Volume 228,
Issue 2,
2009
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あゆみ 色素性乾皮症
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医学のあゆみ 228巻2号, 121-121 (2009);
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医学のあゆみ 228巻2号, 123-127 (2009);
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色素性乾皮症(XP)は光線過敏症状と日光露出部に皮膚癌を高率に発生する遺伝疾患である.8つの相補性群があるが,各相補性群の臨床症状にかなり差があるので,臨床症状,MED測定と合わせて不定期DNA合成能で診断を行ってきたが,最近はXPの遺伝子診断が先進医療として行われている.しかし,症状が完成しない幼小児期に確定診断を下すことは難しいため,診断がはっきりするまでは遮光するよう教育し,症状がはっきりし,患者の社会性も増す就学ごろまでには相補性群の決定,今後のフォローアップの方針,生活指導などを決定するように心がけたい.XPと診断した場合は何群であっても,口唇・目の光防御も含めて遮光を完璧に行うように指導する.色の濃いサングラスは散瞳をひきおこすため逆効果のことがある.
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医学のあゆみ 228巻2号, 128-132 (2009);
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著者は10年前より分子細胞生物学的手技を駆使して色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum:XP),コケイン症候群(Cockayne syndrome:CS)の確定診断システムを構築・維持してきた.従来からのXP・CS確定診断法である細胞融合を利用した相補性試験は,検査の迅速性,簡便性,一度に取り扱える検体数という面ではかならずしも優れた方法ではなかった.近年,XP・CSの診断確定のための検査法として,プラスミド宿主細胞回復能を指標にしたXP・CS相補性試験が一般的に行われるようになってきている.レポーター遺伝子として紫外線照射したルシフェラーゼ遺伝子の発現ベクターを使用し,XPあるいはCSが疑われる患者細胞内で人工的にDNA修復をさせる.その能力がXPあるいはCS各群の発現遺伝子の導入により上昇(相補)するかどうかを判定すればXP,CS相補性群の確定が可能となる.本法は簡易,迅速かつ感度の高い検査法であり,現在ではXP,CSの診断法に関しては国際的スタンダードになっている.ただ,宿主細胞回復能の低下が軽度あるいはみられないXPE群,XPバリアントは同法では診断不可能であり,蛋白解析,遺伝子解析が必要となる.
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医学のあゆみ 228巻2号, 133-136 (2009);
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ヒトを含めたすべての生物はDNA損傷を修復して遺伝情報を安定に維持するために,多様なDNA修復機構をもち,DNA修復機構の破綻はさまざまな疾患の原因となることが知られている.そのなかでもヌクレオチド除去修復機構(NER)の異常が原因となり発症する疾患として,劣性遺伝性疾患である色素性乾皮症(XP),Cockayne症候群(CS),CSの重症型と考えられるCOFS症候群(COFSS),硫黄欠乏性毛髪発育異常症(TTD),および紫外線高感受性症候群(UVsS)が知られる.また一部のXPでは,CS症状を併発するXP/CSが知られている.これらの疾患が単純にNER異常によって引き起こされているのか,またはそれらの原因遺伝子産物の一部が転写因子を構成することなどから,転写異常によって引き起こされているのかどうかといった議論がなされているが,詳細は不明である.これらの発症機構に関する最近の報告について紹介する.
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医学のあゆみ 228巻2号, 137-142 (2009);
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ヌクレオチド除去修復(NER)は,紫外線や化学物質などによって生じるさまざまな塩基損傷を除去することができる主要なDNA修復経路のひとつである.多くの色素性乾皮症(XP)患者においては,NERの遺伝的欠損による紫外線損傷の修復異常が皮膚癌の原因となる.NER反応全体の鍵となる損傷認識段階は,XP責任遺伝子産物XPC,XPE(DDB2)などを含む複数の蛋白質因子によって担われており,これらが協調的に関与する多段階のメカニズムが,長大なゲノムDNAに発生した損傷を効率よく,かつ確実にみつけだすために重要な役割を果たしている.
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医学のあゆみ 228巻2号, 143-146 (2009);
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色素性乾皮症(XP)患者では,ヌクレオチド除去修復(NER)の障害により日光過敏症や皮膚癌などの皮膚症状がみられる.XPは遺伝的相補性からNER欠損を伴うA〜G群と,NER自体は正常であるバリアント群(XPV)の8つに分類され,日本ではA群(XPA)とXPVが多いといわれる.A・B・D・G群では皮膚症状に加えて神経症状がみられ,なかでも日本のXP患者の約55%を占めるXPAでの神経障害は進行性かつ重篤である.末梢神経・聴神経の障害にはじまり,進行性の知的・運動障害など多彩な神経症状が出現し,生涯にわたる療養が必要となる.日本のXPA患者の80%前後を占めるXPA蛋白遺伝子イントロン3のスプライス異常ホモ接合体の患者では,20歳前後で寝たきりになることが多い.一方,前記異常に別部位の遺伝子変異が組み合わさったヘテロ接合体の患者では寝たきりになるのが30歳前後に遅れる.生存年齢の延長に伴い,発作性の呼吸障害が問題となっている.神経症状は厳重な遮光を行っても年齢とともに進行する.転写鎖修復機構の遺伝的異常により生じるCockayne症候群(CS)においても,皮膚症状に加えて知的障害,小脳失調,難聴,脳内石灰化など多彩な神経症状が出現する.著者らは,XP患者での頭部MRI定量解析や電気生理学的検査,XP・CS患者剖検脳での神経病理学的解析を通じて,神経変性での酸化ストレスの関与,モノアミン神経の選択的障害などを明らかにしてきた.XPの神経症状1)ならびにXP・CSでの神経病理2)に関するレビューは報告ずみであり,本稿では,その後の研究により得られた成果と治療的試みについて述べることとする.
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医学のあゆみ 228巻2号, 147-153 (2009);
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色素性乾皮症(XP)では,中枢神経障害と末梢神経障害とが混在する進行性まひにより多彩な精神身体症状がみられる.運動器においては病期により異なったまひ性変形・拘縮と動作障害が出現・進行する.発達途上にある乳幼児期には運動発達障害を軽減すべく正常運動発達を促通させることがその後の運動機能の退行時期を遅らせる効果がある.また,学童期に出現する足部変形は歩行障害を引き起こすが,変形矯正手術後の介助歩行可能期間の延長に効果があると推測される.病期の後半には痙性まひ症状が前面に出てくることも多く,鋏足肢位,股関節内転筋,膝屈筋群の拘縮,内反尖足などがあらたに出現する.この時期には運動機能のみならず内臓機能をも考慮したconditioning的なリハビリテーションが必要であり,同時に座位保持装置なども有効に利用する.終末期には栄養補給,心肺機能,感染症治療などを含む全身管理が要求される.
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【ayumiトピックス】
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医学のあゆみ 228巻2号, 155-156 (2009);
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医学のあゆみ 228巻2号, 157-158 (2009);
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医学のあゆみ 228巻2号, 159-161 (2009);
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医学のあゆみ 228巻2号, 162-163 (2009);
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新春座談会
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医学のあゆみ 228巻2号, 165-176 (2009);
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フォーラム
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医療関連死問題をかんがえる14
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医学のあゆみ 228巻2号, 177-180 (2009);
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TOPICS
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免疫学
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医学のあゆみ 228巻2号, 185-186 (2009);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 228巻2号, 186-187 (2009);
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一般外科学
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医学のあゆみ 228巻2号, 187-189 (2009);
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連載
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医師のための臨床統計学5
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医学のあゆみ 228巻2号, 190-195 (2009);
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完璧な研究は存在せず,よりよい研究をめざすために研究方法論の理解は必須である.研究により生みだされるエビデンスはclarity(精密さ),comparability(比較可能性),そしてgeneralizability(一般化可能性)の3基軸から評価される.