医学のあゆみ

Volume 229, Issue 1, 2009
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【4月第1土曜特集】ウイルス性肝炎 ─ 最新治療コンセンサス
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- B型肝炎
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B型肝炎 基礎研究と臨床の接点
229巻1号(2009);View Description
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B型肝炎は世界的健康問題のひとつであり,全世界で4億2千万人の患者がいると推定されている.基礎から臨床にわたりさまざまな研究がなされてきたが,ウイルス感染から肝細胞癌へと至るメカニズムは不明のままである.近年,基礎研究の面での技術革新の結果,これまで不可能であった小型動物での感染実験が可能となり,より自然に近い形で肝炎ウイルスの生活環と肝に与える影響を検討できるようになってきた.それによりB型肝炎ウイルス(HBV)の遺伝子型の違いや生体肝移植後のような免疫抑制下での肝炎に類似した病態モデルが作製され,臨床像に即した検討が可能となってきた.また,in vitroでのいくつかの研究結果がこの感染モデルで再現されることがわかってきており,in vitroからin vivoにわたる基礎研究の基盤が整いつつある.In vitroでの有用な感染モデルの確立が待たれるところであるが,この一連のモデルの元で病態を検討することでB型肝炎のより詳細な機序が明らかとなることが期待できる. -
In vitro ,in vivo におけるHBVの薬剤感受性評価と臨床への応用―ヒト肝細胞キメラマウスを用いた基礎研究とその応用
229巻1号(2009);View Description
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近年,B型慢性肝炎の治療はB型肝炎ウイルス(HBV)の逆転写酵素阻害剤である核酸アナログ製剤の登場により飛躍的に進歩した.しかし,生体内からのHBVの完全排除は不可能であり,核酸アナログ療法をはじめると治療を生涯続ける必要がある.長期的な治療に伴い,HBVに遺伝子変異を生じ,薬剤に対する耐性を獲得することで,肝炎の再燃がしばしば生じることとなる.一方,HBVに関する基礎研究もマウスの肝が高度にヒト肝細胞に置換されたヒト肝細胞キメラマウスの開発によりマウスへのHBV感染系が確立された.このマウスモデルはHBVの持続感染が可能であり,薬剤の感受性評価系としても優れていることから,より臨床に即した研究が求められている.本稿では,薬剤耐性ウイルスに対するあらたな治療法の確立を目的とした培養細胞,ヒト肝細胞キメラマウスを用いた基礎的研究とその臨床への応用について紹介する. -
核酸アナログ時代におけるインターフェロン(IFN)治療の適応と限界
229巻1号(2009);View Description
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B型肝炎治療は多くの核酸アナログ製剤の登場により,過去10年間で激変したといっても過言ではない.B型肝炎の抗ウイルス剤は日本では1998 2000年の12年間インターフェロン(IFN)のみであり,その治療効果はHBe抗体へのセロコンバージョン(SC)率でみると約30%と低い成績にとどまっており,かならずしも満足のいくものではなかった.しかし,過去10年間につぎつぎと核酸アナログ製剤(lamivudine,adefovir,entecavirなど)が開発され,強力な抗ウイルス作用と変異株出現率の低さを合わせもち,かつ副作用の少ない核酸アナログは,短期的な抗ウイルス作用ではIFN治療を上まわるものがあった.副作用の多いかつ高価なIFN治療の適応となる症例は少なくなっていっているのもやむをえない.しかし,長期投与とそれにまつわる変異株出現のことを考えた場合,IFN治療が奏効しそうな症例 すなわちgenotype A or Bで,ウイルス量が少なく,合併症がなく組織学的にもそれほど進行していない若年者 は治療のよい適応といえよう.さらに,HBe抗原陰性例ではさらにIFN治療のHBs抗原消失増加という長期的成績も考慮する必要があろう.B型慢性肝炎の抗ウイルス剤の開発はめざましいものがあり,今後も新しい抗ウイルス剤の登場するたびにさらに知見は増え続け,治療のガイドラインも刷新されつづけることを念頭におく必要がある. -
ラミブジン長期投与の実態―継続か vs. 中止か
229巻1号(2009);View Description
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2006年に,ラミブジンより強力な抗ウイルス作用をもち耐性ウイルスの出現が少ないエンテカビルが保険承認されると,これまでに核酸アナログの使用経験のない,いわゆるnaive caseではエンテカビルの使用が推奨され,ラミブジンは第一選択の薬剤からは外れた.一方,ラミブジン耐性ウイルスに対してエンテカビルを使用すると,ラミブジン,エンテカビルの両者に耐性をもつウイルスが出現することから,ラミブジン耐性患者にはラミブジンとアデホビルの併用投与をすることが勧められている.エンテカビル承認までにラミブジンが投与されていた患者においてはまだ多くの例でラミブジン投与が継続されているが,こうした例の治療方針に対する明確なエビデンスは存在しない.本稿では,現在ある,耐性ウイルスに対する知見を傍証として,ラミブジン継続使用例での治療方針を考察する. -
B型慢性肝炎に対するエンテカビルの長期治療成績と耐性変異ウイルスの出現率に関する最新の知見
229巻1号(2009);View Description
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B型肝炎ウイルスの複製を阻害する核酸アナログ製剤は,確実な抗ウイルス効果を示す一方,薬剤耐性化が最大の問題となる.2006年に市販されたエンテカビルは強い抗ウイルス効果と耐性率の低さから現在,第一選択の核酸アナログに位置づけられている.海外・国内臨床試験によるエンテカビルの長期効果と長期耐性化率が明らかにされつつある.核酸アナログ投与歴のない症例では,エンテカビルは長期間,高率に血中HBVDNA陰性化とALT正常化を維持し,耐性化率は著明に低かった(海外試験で5年後1.2%,国内試験では3年後3.3%).一方,ラミブジン耐性例ではHBV DNA陰性化率はやや低く,エンテカビル耐性化率は3年36%,5年51%と高値であった.エンテカビルは核酸アナログ未治療例に核酸アナログ療法が必要な場合に第一選択薬として推奨され,一方,ラミブジン耐性例に対する投与は避けるべきと考えられる. -
核酸アナログ耐性の分子メカニズム
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わが国でB型肝炎に認可されている核酸アナログ製剤はラミブジン(商品名:ゼフィックス),アデフォビル(商品名:ヘプセラ),エンテカビル(商品名:バラクルード)の3剤である.B型肝炎ウイルスは二本鎖DNAウイルスであるが,複製に逆転写過程を有し,ポリメラーゼに校正機能がないため変異を生じやすい.また,肝細胞の核に存在するcovalently closed circular DNAがウイルス複製の鋳型になるため,完全に排除することは難しい.核酸アナログ製剤は通常,長期に服用することでウイルス増殖を抑え,肝炎の鎮静化をはかるのが目的であるが,長期投与によりポリメラーゼ遺伝子の逆転写酵素(rt)をコードする領域に特定の遺伝子変異を生じ薬剤耐性ウイルスが出現する.ラミブジンは,rtM204V/IとrtL180M,アデフォビルはrtN236T,rtI233V,rtA181V,エンテカビルはrtM204V,rtL180Mに加えてrtM250V,rtI169TかrtT184G,rtS202Iの変異が薬剤耐性に関与している.これらのアミノ酸変異によりポリメラーゼ遺伝子の構造が変化し,核酸アナログ製剤が基質として取り込まれにくくなることで耐性が生じる.耐性が生じた場合には交差耐性のない薬剤を追加するのが原則である. -
B型肝炎再活性化とその対策
229巻1号(2009);View Description
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免疫抑制薬や化学療法薬を使用中または使用後にB型肝炎ウイルス(HBV)の再増殖が起こり,肝炎が再活性化する事例が増えている.この再活性化は大きく,1非活動性キャリアからの再活性化と,2既往感染者からの再活性化に分けられる.前者は核酸アナログ薬の予防投与が有効であることが知られている.後者はdenovo B型肝炎ともよばれ,近年その報告が増えている.De novo B型肝炎はキャリアではないヒトが発症するため,診断が遅れる傾向にある.また劇症化率が高く,何らかの対策が必要である.新しく作成されたガイドラインでは,免疫抑制・化学療法終了後,血中HBV DNAをすくなくとも12カ月間,毎月測定し,HBVの再増殖がみられた時点で核酸アナログ薬を投与する方法を推奨している.また,核酸アナログ薬の予防投与が優れているとする報告もみられる.De novo B型肝炎の対策は今後さらなる検討が必要である. -
肝細胞癌根治後の再発におけるHBV DNA量の影響,再発予防に対する抗ウイルス薬の関与
229巻1号(2009);View Description
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肝細胞癌は根治後も高頻度に再発をきたし,肝切除,ラジオ波焼灼療法(RFA)といった治療法にかかわらず,5年後の再発率は70~80%にものぼると考えられている1).そのため再発予測と再発抑制は肝癌診療にとって重要な課題である.近年,B型慢性肝疾患においてHBV DNA量が肝細胞癌発症の危険因子であることが報告されており,本稿では肝細胞癌の再発におけるHBV DNA量,抗ウイルス薬の関与について概説する. - C型肝炎
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C型肝炎ウイルスの基礎研究と臨床の接点
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C型肝炎ウイルス(HCV)は発見されて今年(2009)で20年目である.おもな感染源と考えられる輸血用血液や血液製剤はスクリーニングされ,新規感染は激減したが,世界には1億7千万人のHCVキャリアが存在するといわれている.HCVの基礎研究によりウイルス学的な解析が進んできた.また,当初は非常に有効率が低かった治療法も改善され,HCV感染症は治癒できる病気となりつつある. -
C型肝炎ウイルス変異に基づく治療戦略
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C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療は,ペグインターフェロン+リバビリン併用療法の登場により格段に進歩した.しかし,難治とされる1b型かつ高ウイルス量症例のSVR率は50%に満たない.この治療効果を規定する因子として重要なものは遺伝子型をはじめとしたウイルス側要因であり,とくにインターフェロン感受性領域(ISDR)やコア70番のアミノ酸変異が重要である.現時点ではISDRのアミノ酸変異数が2個以上であればペグインターフェロン+リバビリン併用療法48週間で治癒可能であり,0または1個変異ではコア70番アミノ酸がRの場合に治癒可能であり,R以外の変異型の場合はreal time PCR法で36週までにウイルス陰性化した場合のみが72週間の併用療法延長でウイルス排除が可能となる.したがって,これ以外の場合は肝癌抑止のためのインターフェロン少量長期または肝庇療法により,将来使用可能となるtelaprevirを含むプロテアーゼ阻害剤を待つべきである. -
ALT正常HCVキャリアの治療適応を考える
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ALT(alanine aminotransferase)正常(基準値内)のC型肝炎ウイルス(HCV)キャリアの自然経過,治療適応,治療成績について述べる.ALTは肝細胞障害時に血中に遊出してくる逸脱酵素のため,ワンポイントのみの判断は危険で,経過を考慮して判断する必要がある.著者らの提唱する“積分平均値”で評価すると,肝発癌と密接な関係があり,ALTが基準値内(40 IU/l以下)であっても,ALTが20 IU/lを超えかつ血小板が15万/m3未満の症例は他の群に比べて有意に肝発癌が高率であり,条件が整えば抗ウイルス療法の適応と考えられた.一方,現在の標準的治療であるペグインターフェロン(PEG IFN)+リバビリン療法は,ALTが正常であっても異常であっても著効率に変わりはなかった.一方,治療によって“寝た子を起こす”状態になることも少なかった.日本ではC型肝炎患者の高齢化が進んでおり,異常値を示すまで待って治療機会を逸しないよう注意して,治療開始時期を判断する必要がある. -
高齢者C型肝炎に対するペグインターフェロン・リバビリン併用療法
229巻1号(2009);View Description
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高齢者C型肝炎においてウイルスが排除されると,予後は著明に改善する.ペグインターフェロン(Peg IFN)α2b/リバビリン併用療法を施行したgenotype 1型高ウイルス量例のSVR率は,60歳未満53%,60 64歳47%,65歳以上36%と,高齢者になるに従って低率となった.しかし,高齢者においてもEVRが得られた症例では,非高齢者と同様のSVR率が得られた.EVR率を上げるためには,治療開始12週まではPeg IFN投与量は1.2μg/kg/week以上が望ましい.さらに,48週全体のリバビリン投与量は治療後の再燃に用量依存性に関連するため,リバビリンをいったん減量した症例でも貧血進行に注意しながら,可能であればリバビリン再増量を考慮する必要がある.また,LVR例には72週長期投与が有用である.一方,genotype1型高ウイルス量以外の症例については高齢者でも約80%の良好なSVR率が得られ,Peg IFN/リバビリン併用療法のよい適応である. -
ペグインターフェロン・リバビリン併用療法の難治要因―難治要因における宿主自然免疫の関与も含めて
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Genotype 1b型かつ高ウイルス症例のいわゆる難治性C型慢性肝炎に対してペグインターフェロン(PEGIFN)・リバビリン併用療法が導入され,約50%の症例でウイルス駆除が得られるようになった.しかし,約20%は不応性で治療抵抗性である.この治療抵抗性に関与する難治要因には,1高齢,2女性,3架橋形成を伴う高度線維化,4 ISDR野生型,5 HCVコア変異型などの宿主因子およびウイルス学的因子があげられる.一方,C型肝炎ウイルスの排除に重要と考えられている宿主の自然免疫機構の遺伝子発現もPEG IFN・リバビリン併用療法の治療効果に密接に関与していることが明らかとなった.今後はこれらの難治要因を個々の症例において検討し的確な治療効果予測を行い,これに対してより有効な対策を講じることで治療成績の向上をはかる必要がある. -
酸化ストレスの抑制はC型肝炎の肝発癌を抑制しうるか?
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C型慢性肝炎の治癒はC型肝炎ウイルス(HCV)の排除であるが,現在の標準的治療でも約半数の症例ではウイルス排除が困難である.そこで,ウイルスが排除できなくてもC型肝炎の高率な肝発癌を抑制する治療の確立も重要となる.C型肝炎の肝発癌機構はいまだ全貌が明らかにされたわけではないが,すくなくとも酸化ストレスが深く関与していることがこれまでの研究から明らかにされている.本稿ではC型肝炎における酸化ストレス亢進の機序を概説するとともに,ウイルス排除によらないC型肝炎からの肝発癌抑制効果を示した治療のなかで,酸化ストレスを軽減することで肝発癌を抑制した研究に焦点をあて,酸化ストレスを軽減することでC型肝炎の肝発癌を抑制しうるかどうかについて考察する. -
データマイニングを用いた治療効果予測
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データマイニングとは,過去のデータを分析し,そのなかから有効な規則性を発見して重要な意思決定支援を促進する先進的情報解析システムで,金融ビジネス流通分野において広く導入されている手法である.C型慢性肝炎に対するPegIFNとリバビリン併用療法の治療効果予測にデータマイニング手法を用いた. -
新規治療の現状:プロテアーゼ阻害剤
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現在のペグインターフェロン(PEG IFN)とリバビリン(RBV)の48週間併用療法においても,genotype 1型,高ウイルス量患者では約半数の患者でSVRに至らずウイルスの排除に失敗している.とくに50 60歳以上の高齢女性ではSVR率が低く,あらたな治療法の出現が期待されている.現在進んでいるあらたな治療薬の臨床試験のなかでも,プロテアーゼ阻害剤の治療成績について述べた.プロテアーゼ阻害剤のなかではtelaprevirの臨床試験がもっとも進行している.欧米のデータでは,過去にIFN治療を施行されていない症例でのtelaprevir,PEG IFNα2aとRBVの三者併用療法12週間投与とその後のPEG IFNα2aとRBVの二者併用療法12週間投与のSVR率は68%と報告されている.このようにプロテアーゼ阻害剤にPEG IFNまたはPEG IFNとRBV療法を併用することによって,プロテアーゼ阻害剤の強力な抗ウイルス作用が発揮されることが示されている.わが国でもPEG IFNとRBV併用療法との三者併用療法としてphase III の治験が開始され,その効果が期待されている. -
新規治療の現状:SPT阻害剤―宿主因子を標的にしたHCV増殖抑制
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PEG IFNおよびリバビリンの登場により治療成績は向上したが,わが国で多いとされるgenotype 1b高ウイルスの患者はいぜんとして治療抵抗性であり,より副作用の少ない効果的な薬剤が求められており,現在多くの新薬の臨床治験が行われている.これらの薬剤の多くはウイルス因子を標的としており,耐性株出現の問題やgenotypeの違いにより効果が減弱するなどの問題点が指摘されている1).著者らは以前よりウイルスがその生活環で利用する宿主因子に着目し,これらを標的とした阻害剤のスクリーニングから,いくつかの阻害剤を同定し報告してきた2-44).本稿ではこれらのなかから,セリンパルミトイルトランスフェラーゼ阻害薬(SPT阻害剤)に関して紹介する. -
HCV増殖・培養系を用いた抗ウイルス化合物の大規模スクリーニング
229巻1号(2009);View Description
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C型肝炎は現在もっとも有効な治療をもってしても治癒例は約半分に留まり,より有効な新しい治療法の開発が急務である.近年開発されたHCVレプリコンシステム,およびHCV JFH1系はウイルス感染の生活環をin vitroで再現できるシステムであり,抗ウイルス療法開発の強力なツールとなっている.このHCV増殖・培養系を用いて著者らは,既知および未知の薬剤,化合物による抗ウイルス効果の大規模・高効率スクリーニングを施行し,ウイルス増殖抑制・亢進薬剤を同定し,その作用機構の解析を行った.これらの知見をもとに近い将来,レプリコンを用いて開発された薬剤が臨床の現場に登場することが期待される. -
肝癌治療後の抗ウイルス療法
229巻1号(2009);View Description
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インターフェロン(IFN)のC型肝癌に対する再発抑制効果については,いまだコンセンサスが得られていない.HCVによるde novoの発癌に対してIFNは一定の抑制効果が期待できるものの,肝癌の治療時点ですでに微小肝癌が存在していた場合にはIFN単独では腫瘍増殖の抑制作用が弱いため,結果として臨床上IFNの再発抑制効果は減弱する.しかし,IFN投与によって肝予備能が維持され,再発形式においてもde novo発癌の抑制によって多発再発率が低下することから,再発癌に対する十分な治療を可能とし,結果として生命予後の延長が期待できる.このような効果はウイルス消失(SVR)例で強く,今後抗HCV剤の開発によってSVR率の向上がもたらされれば,肝癌の予後延長にもつながると期待できる.さらに,微小肝癌に対する対策としては,5 FUや分子標的薬などのIFNと併用する薬剤の検討が今後不可欠である.
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