の新ターゲットを探しだす必要があり,さまざまなアプローチが続けられている.ひとつのアプローチとして,DNAマイクロアレイに代表される遺伝子解析法技術を用いた不全心筋の遺伝子発現レベルの解析から心不全原因遺伝子および心不全修飾遺伝子の探索が行われている.
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医学のあゆみ 217巻8号, 819-824 (2006);
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肥大型心筋症と一部の拡張型心筋症にはサルコメア(筋節)構成蛋白の遺伝子異常が多く認められる.βミオシン重鎖に次いで,トロポニンT(全体の約15%)に高頻度である.近年,放射光を用いたX線回折法により原子レベルの解像度で,ヒト心筋トロポニンのコアドメインの構造が決定された.収縮調節の詳細な機構解明の端緒となるとともに,構造に基づく創薬から特異的な治療法の開発も期待できる.本稿では,心筋トロポニンの構造から期待される心筋症の病因の解明と治療法の開発の可能性について述べてみたい.合わせて,構造に基づく創薬の成功
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医学のあゆみ 217巻8号, 825-829 (2006);
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心筋症は表現型から肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy:HCM),拡張型心筋症(dilated cardiomyopathy:DCM),拘束型心筋症(restricted cardiomyopathy:RCM)の3つに大きく分類される.最近,20年あまりの分子遺伝学的研究によって,かつては原因不明とされていたこれらの特発性心筋症の多くが,心筋細胞内の収縮力発生装置である筋原線維を構成し,心筋の収縮と調節を担うサルコメア蛋白質遺伝子の優性突然変異によって引き起こされることが明らかにされた.本稿ではそれぞれの心筋症において見出された心筋収縮・調節蛋白質遺伝子の突然変異がもたらす蛋白質機能異常に関する最近の知見を概説する.
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医学のあゆみ 217巻8号, 831-835 (2006);
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特発性心筋症は元来基礎疾患をもたない原因不明の心筋疾患として定義されていたが,近年その原因の一部が遺伝子異常にあることが明らかとなった.また,それによって引き起こされる蛋白機能異常の解析によって,一見別々の機能をもつと考えられていた心筋細胞膜,Z帯および核膜における機能異常が相互に密接な連関をもち,最終的に心筋症という同一の疾患表現型をもたらすことが示唆されている.この知見を手がかりとしたさらなる分子遺伝学・生化学・分子生物学的な特発性心筋症発症機序の解明が,今後の心筋症に対する特異的治療法開発の可能性をより現実的なものにすると考えられる.
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医学のあゆみ 217巻8号, 837-842 (2006);
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近年,特発性心筋症の原因遺伝子がつぎつぎと同定されるようになってきたが,この疾患はいまだ重症心不全の原因の多くを占めており,治療法の開発は急務である.モデル動物を用いた解析により,その心筋細胞は機械的刺激に対する応答に異常があることが明らかとなり,心筋細胞内のCaハンドリングを改善することで,心筋症において異常に高まっている心室壁ストレスを低下させるという,あらたな心筋症治療法の方向性が示された.このように,心筋のCaハンドリング蛋白質を標的とした遺伝子治療といった新しい治療法が,心筋症モデル動物を用いることでつぎつぎと開発されつつある.
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フォーラム
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医学のあゆみ 217巻8号, 844-845 (2006);
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TOPICS
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 217巻8号, 851-852 (2006);
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免疫学
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医学のあゆみ 217巻8号, 852-853 (2006);
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呼吸器内科学
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医学のあゆみ 217巻8号, 853-854 (2006);
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小児科学
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医学のあゆみ 217巻8号, 854-856 (2006);
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連載 現代医療におけるコメディカルの役割11
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医学のあゆみ 217巻8号, 857-859 (2006);
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