Volume 228,
Issue 9,
2009
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あゆみ 自己免疫性肝胆膵疾患−最新知見
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医学のあゆみ 228巻9号, 873-873 (2009);
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医学のあゆみ 228巻9号, 875-878 (2009);
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自己免疫性肝炎(AIH)は,抗核抗体などの自己抗体陽性,γ グロブリン高値,他の自己免疫疾患の合併,ステロイド治療に対する反応性などから,病因として自己免疫機序の関与が考えられている.一般に,自己の体成分に対しては本来免疫学的寛容が成立しているが,この寛容状態が破綻すると自己免疫性疾患を発症する.AIHについてはその標的抗原や発症機序は十分に解明されていないが,特定の遺伝因子をもつ個体(遺伝要因)に何らかの契機(環境要因)が加わると発症すると考えられる.近年,HLAやさまざまなSNP解析による研究から,自己免疫疾患の遺伝要因についても徐々に明らかになってきた.また,免疫学の研究の進歩により免疫寛容の成立・維持とその破綻機構についても詳細に解明されてきている.本稿では,おもにAIH発症にかかわる遺伝および環境因子,免疫学的機序を中心に述べる.
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医学のあゆみ 228巻9号, 879-883 (2009);
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自己免疫性肝炎(AIH)は中年女性に多発する慢性肝疾患で,自らの肝細胞に対する自己免疫反応により発症・進展する.早期に的確に診断し適切な治療を行えば予後はよいが,放置すると肝硬変に至ることが多く注意を要する.診断には国際AIHグループが作成したスコアリングシステムが参考にされることが多いが,近年,同グループにより簡易版のスコアリングシステムが作成され,より使用しやすくなった.また,原発性胆汁性肝硬変症やNASHとの鑑別も重要である.診断確定後は速やかに副腎皮質ステロイド剤を用いた寛解導入療法を開始すべきで,ステロイド漸減後も維持治療を行うことが望ましい.治療中や治療中断後に高頻度に生じる再燃,治療による副作用発現が臨床的な問題であり,状況に応じた適切な対処が必要である.
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医学のあゆみ 228巻9号, 885-888 (2009);
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)では,ほぼ疾患特異的に抗ミトコンドリア抗体が出現することから,獲得免疫からの病因病態の解明が進められてきた.しかし,この抗体の出現は胆管細胞がアポトーシスを起こすことによる二次的な反応の可能性が示唆されている.胆管細胞の解析からは,PBCは胆管細胞自体の変化が原因として起こる疾患ではなく,慢性非化膿性破壊性胆管炎を起こす環境やその場に存在する攻撃細胞が病因である可能性がある.また,工業製品に含まれる化学物質による自己抗原の修飾が発症の誘因として考えられるようになってきた.今後は,なぜPBCで胆管細胞が傷害されるのかについて,自然免疫を中心に解析し,同時に獲得免疫へと繋がる架け橋の役割を果たしている細胞群はなにかを特定していく必要がある.
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医学のあゆみ 228巻9号, 889-894 (2009);
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原発性胆汁性肝硬変(PBC)は肝内小葉間胆管を標的とした臓器特異的自己免疫性疾患と考えられているが,生涯ほとんど進行しない症例から,進行して肝移植が必要となる症例まで,種々な重症度の症例が存在する.これまでに,Mayo risk scoreなどの短期予後診断に有用な指標は知られていたが,発症早期において長期予後診断に有用な血清や遺伝子バイオマーカーは知られていなかった.最近,著者らのコホート研究(国立病院機構肝疾患共同研究グループ:NHOSLJ)やイタリア,アメリカ,フランスのコホート研究から,PBCの長期予後診断に有用な自己抗体や遺伝子多型が明らかとなりつつある.これらのPBC進行に関与するバイオマーカーの同定は,病態解明だけではなくPBC治療の分子標的の同定につながる可能性がある.本稿では,PBCの長期予後を規定する分子同定の現状を著者らのデータを中心に紹介し,新しい治療法選択への応用の可能性について述べる.
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医学のあゆみ 228巻9号, 895-899 (2009);
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原発性硬化性胆管炎(PSC)は,肝内外の胆道の線維性狭窄を生じる進行性疾患である.わが国のPSC症例の年齢分布には2つのピークがみられ,若年者には欧米の症例と同様,炎症性腸疾患(IBD)の合併が多い.自己免疫性膵炎(AIP)に合併した硬化性胆管炎はPSCとは別の範疇の疾患として扱われる.診断には帯状狭窄や数珠状変化などの,PSCに特異的な胆管像がもっとも重要であり,肝内外の胆管に病変がみられることが多い.黄疸,そう痒感やALP値上昇がみられることが多いが,必発ではない.内服治療や内視鏡的治療が行われるが効果の不十分な場合が多く,最終的には肝移植が行われるケースが多い.
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医学のあゆみ 228巻9号, 900-905 (2009);
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自己免疫性膵炎は高齢男性に多く,病理組織学的に,著明なリンパ球・形質細胞浸潤,IgG4陽性形質細胞の浸潤,花冠状線維化(storiform fibrosis),閉塞性静脈炎を特徴とするlymphoplasmacytic sclerosing pancreatitis(LPSP)を呈するものに相当する.原因や発症機序は不明であるが,疾患感受性ハプロタイプ,高γ グロブリン血症,多様な自己抗体,動物モデルの解析などにより,免疫遺伝学的因子を背景に,膵や膵外病変でみられる臓器における共通抗原に対する自己免疫的機
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フォーラム
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切手・医学史をちこち86
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医学のあゆみ 228巻9号, 909-909 (2009);
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逆システム学の窓22
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医学のあゆみ 228巻9号, 911-913 (2009);
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大腸癌や肝臓癌の手術と比べて,胃癌手術後の“生活の質”の低下は,食事の困難など著しい.一般の国民だけでなく,手術室に入らない医師にもほとんど理解されていないことは,胃癌手術の大半の時間はリンパ節廓清にかかっており,リンパ節を取り除くために手術範囲や神経の切断領域も広がっていることである.こうして廓清しても3割以上は再発する.がん手術全体において,拡大手術や過度のリンパ節廓清に対する再度の評価と,新たな治療技術のイノベーションが求められつつある.胃癌手術におけるリンパ節廓清にも,イメージング技術などで転移を正確に評価し,抗体療法,放射線療法,化学療法などを用い過大な切除をやめていく思い切った技術開発が求められている.
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医学のあゆみ 228巻9号, 915-916 (2009);
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医学のあゆみ 228巻9号, 917-920 (2009);
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TOPICS
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麻酔科学
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医学のあゆみ 228巻9号, 925-926 (2009);
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腎臓内科学
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医学のあゆみ 228巻9号, 926-928 (2009);
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形成外科学
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医学のあゆみ 228巻9号, 928-929 (2009);
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連載
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医師のための臨床統計学10
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医学のあゆみ 228巻9号, 930-940 (2009);
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統計とはデータを要約し,一部を捨て去る作業である.捨て去る部分に重要な情報が隠れていないか,要約の前提を探索的に検討することが,適切な要約には必要となる.そのためには頑健な要約統計量と図的表示の活用が有効である.医学データで正規分布に厳密に従うものはほとんどないといってよい.通常の統計手法を適用してよいか,判断のために歪みb 1や尖りb 2といった分布の形の指標が利用できる.必要に応じて対数変換などの変数変換も行われる.
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速報
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医学のあゆみ 228巻9号, 941-942 (2009);
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今回の検討に先立って行った後ろ向き研究において,高カロリー輸液(以下,TPN)が平均230日施行された20例中10例で,ネフローゼ症候群(以下,NS)が発症したという結果を得た.そこで前向き研究ではこの現象を確認するとともに,何が原因であるかを探ろうと考えた.