Volume 224,
Issue 4,
2008
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あゆみ 毛髪疾患の最前線—最新の概念・病態・治療
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医学のあゆみ 224巻4号, 247-247 (2008);
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医学のあゆみ 224巻4号, 249-253 (2008);
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毛包幹細胞や色素細胞幹細胞は,幹細胞ニッチである毛包膨大部(bulge area)に存在する.近年,幹細胞の位置を考えに入れた毛周期仮説(bulge activation theory)が提唱された.その骨子は,幹細胞は毛乳頭との相互作用でまず毛母細胞をつくり,その細胞が成長期間中分裂し続ける,というものである.いずれにせよ,毛包脂腺系の幹細胞はbulge areaにあり,同部の障害はニッチ障害,幹細胞消失となり,永久脱毛や白髪をもたらす.幹細胞は障害されず毛母細胞が障害される円形脱毛症や薬物性脱毛などは,適切治療で毛髪が再生するわけである.逆に永久脱毛治療の場合はbulge area破壊が必須となるし,各種脱毛症や脱色素性疾患に対する光線治療でも,病変の深さと紫外線種の深達度を考えあわせる必要がある.毛包・毛髪疾患治療を考える場合,毛包の構造・機能と病因主座との関係を把握しないと落とし穴に落ちる可能性がある.
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医学のあゆみ 224巻4号, 255-258 (2008);
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疫学や病理病態,あるいはマウス疾患モデルなどの解析により,円形脱毛症(AA)は多因子遺伝性疾患と考えられている.そのため患者集団や多発家系を用いて候補遺伝子の相関解析や連鎖解析が行われている.相関解析の結果ではHLA—DQB1*03,HLA class分子,HLA—DQA1,DQB1が,さらにMICA,IL—1 receptorantagonist,MIF,Notch4が候補遺伝子として報告されている.患者家系を用いたゲノムワイドな連鎖解析ではch6p(HLA遺伝子座),ch6q,ch10,ch16,ch18に連鎖が認められ,AAモデルマウス(C3H/HeJ)の連鎖解析ではマウスch8,ch9,ch15,ch17に連鎖がみられた.今後,異なる人種や集団による解析が進展し,疾患感受性遺伝子の同定がなされると期待される.
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医学のあゆみ 224巻4号, 259-263 (2008);
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円形脱毛症の発症機序はおそらく簡単ではない.現在のところ臓器特異的な自己免疫反応を基礎とした病態が有力であるが,すべての病気・病型において同様の病態とも思えない.急性期の円形脱毛症は成長期毛包の免疫的に寛容な環境(immune privilege)の破綻が毛包の何らかの自己抗原を露呈させ,自己反応性Tリンパ球を中心とした自己免疫的機序で発症すると考えられる.しかし,最初のきっかけがストレスなのかウイルス感染なのか不明である.円形脱毛症モデル動物による近年の基礎的研究によって,サイトカイン,液性免疫,アポトーシス,神経蛋白などに関連した病態が報告されている.ここでは現在までにわかっている円形脱毛症の病態や発症機序について解説していく.
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医学のあゆみ 224巻4号, 265-268 (2008);
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円形脱毛症は,数ある皮膚疾患の中で治療に難渋するもののひとつである.毛包組織を自己抗原とした自己免疫反応が病態の主体であると思われるものの,未だ明らかではないことが多く,また症状の改善と悪化の差がはっきりしており患者の満足度が得にくい疾患であるからだ.本稿ではわが国の治療の現状と他国との比較,各治療の有効性や作用機序,治療の工夫をあげた.現在ある程度のエビデンスのある治療法としては,免疫修飾作用のあるステロイド,局所免疫療法が中心となる.また紫外線療法も選択肢のひとつである.脱毛のタイプや治療への抵抗性により,それぞれの治療法を組み合わせたり使用方法を変更したりすることで治療効果をあげることが可能であるが,中止減量によって再発を免れない症例も多く,自己免疫疾患としてやむを得ない部分もある.致死的な疾患ではないが,患者が社会生活をするうえで障害となるケースが多く,安全で効果的な治療法が望まれる.
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医学のあゆみ 224巻4号, 269-272 (2008);
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瘢痕性脱毛症には外傷・手術後の瘢痕などによる続発性瘢痕性脱毛症と,原因不明で不可逆性の脱毛をきたす原発性瘢痕性脱毛症がある.病変は基本的に限局性で,毛孔が消失して瘢痕様となる.組織学的には,リンパ球浸潤性の毛孔性 @平苔癬,皮膚エリテマトーデス,萎縮性脱毛症などと,好中球浸潤性の禿髪性毛包炎,解離性蜂巣炎などに分類される.最終的に幹細胞が存在する上部毛包が破壊されて線維性組織に置換される.毛髪疾患の3%前後と比較的まれな疾患で,他の脱毛症と誤診されやすい.放置すれば永久脱毛斑が拡大するので,皮膚生検により診断を確定した後に,ステロイドの内服,注射などにより迅速に治療することが重要である.
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医学のあゆみ 224巻4号, 273-275 (2008);
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男性型脱毛症は多因子遺伝様式の疾患と考えられるが,近年アンドロゲン受容体の遺伝子多型との相関が報告されている.また,男性型脱毛症の発症機序については,アンドロゲンの感受性調節機構として型5α—還元酵素の部位特異的な発現,アンドロゲンレセプター,Hic—5/ARA55の部位特異的な発現量の調節が関与している.ポストレセプターでは,アンドロゲンによって発現が増強するTGF—β1,2,DKK—1が関与していると推測される.
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医学のあゆみ 224巻4号, 277-280 (2008);
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近年の育毛剤開発は毛周期の進行にかかわるシグナル伝達分子をターゲットにしており,代表的外用育毛剤であるミノキシジル(リアップ)は血管拡張作用以外に毛乳頭細胞よりの細胞増殖因子産生を促進することで効果を発揮する.男性型脱毛症の内服治療薬であるフィナステリド(プロペシア)は型の5α—リダクターゼを特異的に阻害することで男性型脱毛に対して治療効果を示す.しかし,これらの治療法は中等症までが適応であり,より進行した例では毛包単位移植が行われている.さらに,自身の毛包細胞を用いた細胞治療も夢ではなくなってきている.
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医学のあゆみ 224巻4号, 281-284 (2008);
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円形脱毛症にはいろいろな臨床型がある.そのなかで,突然ばさばさと髪の毛がびまん性に抜けて数カ月で全頭脱毛に至るが,その後まもなく毛が生えはじめ,約半年ほどでショートヘア状態まで治癒するのが,本稿のacute diffuse and total alopecia of the female scalp(ADTAFS)型である.円形脱毛症の他の病型では,抜ける範囲が広いと罹病期間も年単位で長くなる一般的傾向がみられるが,このADTAFS型は全頭脱毛に至るのに,短期間で治癒するという,予後良好な一群である.この特徴的な臨床経過に加えて,組織中に好酸球が増加する傾向もみられる.女性に多い.
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フォーラム
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切手・医学史をちこち 73
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医学のあゆみ 224巻4号, 287-287 (2008);
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逆システム学の窓 11
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医学のあゆみ 224巻4号, 288-290 (2008);
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医学のあゆみ 224巻4号, 291-292 (2008);
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医学のあゆみ 224巻4号, 293-295 (2008);
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連載
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ファーマコビジランスをもっと身近に 11
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医学のあゆみ 224巻4号, 305-308 (2008);
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医薬品の安全性情報は市販後に収集されることが多いが,副作用報告に代表される安全性情報の質は高くない.情報の質はエビデンスレベルに基づいて判断される.フォローアップ率の高いコホート研究を行えば質の高い安全性情報を得られるし,GCPに準拠した製造販売後臨床試験では詳細な有害事象の捕捉が可能となる.治験,製造販売後臨床試験,製造販売後調査,医師主導臨床試験における適応法規・指針,同意の様式,エビデンスレベル,検査範囲などには差異がある.コホート内症例対照研究などによる麦角系D2受容体刺激薬による心臓弁膜症や,ゲフィチニブによる急性肺障害・間質性肺炎のリスクなどが検出されるようになった.副作用情報の質の向上が期待される.
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 224巻4号, 299-300 (2008);
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医学のあゆみ 224巻4号, 300-301 (2008);
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循環器内科学
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医学のあゆみ 224巻4号, 301-303 (2008);
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神経内科学
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医学のあゆみ 224巻4号, 303-304 (2008);
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