Volume 224,
Issue 2,
2008
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あゆみ 世界に誇る日本のコホート研究
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医学のあゆみ 224巻2号, 115-115 (2008);
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【循環器疾患をおもなエンドポイントとした研究】
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医学のあゆみ 224巻2号, 117-120 (2008);
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著者らのコホート研究は,1960年代初頭から40年以上もの長期にわたって継続している日本では数少ない疫学研究のひとつである.公衆衛生の立場に立って,全国各地の生活環境の異なる地域・職域における循環器疾患予防対策の一環として研究が発展してきたという点が最大の特徴である.また,これまでに数多くの実績を報告しているが,あくまでも対策の一環であるという位置づけと研究者により命名されたスタディ名がかならずしも住民の理解を得られるとは限らないなどの理由から,固有のスタディ名が付けられていない点でもユニークである.
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医学のあゆみ 224巻2号, 121-125 (2008);
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大迫研究は1986年に開始された岩手県花巻市大迫町の一般住民を対象とした高血圧・循環器疾患に関する長期前向きコホート研究である.本研究は24時間自由行動下血圧(Ambulatory blood pressure:ABP)と自己測定血圧(家庭血圧,Home blood pressure:HBP)の臨床的有用性を確立させることを目的としている.今日に至るまでの平均10年あまりの追跡調査によりABPやHBPが診療時の血圧(随時血圧)と比較し,脳心血管死亡および脳卒中発症の予測能がきわめて優れていることを報告して
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医学のあゆみ 224巻2号, 127-131 (2008);
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吹田研究は,都市部一般住民を対象とした循環器病の発症および死亡をエンドポイントとしたコホート研究である.平成元年より吹田市医師会と共同で研究を開始し,6,485人を現在追跡している.アンケート調査(栄養問診,身体活動問診,ストレス問診など),糖負荷検査,頸部超音波検査などをこれまで実施してきた.健診は2年ごとに当センターにて実施している.この研究成果から循環器疾患リスクとの関係を明らかにし,国民の健康維持・増進に役立てるための基礎資料を得ることを目的としている.特にメタボリックシンドローム,糖尿病を中心とした代謝性疾患をはじめ,健診各項目が循環器病との関連,また,頸部エコーなどのサブクリニカル研究と循環器病との関係をみていく.
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医学のあゆみ 224巻2号, 133-137 (2008);
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端野・壮瞥町研究は札幌医科大学第二内科により実施されている循環器疾患の病態解明を目的としたコホート研究である.本研究は開始以来30年間にわたり継続されている.毎年夏季と冬季の住民健診により情報を得,循環器疾患,高血圧進展などをアウトカムに検討している.高血圧成因として過栄養,肥満が関与し耐糖能異常が高血圧発症の危険因子であり,糖尿病発症の因子として血圧高値が抽出されている.また,これらの背景にある内蔵脂肪蓄積型肥満とインスリン抵抗性の実態を一般住民の疫学から検討すると,ブドウ糖負荷試験を指標とした場合,地域住民でのインスリン抵抗性の頻度は20%であった.また,インスリン抵抗性は一般住民での心血管疾患発症の有意なリスクであり,インスリン抵抗性の表現形であるメタボリックシンドロームも日本人の心疾患の危険因子であることが示された.以上,本研究は最近の日本人の循環器疾患の変遷とその危険因子を検討している.
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医学のあゆみ 224巻2号, 139-142 (2008);
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NIPPON DATAは“National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable DiseaseAnd its Trends in the Aged”の略称であり,1980年および1990年の循環器疾患基礎調査の生命予後および日常生活動作能(ADL)・生活の質(QOL)の追跡調査である.このプロジェクトは,調査対象者はもちろんのこと,日本中の300カ所の保健所や自治体,日本循環器管理研究協議会,厚生労働省長寿科学総合研究事業,そのほか多くの関係各位の多大な協力なしには成立しえない事業であった.このプロジェクトの始動から15年目を迎えるにあたり,NIPPON DATAを振り返り,その発端から現状,将来の展望について述べたい.
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医学のあゆみ 224巻2号, 143-146 (2008);
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福岡県久山町では1961年から,精度の高い生活習慣病の疫学調査(久山町研究)が進行中である.この疫学調査では,時代の異なる集団の追跡成績を比較し,心血管病の時代的変化やその要因を分析している.また,心血管病の予後や,高血圧や糖尿病など古典的な危険因子はもとより,メタボリックシンドローム,血漿ホモシステイン,グルタチオン,高感度C反応性蛋白など新しい危険因子と心血管病との関係を検討している.さらに,動脈硬化の危険因子である高血圧や糖尿病の発症要因についても,追跡研究のスタイルで疫学的検討がなされている.そのほか,高齢化社会において深刻な問題である認知症や,近年注目を集めている慢性腎臓病についても実態調査が行われている.一方,2002年に久山町ではじまったゲノム疫学研究では,2つの新しい脳梗塞関連遺伝子を発見するとともに,糖尿病の関連遺伝子に関する研究も進行中である.
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【癌ならびに循環器疾患等をエンドポイントとした研究】
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医学のあゆみ 224巻2号, 147-152 (2008);
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厚生労働省研究班による多目的コホート研究(JPHC研究)は,国民の健康の維持・増進に役立つエビデンスを構築し,生活習慣の改善による疾病予防の可能性を明らかにすることを目的としている.ベースライン時に40〜69歳までであった地域住民約10万人に対し,5年おきにこれまで3回の生活習慣などに関するアンケート調査を実施し,合計6万人分の血液試料と健診データを収集した.5年後調査からは約140食品をリストした半定量の食物摂取頻度調査票を導入した.ベースラインから20年の予定で,がんなどのアウトカム指標を追跡中である.両者の関連を検討し,2007年10月現在までに,妥当性研究を含む94論文が刊行され,研究対象者のみならず社会全体に対してもホームページなどにより情報公開に努めてきた.個々の成果は予防のための科学的基盤となる質の高いエビデンスのひとつを提示するが,国民に予防を実践してもらう根拠としては十分ではなく,他の研究と合わせて総合的に評価されてから予防の実践として利用される必要がある.
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医学のあゆみ 224巻2号, 153-155 (2008);
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1980年代後半より行われているJACC Studyは,全国24施設,45地区で構築されたコホートが集まり,多くの研究者が協力しあう形で進められているユニークな多施設共同コホート研究である.追跡も10年以上を数え,がんを中心に循環器疾患,全死亡などに関連する要因を検討し,数多くの論文を発表している.ここではその概要を報告する.
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医学のあゆみ 224巻2号, 157-161 (2008);
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放射線影響研究所は,原爆被爆者の健康に放射線が及ぼす影響を中心に研究を行う日米共同研究機関である.そのコホート研究の集団として,昭和25年(1950)の国勢調査時に生存していた約12万人からなる寿命調査集団と,その一部の約2万人からなる成人健康調査集団がある.放射線の被曝線量については面接調査により個人の被曝線量が推定されており,生活習慣など他の要因については郵便調査が行われてきている.エンドポイントについては寿命調査では死亡調査とがん罹患調査が,成人健康調査ではそれらに加えて2年に1回の健診時に循環器疾患の罹患調査も行っている.死亡調査の結果,放射線被曝と関連して白血病やがんの過剰発生が確認されている.また,日本人・日系人を対象としたNI-HON-SAN Studyにも参加して日米間で脳卒中や虚血性心疾患の罹患率が異なることなどを示し,環境要因の関連も明らかにしている.
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フォーラム
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医学のあゆみ 224巻2号, 163-165 (2008);
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医学のあゆみ 224巻2号, 166-168 (2008);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 224巻2号, 171-172 (2008);
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生化学・分子生物学
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医学のあゆみ 224巻2号, 172-173 (2008);
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感染症内科学
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医学のあゆみ 224巻2号, 173-174 (2008);
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連載
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ファーマコビジランスをもっと身近に 9
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医学のあゆみ 224巻2号, 175-180 (2008);
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治験から得られる有効性および安全性情報(適正使用情報)は対象患者が少ない,投与期間が短い,投与条件が限定されているなど,おのずから限界があり,市販後の使用実態下において広範な患者に使用された結果得られる適正使用情報の収集に努める必要がある.市販後調査として安全性情報の収集・評価・対応と市販後の調査や試験が実施される.国内における各種の市販後調査から得られる適正使用情報について自発報告,市販直後調査,真の評価指標を用いた薬剤疫学的な調査・試験および全例調査の事例を紹介した.治験や外国での使用経験だけでなく,市販後の使用実態下における市販後調査により,とくに日本人における安全性を確認することが重要である.